エジプト政財界を揺るがす大スキャンダル、有名歌手殺害事件で不動産王を逮捕
2008年09月03日付 Al-Ahram 紙

■ ヒシャーム・タラアト・ムスタファー、スーザン・タミーム殺害教唆の容疑で刑事裁判所へ送致
■ 実業家、ドバイでの犯行実行のため、元警察将校に200万ドル払う

2008年09月03日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

【カイロ:アフマド・ムーサー】

アブドゥルマギード・マフムード検事総長は、去る7月28日にレバノン人歌手スーザン・タミームさんをドバイの彼女のマンションで殺害した容疑で、実業家ヒシャーム・タラアト・ムスタファーと元警察将校ムフスィン・アル=スッカリーをカイロ刑事裁判所へ送致し、二人の公判のため、至急の開廷を命じた。〔訳注:ヒシャーム氏はエジプト最大の建設開発会社タルアト・ムスタファー・グループのオーナーで、諮問議会の経済委員長も務める与党国民民主党の大物代議士でもある〕

検察はヒシャーム・タルアト・ムスタファーについて、殺人教唆、ムフスィン・アル=スッカリー容疑者との被害者殺害の合意、被害者の個人情報や犯行計画に必要な現金の提供、イギリスとUAEへの入国ビザ取得の便宜を図るといった同容疑者への幇助の容疑を認めた。

また検事総長は、「被疑者2名は裁判のために予備勾留中である」と語った。

実業家のヒシャーム・タラアト氏は、諮問議会議員としての免責特権の剥奪、渡航禁止、機密保持のための検事総長事務室での取調べを経て、2日前に逮捕された。ムフスィン・アル=スッカリー被告は8月6日から勾留されており、アブダビのインターポールからレバノン人歌手殺害容疑でアル=スッカリー被告を捜査するよう要求があったことを検事総長が確認した。そして二国間の司法協力によりアル=スッカリーは逮捕され、捜査の過程でヒシャーム・タラアト・ムスタファーの関与をほのめかした。検察は法的措置を取り、その権限を用いてこの事件に関する報道を規制、捜査過程が取材されてメディアの影響が及ぶことを防いでいた。

捜査で明らかになったところでは、ムフスィン・アル=スッカリー容疑者はレバノン人歌手の監視を行い、ロンドンでの彼女の動きを追ってドバイまで追跡し、彼女の自宅マンション近くにホテルをとった。ナイフを購入した容疑者はマンションの所有会社からの使いを装い、会社からの贈り物と感謝状を届けに来たと言って彼女の部屋のドアをノック、ドアが開くやいなや彼女を刺し、死に至らしめた。実行犯は殺害報酬200万ドルで実業家に教唆され、犯行に及んだと自白した。

スーザン・タミーム殺害への関与の容疑でヒシャーム・タラアト・ムスタファーが送致されたニュースによって、タラアト・ムスタファー・グループの株価は急落し、2月の上場以来の最低値を記録した。株価は一時15パーセント減の4.99エジプトポンドまで落ち込み、約4880万株という記録的な量の取引を経て5.36エジプトポンドで取引が終了した。

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( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:14674 )