Semiz Idizコラム:日本の投資家、静観の構え
2008年06月09日付 Milliyet 紙

日本訪問中、憲法裁判所のスカーフに関する決定をはじめとする内政問題については話さないと決めていたギュル大統領は、それでも新聞記者たちがこれらの問題について、なんとか話題にしようとするので、ほとほと閉口していた。昨日、大阪で、日本での活動を総括するための記者会見をおこなったギュル大統領は、この手の質問に対しいらだち、新聞記者たちに、「何のためにここにいるんですか?トルコにいる同僚にその件はまかせなさい。あなたたちは日本のニュースを書きなさい」と非難した。トルコで嵐が吹き荒れている以上、新聞記者としては内政問題を聞かざるを得ないが、しかし、ギュル首相も正しかった。なぜなら、彼の表現を借りれば、ここしばらくの間、アイドリング状態にあった日本との政治的関係に新しい頁を開くことをめざした大統領の日本訪問は、とても重要なことだったからだ。

■ 日本はトルコに興味がないわけではない
日本人がトルコへの投資に関し控えめな態度をとっているからといって、これはトルコに対し興味がないという意味にはならない。むしろ逆に、政府の関係者や実業家たちは、トルコの動きを注意深く観察している。この間、トルコ政府がEUと行ってきたEU加盟交渉も、もちろん注意深く追っている。同時に、エレルギー資源への依存ゆえに日本にとってもっとも重要な地域である中東において、トルコの重要性が日々増していることも、よく理解している。要するに、中東和平の鍵をにぎると同時に、—さまざまな問題はあるが—、ヨーロッパ主要国から支持されるEU加盟候補であるトルコは、東京において、日本側から、軽視される国ではない。

■ トルコはパートナーのひとつ
しかし、超経済大国である日本は、中東においてそろそろ政治的な存在感を示したいと願っている。そのことは、(日本がトルコにだけ肩入れするのではなく)トルコを(他の中東諸国と)対等に扱う必要性を生んでいる。この間に二カ国間の関係向上のために必要な、よい雰囲気もあった。今日二ヵ国間には政治的な問題はひとつもない。エルトゥールル号の118年前の悲劇が二つの国民の間の感情的結びつきを深める役割を果たした。これをうけ、トルコは日本の国連安全保障理事会常任理事国となるという希望を支持し、日本もトルコの国連安全保障理事会への立候補を支持した。しかしトルコはこれに甘んじることは望んでいない。

日本の大きな外国投資の一部がトルコに振り分けられること、そして、トルコ企業か日本市場に参入することも望んでいる。ギュル大統領に同行したトルコ経団連代表団のメンバーは、この目的で4日にわたって新たな橋を築くために努力をした。

■ギュル大統領、これまでの失敗を認める
ギュル大統領は、記者団との会見のなかで、過去においてトルコに投資した日本企業のほとんどが、トルコでの事業を軌道にのせることができず撤退しているという事実を認めた。しかし、ギュル大統領は、日本で折衝した人たちに、(当時のトルコはすでになく)今は、EUのマーストリヒト条約の基準をほぼ満たしたトルコがあると説明したと語り、彼らも、こうした説明に熱心に耳を傾けたと述べた。しかし、日本で政治を話題にすることを避けたギュル大統領でさえ、トルコの現在の内政状況が、超慎重派である日本の投資家たちに、十分な安心感を与えることができなかったことは認めるだろう。
日本人は、これゆえ、少なくとも投資については、今しばらくの間、おそらく「静観」の態度をとり続けるだろう。しかし、信頼感がませば、必ず投資に踏み出すだろう。

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( 翻訳者:小川玲奈 )
( 記事ID:14031 )