Ugur Gurses コラム:「体重1キロあたりお幾ら?」―「デリー航空」の環境広告を読む
2008年06月30日付 Radikal 紙

航空各社を、増加する競合他社、更には原油価格が圧迫している。国内では、民間航空各社に対抗すべく、トルコ航空が、アナドル・ジェット運賃を導入しはじめ、一方、国外ではとりわけアメリカでの新たな実施策が議論の的になっている。

原油価格の上昇はご承知の通りである。しかしながら、「クラック・スプレッド」と言われる原油価格と航空燃料価格との間に存在する取引価格差は[普通であれば]5-7ドルの水準で推移するものであるが、2003年以降は10―20ドル、2008年には30ドル近い水準で推移しはじめた。このことが意味するのは、航空燃料価格の上昇は、原油価格の上昇よりもかなり大幅なものだということである。

世界中で、コストを抑制するため、あるいは企業として存立していくために、それぞれの航空会社は対策を講じざるを得なくなっている。原油価格が1バレルあたり125―140ドルの水準に達した場合、航空機燃料価格が、対2003年比で4倍に、対2002年比では5倍に上昇することが、乗客や手荷物重量に対する過敏な対応を助長しているのである。フライトの安全性という観点からも、また、運賃設定の観点からも、夏季、冬季それぞれのフライトに応じて乗客の標準体重というものが想定されている。たとえば、アメリカではボーイング737型機について、男性乗客を平均94キロ、女性乗客を同76キロと想定しているのである。いずれの航空会社もすべての乗客に対して所定重量の客室外荷物(約20キロ)と、所定のサイズかつ重量の客室内荷物(約5キロ)の持ち込みを認めている。この基準重量を超えた場合には超過料金が徴収される。

昨今では、コスト管理のためにより詳細な対策が講じられるようになった。航空各社はフライトにおけるあらゆる重量の削減を目標に掲げた。例えば、アメリカではアメリカン航空が各荷物についての追加料金の徴収を開始した初の航空会社となる一方で、別の航空会社であるサウスウェスト航空が幾つかの路線について、これまでより低速でのフライトを実施しはじめたのだが、期待されている結果は、言うまでもなく燃料の節約である。しかし、聞くところによると、ドイツのルフトハンザ航空はより興味深い対策を講じはじめた。機体の清掃をより頻繁に行うようになったそうである。というのも、機体表面のちりが空気抵抗を増加させることによって、より多くの燃料を消費することが判明したのだという。

かくして、こういった対策が講じられている状況のもと、6月の初めにはアメリカのフィラデルフィアで発行されている日刊各紙のうち2紙で、興味深い紙面広告が掲載された。同広告では、これまで無名の航空会社「デリー航空」が、各フライトにおいて「体重に応じた運賃」を導入することを説明していた。例えばフィラデルフィアからロサンゼルスへは体重1キロにつき4ドル96セントから行くことができ、フィラデルフィアからシカゴへは体重1キロにつき3ドル9セントから行くことができるようになる、とうたわれていた。これに従えば、ロサンゼルス行きのフライトでは、体重85キロの人は421ドル支払うのに対し、体重45キロの人は223ドル支払うということになる。シカゴ行きのフライトの場合、体重85キロの人なら262ドルを、体重45キロの人は139ドルを支払うということになる。

広告を出した会社は、二酸化炭素の排出が深刻な問題であること、そしてこの問題に最も関与している業界こそが航空運輸業界であると説明していた。ゆえに、同社は、自社フライトで生み出された二酸化炭素の排出量を相殺できるだけの植林を行い、またそのために「体重別運賃」を導入すると説明していた。つまり「汚した者は払うべし」なのである!

この衝撃的な広告がメディア団体であるフィラデルフィア・メディア・ホールディングスの広告であること、更に、活字広告と「オンライン」広告の効果を検証し、同時に[地球]環境に注意を喚起するためにこういった広告が掲載されたことが、広告の注記として載っていた!

環境についての鋭敏な関心を「刺戟すること」を目的としたこの広告は、期待されていた効果をあげたようで、[実際の]商取引の場でも「体重別運賃」の適用が、現実味のあるものとして論題にのぼることが確実となった。業界では「なぜ実施しないのか?」といった考え方が勢いを増しはじめた。

我々に関して言えば、近い将来、航空会社の代理店に行ったら、「サムスンへキロあたり何リラで飛べますか?」とたずねるのは、そう遠いことでもないのだ!

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
参考:「デリー航空」によるオンライン広告(英文)

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:長岡大輔 )
( 記事ID:14196 )