メッカ巡礼団の随行医療関係者の採用試験に、「宗教」の設問
2008年05月25日付 Milliyet 紙

 宗務庁は、メッカ巡礼団に随行する医療関係者の採用試験において、「下の礼拝のうち、ファルド・キファーヤ(ムスリム共同体としての義務)はどれか」といった医療と関連のない宗教の設問を20問出題した。100点中30点を占めるこれらの設問に対し、随行希望の医療関係者らは反感を示した。随行宗務員希望者らも、自身らの採用試験において「憲法裁判所の裁判員は何年の任期で選出されるか」といった宗教とは関連のない設問が出題されたことに不満を口にしていた。
 宗務庁は、メッカ巡礼に随行を希望する医療関係者のため、強い要望を受け、初めて今年医者、看護師、保健助手を選抜する筆記形式の採用試験を行った。昨年までは面接のみが行われていた。試験の問題用紙には計30点の医療分野の設問、40点の一般保健の設問および、計30点、20問の宗教関連の設問が見られた。問題用紙には、随行宗務員希望者も解答に苦慮するような「サファーからマルワへ4度、マルワからサファーへ3度移動し往復するという方法で行われる、メッカ巡礼での礼拝に関する義務の名称は何か」、「預言者が天に召された夜は次のうちどれか」といった設問が連なった。
 反感を集めた設問のうち数問を以下に掲載する。
・ハナフィー派によると、義務とされる礼拝の初めの2度のレカート(低頭、平伏を伴う礼拝)において、コーランの第一章の後、他の1章、もしくは少なくとも短い3文か長い1文を読誦する行為の根拠はどれか。
a)スンナ(預言者の慣行) b)ファルド(義務的行為) c)ワージブ(義務的行為) d)ミュステハープ(推奨される行為)
・下の礼拝のうちファルド・キファーヤ(ムスリム共同体としての義務)はどれか。
a)金曜礼拝 b)葬儀礼拝 c)ヴィティル・ナマズ(日没2時間後の礼拝の後行われる礼拝) d)大祭における礼拝
・スンネティ・レヴァティプと名づけられたスンナ派の礼拝は、合計何度のレカートからなるか。
a)40 b)32 c)39 d)42
・次の選択肢のうちアッラーを形容する単語でないものはどれか。
a)存在 b)永遠性 c)超越者 d)力
 トラブゾン医師会長のアイドゥン・アイドゥン博士は、「医療関係者としてのレヴェルをはかるのが普通だ。だが今回見られたのは宗教的分野での高い専門性を必要とする設問である。この種の設問は、参加する医療関係者にとってはやる気を削ぐものとなり得る」と述べた。

■「宗教的義務という方向からも準備を整えておく必要がある」
 宗務庁副長官のフィクレト・カラマン助教授は、メッカ巡礼という目的でサウジアラビアを訪れる医療関係者らは2つの側面を兼ね備えるべきであるとして、以下のように語った。
「第一に、医療行為の遂行、そして二つ目は宗教的義務の履行である。このため随行する医療関係者は、医療行為および宗教的義務という両方の方向から準備をしておく必要がある。決定的に重要なのはもちろん医療行為だ。設問の80~85%が医療分野からの出題である。残りが宗教的義務に関する設問だ。これらの設問を我々は保健省の責任者らと作成した。トルコ人巡礼者らは、巡礼のため訪れるサウジアラビアにおいて医療サービスの大部分を我々の随行医療関係者から受けることとなる。トルコ人の医療関係者を見て、彼らは安心するのである。それならば医療関係者の選抜に対しても注意を払う必要があるのだ。問題をこの観点から見る必要がある。」

■宗務員らも一般常識試験に不平を
 宗務員希望者への試験の設問において見られた一般常識からの出題も反感を買うこととなった。宗務員希望者らが「我々の業務に無関係だ」と言い不平をもらした設問のうち数問は以下の通りである。
・A冊子 第77問:憲法裁判所の裁判員は何年の任期で選出されるか。
a)7年 b)5年 c)生涯 d)定年まで
・第80問:政府には首相を除いて何名の大臣職が存在するか。
a)25 b)24 c)22 d)23
・第83問:トラキヤ地方で見られる天然の森林地帯はどれか。
a)ステップ b)針葉樹林 c)広葉樹林 d)マキ
・第84問:最も有名な製鉄業の中心地はどの県、もしくはどの郡か。
a)カラビュク県 b)ハタイ県イスケンデルン郡 c)スィヴァス県ディヴリイ郡 d)コンヤ県エレーリ郡

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( 翻訳者:岩根匡宏 )
( 記事ID:13911 )