Taha Akyolコラム:ギュル大統領、アルメニアを訪問すべきか
2008年09月01日付 Milliyet 紙

ギュル共和国大統領は、国際試合を観戦するために9月6日にアルメニア共和国の首都エレバンを訪問し、サルキシャン大統領と会談するのだろうか。

ギュル大統領が外務省に与えた指示がある。それは「この訪問は観光を目的とした訪問であってはならない。政治・経済の分野で進展が見込まれるようなら私は行きましょう。さもなければ必要はない」というものである。

そう、ギュル大統領はテレビで試合を観戦できるのだ。訪問するにあたって政治的利益は絶対に必要である。

現在、ギュル大統領の訪問のために、外務省は2つの事柄についてアルメニア側と話し合っている。

まず一つ目は、安全性の問題について。つまりダシュナク党支持者のような過激派が、トルコ共和国大統領やトルコに不当な行為を行うのを阻止すること。二つ目は、協議事項について。つまりサルキシャン大統領と共に行われる会談の協議事項に関連したトルコ側の要求である。

アルメニア側から来た最初の返事は肯定的であり、ギュル大統領のエレバン訪問の可能性は非常に高まった。ただし、『観光を目的とした訪問』にとどまらないことが訪問確定と関わっている。

● 3つの議題

トルコ代表の国際試合を契機に行われる会談では、3つの議題に重点を置いている。

一つ目は、共同歴史委員会の提案である。トルコのこの提案をアルメニアは承諾しなかったが、正式に拒否したわけではない。このような委員会をアルメニアが承諾することは、『ジェノサイド』という主張について議論の余地を受け入れるということである。これは彼らの立場上難しい。しかし、確実な承諾が得られなかったとしても、共同で歴史を研究することの可能性についてサルキシャン大統領がギュル大統領に何かしらの意思を示すことは、この訪問を『観光的』なものから脱皮させる重要な要素である。

二つ目は、コーカサス安定・協力プラットフォームについてである。トルコはこのビジョンを説明し、このコーカサス地域での目的がアルメニアを排除するためのものでないことを示したいと考えている。さらにギュル大統領は、サルキシャン大統領にトルコがアルメニアに対して行った意思表示をも思い出させるであろう。トルコは(1991年の)アルメニア(の独立)をトルコ系諸共和国とともに同時に承認した。そして飛行機の路線も開通されている。また4万人のアルメニア人がトルコで平穏に働いている。黒海に面していないアルメニアを、トルコは意志表示の一環として黒海経済協力機構に招き、加盟する手助けをした。イスタンブルでの機構会議場ではアルメニアの国旗がはためいている。

三つ目は、カラバフ地域の問題についてである。ギュル大統領は、サルキシャン大統領と行う会談における議題の一つが、必ずカラバフの問題であることを望んでいる。なぜなら、カラバフにおけるアルメニア人占領を批判するはずだからである。

二人の共和国大統領の間でこのような『真剣な会談』が行われるなら、ギュル大統領は国際試合のためにエレバンに赴くであろう。

■アゼルバイジャンの重要性

この間ギュル大統領は、イルハム・アアリエフアゼルバイジャン大統領をトルコに招待した!ギュル大統領のエレバン訪問が議題となっている時期でのこの招待は、もちろん重要な政治的メッセージである。

ギュル大統領のエレバン訪問によって(アゼルバイジャンの首都である)バクーが不愉快な思いをするといった噂は、あまり現実的ではない。バクーは、アンカラとギュル大統領双方のカラバフ問題に対する過敏さをよく知っている。バクーからアンカラへ「ギュル大統領がエレバンに行きませんように」といった小さなサインも届かなかった。

トルコにとってアゼルバイジャンは単に『二つの国家、一つの国民』というレベルの協調によって成り立っているわけではない。トルコのコーカサス地域に対する戦略と、『大陸間のエネルギー回廊』政策の両方の基礎はアゼルバイジャンに負っている。我々の感情よりもまず、本質的にこの『現実的政策』の諸要因が、トルコのコーカサス政策における『アゼルバイジャンの優先』を必要としているのである。

トルコとアルメニアの間にある氷を解かすために、ギュル大統領の訪問は重要な一歩となりうる、いやならなくてはいけないのだが・・どうかエレバンも、アルメニア・ディアスポラの夢想主義が間違いであることと、トルコとの和平の必要性にすでに気づいていますように。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:14620 )