モーリタニア:軍によるクーデター
2008年08月07日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ワシントンが非難、EUは援助停止を示唆、近隣諸国は沈黙を選択
■ モーリタニア軍、深刻な政治危機の後選ばれた最初の元首を廃す

2008年08月07日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ナワークシュート:アブドゥッラー・ワラド・アッ=サイイド(本紙)】

水曜(6日)、モーリタニアの政情は急激に展開、選出されて約1年半のシーディー・ワラド・アッ=シャイフ・アブドゥッラー大統領がクーデターにより拘束される顛末に国民は驚かされた。大統領親衛隊長、ムハンマド・ワラド・アブドゥルアジーズ将軍率いる軍は、「国家委員会」を通じ権限を掌握した。

クーデターは、水曜早朝、過去2ヶ月にわたる政治危機の背景とされる軍要人らの辞職を定める公布が大統領により行われた後に発生した。軍は、ムハンマド・ワラド・アブドゥルアジーズ将軍を長とする国家委員会の形成を公表したが、その構成、目的、諸機関運営の手段などの詳細は、昨日正午まで明らかにされなかった。

本紙が得た情報によれば、ワラド・アブドゥルアジーズ将軍は、昨日昼、閣僚ら数名と会見して職務遂行を要請、また、軍とクーデター支持派の政治家数名とも会見した。米仏大使らを含む外交団との会見もあったとのニュースが流れたが、これについては真偽は定かでない。ラジオ・テレビ放送の新局長も昨日昼に任命された。ナワークシュート空港は完全閉鎖されており、軍は、大統領とヤヒヤー・ワラド・アフマド・アル=ワーキフ首相、並びに大統領側近数名を改めて拘留した。

大統領府へ至る道は軍により封鎖され、与党、国民民主発展誓約党アーディル(「公正な者」の意)の事務所は警察が閉鎖した。首都では発砲も聞かれず、路上検問も見られず静かであった。首都ナワークシュートと幾つかの街で大統領支持のデモが見られたが、これらは警察により解散させられ、現在は静寂に支配されている。新政府の公表が待たれるが、役職については大掛かりな変更が予測される。

昨日、ワラド・シャイフ・アブドゥッラー大統領政府の文化通信相、アブドゥッラー・アッサーリム・ワラド・アル=マアッリーが公営テレビで読み上げた声明によれば、「前大統領による軍要人らの辞職決定は、法的にも実際的にも無効とされた」。

軍のクーデターを国民は驚きと恐れをもって受け止めているが、首都ナワークシュートの住民約百万は白黒双方のクーデターに慣れているため、それによって日々の生活を変えることはない。一方、大統領を支持する各政党はクーデターを激しく非難、それは正当性に対する反乱であり、野党、(大統領)反対派に歓迎されるものと評した。

国外では、モロッコ、アルジェリア、セネガルは沈黙を守り、事件の要因、動機の詳細を注視する方向である。フランスは、外務省報道官がモーリタニアの安定と、フランス人コミュニティの現状維持を重視すると述べたに留まった。EU開発問題担当ルイ・ミシェル代表は、軍によるクーデターを非難、経済援助の停止をほのめかした。アフリカ・ユニオンもクーデターを非難、昨日の声明で、合憲的正当性へ回帰するよう軍に呼びかけた。同様に合衆国も非難の意を表し、国連事務総長も即座に国内秩序を回復するよう呼びかけている。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:14448 )