停戦発効でガザの闇市場の価格が急落
2008年06月20日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 農民と国境地域の住民たち、平穏な暮らしの再開を待ち望む
■ 停戦発効から数時間でガザの闇市場は価格暴落

2008年06月20日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ガザ:アシュラフ・アル=ハウル本紙記者】

 昨日木曜日の朝から、エジプトの後援によりハマース・イスラエル間で締結された停戦合意が発効した。この停戦合意により、[イスラエルによる封鎖の]間にガザ地区に広まっていた闇市場が大きな打撃を受ける一方、国境地域に住むガザ農民たちには安全な暮らしへの希望がもたらされた。

 停戦が発効し、今後数日間の進行スケジュールも明らかにされている。このスケジュールによれば、10日ほど後には1年にわたって完全に閉鎖されていたガザ各地の通商用通行所が再開される。この状況に伴い、封鎖の影響で高騰していた市場物価は下落し、通常の市場で売られる本来の価格に近づいた。

 闇市場の商人らが燃料価格を下げざるを得なくなったため、自動車を所有する人々は停戦を歓迎している。燃料価格は、ガザ地区への搬入量がイスラエルによっておよそ70%に制限されていたため、ガザの市場では大きく高騰していた。これまで闇市場で公定価格の数倍も高い燃料を買わざるを得なかった自動車所有者の多くが、商人の間での投機的取引がなくなったために、昨日は同じ市場で元々の価格に近い値段で買えたと述べている。タクシー運転手のアブーアフマドさんは、これまで1ガロン約100ドルで売られていた軽油が、昨日の木曜日には同じ量が約30ドルで手に入ったと語り、商人たちが停戦が実際に始まったことを確認した昨日午後になって、闇市場は完全に値崩れしたと述べた。

 停戦合意の第5条では、ガザ地区の封鎖を完全に解除すると規定されており、これによって従来禁止されていた商品が量・種類ともに再び入ってくることになる。昨年6月にハマースがガザを支配下においた後、海に囲まれたガザ地区はイスラエルが制裁として課した封鎖に12ヶ月間ずっと苦しんできた。イスラエルが搬入を許したのはごく限られた量の食料と医薬品のみで、この間、パレスチナ側のラファハ市とエジプト側のラファハ市を結ぶ地下トンネルを通じてエジプトから持ち込まれる物品の取引が活発になっていた。しかしトンネル貿易によってもたらされたこうした商品はとんでもない高値で売られ、ほとんどのガザの住民には買うことができなかったのだ。

 ガザのある衣料品店主から本紙が得た情報によれば、今の流行に合ったより良質で低価格の商品が入ってきて在庫が残ることを恐れ、商品を安く市場に放出しようとしている大手業者たちが出ているという。何人もの商人がトンネルを通してもたらされた商品を倉庫に保管し、高値を維持するために段階的に市場へ卸していたのだとこの商店主は断言し、こうした商品の大半は生産国ではすでに流行遅れになっているものの、ガザの住民には選択肢が与えられていないので買うしかないのだと説明した。
 
水曜日にガザの事業者協会は、ガザの商人たちが輸入したにもかかわらずイスラエルの入管に留め置かれていた商品を、搬入する準備が始まったと発表した。

 一方、国境地域に農地を保有する農民らは、イスラエルによってその大半が破壊され、立ち入りを禁じられていた彼らの農地での農作業に戻れる希望を抱いている。 ガザ地区南部の農民アリー・アブーハシャーンさんは、「私は自由に土地へ行き、再び一から耕作できるのが待ち遠しい」と述べ、耕作を禁じられ、農地が破壊されたことで、甚大な金銭的損害を被ったと語った。国境地域に居住している彼が言うには、同地域の住民たちは停戦によってイスラエル占領軍の侵攻作戦が行われなくなるよう願っているという。これらの侵攻作戦によって住民たちは殺され、何十人もが拘束されてきた。

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:14144 )