ヒジャーブを被る女性は被らない女性よりセクハラを受けやすいとの調査結果
2008年08月18日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ アメリカ・イギリス、女性観光客らに対しエジプト人男性らの間に広まるハラスメントについて警告
■ エジプトでの研究、ヒジャーブを被った女性が最も多くのセクシャル・ハラスメントに遭っていることを示す

2008年08月18日付クドゥス・アラビー紙(英国)HP1面

【ロンドン:本紙】

昨年、アバーヤ〔=湾岸諸国などで女性が外出する際に着用する全身を覆う外衣〕を着た湾岸諸国のアラブ女性たちが、青年グループに取り囲まれ、彼らからハラスメントを受ける様子を写した短い映像が「ユーチューブ」のサイト上で公開された。この出来事はエジプト政府をも困惑させ、エジプトの路上での女性、特に外国人女性観光客に対する男性の振舞いをめぐる論争を巻き起こすこととなった。

その議論の中で、セクシャル・ハラスメントの増加あるいは減少とヒジャーブ〔=イスラーム教徒の女性が髪を覆うベール〕の関係をめぐって、ヒジャーブが増加傾向のセクシャル・ハラスメントを防げるかどうかという論争が巻き起こった。複数の世論調査によると、何人ものヒジャーブを被った女性が、「エジプトの路上に溢れるヒジャーブの道徳的な価値や長所を宣伝する広告のようには、ヒジャーブはハラスメントからの守りにはならない」と考えている。

また、女性問題専門の団体が発表した研究は、「エジプトでは女性の8割がセクシャル・ハラスメントに遭っている一方、男性の6割がハラスメントを行ったことを認めた。ヒジャーブをした女性は、ヒジャーブをしていない女性よりも多くの被害を受けている」と指摘する。

『ワシントン・ポスト』紙が掲載したヒジャーブを被る女性たちのコメントによると、彼女たちは店主や物売りから日常的に不快な発言を受けており、そのうちの一人は「ヒジャーブを被った女性はヒジャーブを被っていない女性よりも男性により強い刺激を与える場合がある。体を覆えば覆うほど、不快な発言を受けることが多い」と語っている。また別の60代の女性は「そのため随分前に伝統的な服を着るのをやめた」と言い、「ヒジャーブは男性らにヒジャーブの下に覆われているものにより一層の関心を持たせていると思う」と語った。

また同紙はかつてエジプトで9年以上ヒジャーブを被っていたことがあり、現在はアメリカに暮らす女性評論家の発言として、「この経験から、ヒジャーブを被る割合が増えれば増えるほど、セクシャル・ハラスメントの割合も増えると結論するに至った」「女性がヒジャーブを被れば被るほど、男性は礼儀正しさを失う」というコメントも掲載している。

 同紙によれば、海外からエジプトを訪れる女性たちは、男性に不快なコメントやあからさまに性的な言葉をかけられることにかけてエジプトは世界最悪の国のひとつであり、アフガニスタンに告ぐ世界第2位だと考えているという。アメリカやイギリスの観光ガイドなどでは、非礼な言葉をかけられたり、性的暴行を受けたりする恐れがあると、エジプトを訪れる女性たちに忠告するのが通例となっている。

 エジプト人議員たちは女性観光客にこうした忠告をしていることについて、侮辱であると反発したことがあるが、それに対してイギリスは、イギリス女性は世界中のどこの国にも増してエジプトで、不快な言葉や性的暴行、それどころか強姦にすら遭っていると返答した。

 ワシントン・ポスト紙が報じた「エジプト女性の権利センター」の調査では、路上でセクシャル・ハラスメントに遭遇することは“危険”ではなく“事実”であって、外国人女性の98パーセントとエジプト人女性の83パーセントがセクシャル・ハラスメントの被害にあっていることが明らかとなった。外国人・エジプト人共に調査に参加した女性の半数が、日常的にセクシャル・ハラスメントを受けていると答えており、外国人女性たちはエジプトの治安要員と警察官からもっとも多くハラスメントを受けていると答えた。

 また同じ調査によれば、調査対象となった男性の3分の2が、女性の体を見る・性的な罵詈を用いる・体を触る・女性の前で自身の性器を晒す、といったセクシャル・ハラスメントを行ったことがあると回答した。何人かはこうした振る舞いを「女性は男性にハラスメントを受けると喜ぶ」と言って正当化した。また「女性こそ男性をハラスメントしている」と非難する者もいた。

 調査の結果、体を覆わない服装の女性はもはやハラスメントの標的ではなく、ヒジャーブをした女性が男性のハラスメントの最大の標的となっていることが明らかになった。またセクシャル・ハラスメントが原因で仕事を辞めざるを得なくなった女性たちがいることも調査で明らかにされた。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:14580 )