労働省と中央銀行、新規小規模事業所への融資をめぐり合意か
2008年09月08日付 E'temad-e Melli 紙

【経済部】中央銀行と労働省は、ついに新規小規模事業所への融資〔※訳注1〕をめぐって合意した。このニュースは、イスラーム宣伝庁付属のメフル通信により、特報として伝えられたものだ。

 メフル通信によれば、ハミード・ハージー・アブドルヴァッハーブ労働省就業促進・雇用創出担当次官は、新規小規模事業所への融資をめぐり中央銀行と労働省の間で合意が達成されたと発表した上で、「今回の合意により、中央銀行は新規小規模事業所への一部貸付けの再開を決定することになるだろう」と述べた。

 同次官は、1387年の最初の5ヶ月間(2008年3月〜7月)新規小規模事業所への融資は停滞気味であったことを認めつつ、「同問題の主因は銀行の資金不足と中央銀行による金融引き締め政策にある」と付け加えた。

(中略)

 労働省高官によるこのような発表にもかかわらず、中央銀行当局からこの件への反応はいまだ見られない〔※訳注2〕。

 中央銀行と労働省の政策和解協議に関わる報道がメフル通信のニュースサイトに掲載されたのは、昨日(9月7日)午前のことであった。これに先立ち土曜日(9月6日)には、ILNA(イラン労働通信)もサイードルー行政担当副大統領を仲介人としたマザーヘリー中央銀行総裁とジャフロミー労働相の調停協議が日曜日夕方にも開かれる見通しであることを特報で伝えていた。

 なお、マザーへリー中央銀行総裁は数日前に国会に出席し、新規小規模事業所〔への融資〕は当初の目的から逸脱していると語っていた。

 1387年モルダード月(2008年7月22日〜8月21日)にはインフレ率は22%強に達する中、マザーヘリー中央銀行総裁はこれまで通り金融引き締め政策と対インフレ政策の推進を堅持しており、金融・財政拡大政策論を支持するアフマディーネジャード大統領、ジャフロミー労働相、サイードルー副大統領ら多数派と対峙している。

 今のところ、中央銀行当局が金融拡大政策論者との政策和解協議についていかなる見解を発表のか、われわれは見守るほかないだろう。もしマザーヘリー総裁を筆頭とする中央銀行が金融引き締め政策・対インフレ政策で妥協するようなことがあれば、それは中央銀行がこれまで以上のインフレと不正義の拡大、そして階級格差の深化を受け容れたことを意味するだろう。



訳注1:「新規小規模事業所への融資」とは、アフマディーネジャード政権が労働省を中心にして推進する、国内産業育成・雇用創出計画を指す。この計画は起業を志す人に低利で融資を行うもので、総額数兆円規模にのぼるが、インフレの原因となっているとして、今年度に入り中央銀行は融資の引き締めを行っており、大統領・労働相側との対立の火種となっている。また、中央銀行は融資された資金の半分近くが、本来の目的以外に流用されていると指摘している。

訳注2:この記事が出された翌9日付エッテマーデ・メッリー紙5面は、中央銀行は報道された合意を否定したと報じている。

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( 翻訳者:柴田愛子 )
( 記事ID:14690 )