カイロ近郊で巨大岩盤の崩落事故、救助活動は難航
2008年09月07日付 Al-Ahram 紙

■ ムカッタム丘陵のマンシアト・ナーセル地区で悲惨な事故
■ 100トンの岩石の塊が住宅35軒の上に崩落、市民26名が死亡、39人が負傷
■ ムバーラク大統領、被災者への仮設住居と遺族への補償金の提供を政府に即座に指示
■ ナズィーフ首相:「遺族には1万エジプト・ポンド、負傷者には4千ポンド、誰ひとり野宿させたりはしない」と約束
■ 軍が救出活動に参加、避難場所を緊急に建設
■ 被害者数はさらに増える見込み
■ 同地域から全住民を退避、建物の間が狭いために救援隊の到着が難航
■ 目撃者:「崩落は地震のようだった。家々が岩に埋もれてしまった」と証言

2008年09月07日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

昨日6日、カイロ市はムカッタム丘陵地域で起きた巨大な岩石崩落による大惨事で目を覚ました。100トンもの岩石の塊が突然、マンシアト・ナーセルのイズバト・バヒート地区に落ち、35の家屋が下敷きとなったのだ。これによりおよそ26名が死亡、39人が負傷しているが、事故現場の概況からは瓦礫の下に数多くの犠牲者が残されていることが伺われる。

 ホスニー・ムバーラク大統領はアフマド・ナズィーフ首相と大統領官邸で会合を開き、被災者に対するあらゆる面でのケアと、生活手段や仮設住宅の提供、苦難の軽減に加え、遺族や負傷者に対する補償金の支払いを即座に指示した。

 会合後アフマド・ナズィーフ首相は、ムバーラク大統領は刻一刻と推移する状況を自ら注視しており、全ての国家機関が事故発生直後から行動していると述べた。また、関係閣僚全員がそれぞれ状況を把握し、被災家族を野宿させたりしないよう、救援と住居の提供に尽力していると指摘した。

 さらに首相は、「スラム地区の大部分に早急な対策をとらねばならない。我々の目標はスラムを一掃することにあり、市民にとって危険な地区はなおさらのこと、安全な住居と交換せねばならない」と述べた。またムカッタム地区の不動産計画に関しては、「必要な許可を得ている限り、また近くに家を建てるのは危険な丘陵の縁の部分から離れている限り、危険はない」と明言した。

 首相は昨日、住宅相、社会連帯相、保健相を集めた緊急会合を開き、数々の報告に耳を傾けた。保健相は死者数は23人に達しており、その数は今後数時間の内に増加すると思われ、負傷者39人の内3名が危篤であるとの報告を行った。社会連帯相は、遺族に5000エジプト・ポンド、負傷者にそれぞれ1000エジプト・ポンドを支出する予算を計上し、同じくカイロ県も同額程度の支援金(遺族に5000、負傷者に2000エジプト・ポンド)を予算計上した。

 崩落事故は昨日午前9時5分、マンシアト・ナーセルのイズバ・バヒート地区の住民を突然襲った。ムカッタム丘陵から巨大な岩石の塊が同地区へ落ちたのだ。同地区にはおよそ50軒の家があり、その大半が2階か3階建てである。また同地区にはおよそ400人の市民が住み、そのほとんどが労働者とその家族である。被災者救出のため、瓦礫の下にいる生存者を捜す警察犬や最新鋭の機材を装備した複数の救助隊が事件後すぐに同地区へと向かった。しかし同地区は不規則で建物の間が狭いため、崩落した岩石を持ち上げるための大きなウインチが地区に入れず、撤去作業で深刻な難問に直面した。そのため不規則に立ち並んだいくつかの家を壊さざるを得なかった。

 負傷者たちはフセイン、ザフラー、アフマド・マーヒルなど、最寄の病院に搬送された。また救援要請を受けた軍も複数の救助部隊を派遣、瓦礫の下から負傷者と生存者の運び出しを行った。事故の目撃者は、巨大な岩石が崩落した瞬間には雷のような音がし、地震のように揺れたと証言した。

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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:14682 )