レバノン、シリアとサウジの争いの中心に
2008年05月13日付 E'temad-e Melli 紙

【キャリーム・ジャアファリー】今日の中東情勢の中で、何よりも際立っているのは紛争と政治対立である。これらの問題を解決するため、その対策を考える会合や会議が度々開催されている。日曜日(5月11日)にレバノン情勢を検討するためにカイロに集まったアラブ諸国の外相らによる会議も、こうした会合の一例であるが、しかしまたしてもアラブ諸国は懸案事項について協調姿勢を取ることができなかった。むしろカイロで開かれた今回の緊急会議は、レバノンで起きている出来事についてこれまで積極姿勢を見せてこなかったサウジアラビア当局が、アラブ世界で今最も人気の高い人物でもある抵抗運動(=ヒズブッラー)の指導者を直接的に侮辱することで、自らの失敗を少しでも挽回しようと試みる場となった。

 長く外務大臣のポストに留まっているサウジアラビアのサウード・アル=ファイサル外相は、日曜日の会議において、昨今のレバノン情勢におけるレバノン・ヒズブッラーの役割を非難する一方、シニオラ政権が送り込んだ使節の提案を〔レバノン問題の〕解決策として承認するよう働きかけを行ったが、アラブ連盟のシリア代表はこれに強く反発、サウジアラビア外相のこの対応に激しく抗議した。

 シリア・サウジ双方の文字通りの「口論」が激化した背景には、過去数ヶ月間にわたる、地域におけるサウジアラビアの危険な計画の数々が衆目に明らかにされたことがある。シリア大統領の暗殺テロ計画――その実行者らは逮捕され、ファイサルが釈放の努力をしたものの何の成果もなかった――に始まり、ダマスカスにおけるヒズブッラー指揮官ハーッジ・イマード・ムグニーヤ暗殺テロへの関与、イラクへのテロリスト派遣と同国人民に対する敵対行為、〔レバノンの反シリア勢力である〕3月14日勢力への武器供与、イラクにいる偽善者集団〔※イラン・イスラーム共和国体制を敵視する反政府勢力モジャーヘディーネ・ハルグ(MKO)のこと〕への支援、ガザ地区住民包囲におけるシオニスト体制との共同歩調、ならびに同住民殺害への関与、33日戦争〔2006年7月に勃発したレバノンにおけるヒズブッラー−イスラエル間の戦争〕でのシオニスト体制との同調姿勢、そしてシオニスト体制へのレバノン・イスラーム抵抗運動殲滅要請など、これらの企みはいずれもリヤドで計画されたものであり、この体制の王族らが所有する膨れあがったサウジ・リヤルとドルを使って、アメリカとイスラエルの思惑を実行に移すために、地域レベルで画策されたものなのである。

(中略)

■ カイロ会議で何が起きたのか

 レバノンの新聞アル・アフバール紙によると、日曜日、カイロでの公式会議開会前に、エジプトとサウジアラビアは〔会議の〕議事案を提示し、その行動を理由にヒズブッラーを厳しく非難するとともに、《アラブ軍》のレバノン派遣案の検討を要請した。しかしこの案は、カタールとオマーン、及びアラブ連盟のシリア代表からの激しい反対にあった。

 また本会議でもアラブ連盟のアムル・ムーサー事務総長が議場に入る前、サウジアラビアのサウード・アル=ファイサル外相は演説の中で、レバノンで狂気の戦争を始めたとしてヒズブッラーを告発し、続けて、ヒズブッラーのサイイド・ハサン・ナスルッラー書記長についてシオニスト体制のアリエル・シャロン元首相を引き合いに出して、「ナスルッラーは、シャロンと同じく、ベイルートを占拠しようとしている」と非難した。

 ファイサル外相は続けて、「レバノンの合法政府は真の戦争の危険に晒されており、アラブ世界はイランが紛争を操り、ヒズブッラーがイスラーム法学者による統治を打ち立てようとしているのを、手をこまねいて見ているわけにはいかない」と語り、さらに次のように続けた。「我々は全力でこの紛争の停止に努力し、レバノン派遣へ向けて一刻も早くアラブ軍を組織し、それによって合法政府を支援しなければならない」。

 また外相は「我々が今しなければならないのは、ヒズブッラーとイランを明確に批判する声明を出すことだ。そして次に、〔レバノンの〕武装勢力に対し街から撤退するよう警告しなければならない。またその後には、シニオラ政権の忍耐をねぎらい、我々の同政権に対する支援を確約しなければならない」と付け加えた。

(後略)

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( 翻訳者:米沢佳奈 )
( 記事ID:13883 )