イラクのアル=カーイダ、女性自爆志願者を徴用
2008年09月22日付 al-Quds al-Arabi 紙

■イラクのアル=カーイダ、女性自爆志願者を徴用:「娘よ、アッラーはあなたをお呼びである」

2008年09月26日付クドゥス・アラビー(イギリス)HP1面

 市場に配備されていた警察官たちは、ラニヤ・イブラヒーム・アンバキーが自分たちに新たな生をもたらしに来たとは思ってもいなかった。15歳半になるこの少女は、警察官の傍らを重たそうに体をふらつかせながら通り過ぎた。彼らは彼女の行動を不審だと疑い、立ち止まらせて職務質問した。

 彼女が体に巻きつけた重さ10キログラムを超える爆発物を仕込んだベルトを指差すと、警官たちはすぐさま行動に移り、彼女を近くにあった柱に縛りつけ、その場にいた人々を避難させて爆発物の専門家を呼んだ。爆発物が取り外された後、彼女は自分を送り込んだ母親とおばの名を告げて、「母は追加の作戦を計画している」と淡々と話した。

 捜査官たちは驚かなかった。最近のイラクは死の谷のようで、毎日新たな死線が引かれているからだ。スンナ派の家の娘であったラニヤは、完全な自覚のもとに死に向かって送り出されたのではなかった。8月24日、バアクーバの中央市場に出かける前に、おばは彼女に食事を用意し、そこに麻薬を盛ったのだ。その後、自分の息子を連れてラニヤと共に任務に出かけた。市場の防犯カメラはゆっくりと歩くその姿を捉えており、彼女の体は酔っ払いのように揺れていた。

 「吐き気を覚え、人の姿がぼんやりしてきた」「ひもが見えたので、自分が両足で歩く爆弾になっていることに気づいた。しかし彼らは私にそれは爆発しないと言った」「そして市場に着くと、彼らは私をそこに残し、少し買い物をして戻ってくる、と言った。彼らは遠隔操作で爆弾を爆破しようとしていたのだが、出来なかった」とラニヤは後に語っている。

 すぐさま捜査隊がディヤーラ市に向かい、母親のスアード・スレイマーン・ハズラジーを逮捕、その後キルクークで妹のウィジュダーン・スレイマーン・ハズラジーを逮捕した。〔ラニヤの〕おばの逮捕によってイラク情報機関は、バアクーバ県のみならずおそらくイラク全土で随一の女性自爆志願者たちのリクルーターを手中に収めたのである。

 ウィジュダーンはアル=カーイダで働いており、それによって高額の報酬を受け取っていた。彼女とラニヤの母親だけがこの商売に携わっていたのではない。母親の家ではおばの息子にあたるラシード・サッバールも逮捕され、その後彼が暗号名を「ファッラーフ(農民)」という、アル=カーイダの地域司令官であることが判明したのだ。ラシードの逮捕によって他の活動家たちも逮捕された。だがまだ続きがある。

 ラニヤ・イブラヒームの父、ムトラク・アンバキーは1年半前、殉教者になったと公表された。彼はバアクーバ東部のアブーシダ村の自宅で行った自爆作戦で亡くなった。彼が死んだ後、母親はアル=カーイダの拠点の一つであるディヤーラに移り、アル=カーイダのメンバーに受け入れられた。そのうちに母親はムハンマド・サミートという若い戦士と知り合い、自分の娘と結婚させた。尋問でラニヤが語ったところによると、母親の動機は経済的なものであったため、夫婦の関係は上手くいかず、数ヶ月のうちにいさかいが始まって1年半後には離婚した。最近、彼女の〔元〕夫は40人を殺害した容疑で刑務所に入れられている。

(後略)

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( 翻訳者:小林洋子 )
( 記事ID:14803 )