ラマダーン月におけるイエメンのイスラーム教徒とユダヤ教徒の関係
2008年09月08日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ イエメンのユダヤ教徒は断食を除くラマダーン月の慣行をイスラーム教徒と共有
■ 日中のカート使用は閉ざされた場所でのみ

【サヌア:本紙ハーリド・アル=ハマーディー】

 イエメンのユダヤ教徒は同国のイスラーム教徒が宗教的義務として行う断食以外は、同じ慣習とラマダーンの雰囲気とを共有し、両宗教の民は互いの宗教的違いがほとんど問題にならないほど自然な形で共生している。

 日中は昼頃まで寝て、夜は明け方近くまで夜更かしし、街中では人前で飲食せず、汚い言葉を口にしないといったことは、イスラーム教徒とまったく同じようにラマダーン月の間、イエメンのユダヤ教徒にも一般的に見うけられる特徴だ。中には昼間にカート〔訳注:覚醒作用のある葉で、イエメン社会では社交の場にかかせない嗜好品〕を噛むユダヤ教徒もいるが、自宅の閉ざされた場所だけでのことである。

 サヌアから北に70キロの位置にあるリーダ市の地方筋によると、ユダヤ教徒とイスラーム教徒間での社会的な助け合いや料理のおすそわけはラマダーン月に活発になり、ユダヤ人女性は近所や知り合いのイスラーム教徒に贈るため、ラマダーンのご馳走を料理するのに長けてさえいるという。

 昨日のイエメン国営通信社「サバア通信」の特集記事によると、ユダヤ教徒の大多数が住んでいるイムラーン県のリーダ地区では、ラマダーン月の間、誰もユダヤ地区とイスラーム地区の違いを意識しないという。また、イエメンのユダヤ教徒の中には、断食をしているイスラーム教徒のためにイフタール〔=日中の断食の後、日没後に最初にとる食事〕を提供する者もいれば、ユダヤ教徒とイスラーム教徒がそれぞれの特性を保ちつつも客間で共にカートを楽しむ夜会を開く人もいる。

 トルキーヤ・ビント・ヤヒヤ・ハールーンさんという65歳のユダヤ教徒女性は、「ラマダーン用のルフーフという薄いパンを焼いて断食しているイスラーム教徒たちに振舞うために、調理道具を用意することでいつもラマダーン月を迎える準備をするのよ」と語る。
また、彼女は家で牛を飼っており、ルフーフとヨーグルトを使ったシュフートというラマダーンの料理を作るのに使う凝乳のビンを近所のイスラーム教徒たちに配っているという。彼女はユダヤ教徒とイスラーム教徒の女性は協力し合い、家事を一緒に行うと強調し、「特にラマダーンには互いに与え合い、お祝い事などの時には料理や家事で協力したり、パンや練り粉を作るのを手伝ったり、穀物の汚れを取ったり挽いたりするのを手伝いもする」と述べた。

 また、イェフーダ・サイードというユダヤ教徒の男性も、「我々ユダヤ教徒はラマダーンを尊重している。その間も普段どおりに行動するが、断食しているイスラーム教徒の気持ちを尊重して、自分たちの家の外では飲み食いしたり、カートを噛んだりすることは控えている」と述べた。また、「こうした敬意はラマダーンの重要性とイスラーム教徒にとってのラマダーンの位置づけからきている。これはお互いにそうなのであって、イスラーム教徒もシャバトの我々の儀礼を尊重してくれている」と付け加えた。

(後略)

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( 翻訳者:小林洋子 )
( 記事ID:14726 )