「テヘラン・イスラーム革命諸勢力調整評議会」、アフマディーネジャード大統領の大統領選再出馬への支持を表明:原理派内に早くも亀裂か
2008年09月29日付 E'temad-e Melli 紙

【エッテマーデ・メッリー紙:アーザーデ・モハンマド・ホセイン】《テヘラン・イスラーム革命諸勢力調整評議会》が、アフマディーネジャード現大統領の次期大統領選出馬を支持すると公式に発表した。これにより、原理派グループの選挙活動開始へ向けたグリーン・シグナルが点灯した格好だ。その一方で、身内の多くの有力者からは、時期尚早の選挙活動は控えるべきだとの声が上がっている。

 《テヘラン30地区イスラーム革命諸勢力調整評議会》の年次大会でアフマディーネジャード大統領立候補支持の表明がなされたのは、原理派陣営の有力者や長老グループが、原理派内でコンセンサスができるまでこの種の行動を控えることの必要性を強調していた中でのことだ。

 同評議会の動きは、第10期大統領選挙の過程で原理派内部にコンセンサスが形成されるのは難しいのではないかとの見方を、これまで以上に説得力あるものにしている。実際、ここ数日原理諸派の一部関係者も、同じことを指摘している。

 大統領選の支持候補者を早々に表明した《革命諸勢力調整評議会》の動きに対して、原理主義者らからは複数の反応が出ているが、同評議会がいかなる組織なのか、いぶかる声も一部からは聞こえる。

 《イスラーム連合党》のモハンマド・ナビー・ハビービー総書記は、《テヘラン・イスラーム革命諸勢力調整評議会》なる存在そのものは原理派内の統一と何ら矛盾しないとしつつ、「《調整評議会》は設立時、全国規模で活動していたが、その後様々な理由により、全国的な活動を休止した。しかし、テヘラン地区で同評議会を立ち上げた人物らは自らの位置や存在を守りつつ、テヘランで集団的活動を一部続けていた」と明かす。

 同総書記はその上で、「私見では、調整評議会には一団体として、意見を述べる権利はある。しかしそのような意見が日の目を見るかどうかは、大統領選挙ではっきりするだろう。今から一団体の意見が実現するかどうかについて、今から確かなことを予測することは不可能だ」と述べている。

 イスラーム連合党中央評議会委員で第8期国会議員のアサドッラー・バーダームチヤーン氏も、国会担当記者らに対し、この動きを「一集団の考え」にすぎないとした上で、「《革命諸勢力調整評議会》は正式に立ち上げられたものでもなければ、自らの存在を〔正式に〕表明したこともない。この集団はあのような名称のもとで活動している、テヘランの一部勢力が集まったグループにすぎない」という。

 《ゼイナブ協会》のマルヤム・ベフルーズィー総書記も「最近《革命諸勢力調整評議会》の名の下で、大統領選挙に関する立場表明があったが、これは所謂《革命諸勢力調整評議会》とは関係がない」として、次のように指摘している。「《革命諸勢力調整評議会》はナーテグヌーリー師を議長に、《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》や《イスラーム革命献身者協会》、《イスラーム革命忠誠者協会》等の原理派諸政党・諸組織のメンバーや識者などからなる組織として、立ち上げられたものだ。この評議会は諸々の理由から、現在は活動を休止している。しかし最近になって《革命諸勢力調整評議会》という名の下で立場表明をした今回のグループは、法的に認知されたものではない。それゆえ彼らは《革命諸勢力調整評議会》という名称を自らの集団に用いることはできないはずだ」。

 《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》の中央評議会委員であるアボルガーセム・レオフィヤーン氏も、次期大統領選挙におけるアフマディーネジャード大統領の出馬に支持表明を行った《テヘラン革命諸勢力調整評議会》の今回の動きは時期尚早であり、原理派大戦線からの同団体の離脱を意味するとして、次のように述べる。「今回の表明はあまりに早すぎるように思える。《テヘラン調整評議会》は今回の声明によって、原理派大戦線からの離脱を宣言したと言っていいだろう。もしコンセンサスを重視し、この戦略の実現のために努力することを考えていたのであれば、このように時期尚早な宣言をするようなことは控えていたはずだ」。

 同氏はさらに、もはやコンセンサスなど不可能であり、〔テヘラン革命諸勢力調整評議会は〕単独で見解を表明したと指摘して、「今回の動きはコンセンサスを得るための道とは相容れないものだ」と断じた。

 《教師イスラーム協会》中央評議会委員でもある同氏はさらに、「原理派戦線内で原理主義を標榜する派閥は、行動とスローガンの一致という信念を明徴にすべく行動するべきだ」とも語っている。

 その一方で、《テヘラン・イスラーム革命諸勢力調整評議会》実行委員会委員長のモハンマド・モオタゲド・ラーリージャーニー氏は、「この評議会は特定の党や集団に属するものではない」と明言している。

 他方、イラン学生通信の報道によると、テヘラン革命諸勢力調整評議会の出した声明には、次のような文言が見られるという。「首都テヘラン30地区イスラーム革命諸勢力調整評議会は、最高指導者の忠実なるバスィージ〔体制の守護を標榜する民兵組織〕兵士である現大統領に対する断固たる支持を表明する。われわれは〔イスラーム共和国の〕教義に忠実な政府を求めており、それは〔現政権の〕残り任期が〔アフマディーネジャード大統領再選によって現政権の残り任期1年に4年がプラスされて〕あと5年続くことを願い、第9政権の最後の年にあたる今年もまた、同政権の私欲なき奉仕が力強く推進されることを望む、気高きイラン人民の考えと同じである」。

 声明はまた、次のように明言している。「首都テヘラン30地区イスラーム革命諸勢力調整評議会は、すべての原理派組織や党、指導者らに敬意を表しつつ、人民の下僕であり、イマーム〔・ホメイニー〕と革命の言説の再生者であるマフムード・アフマディーネジャード博士を第10期大統領選挙の候補者として人民に推薦し、努力を惜しむことなく奉職するこの同胞を大統領に選出することで、人民に誠実かつ無償の奉仕を同氏が続けることを支援し、勇敢なる国民の栄光を書き記した書物に黄金の一ページを加えることを願う者である」。

 さて、原理派陣営の一部勢力が早々に第10期大統領選挙に名乗りを上げたことが原理派のコンセンサスを推進させることになるのか、それとも原理派内の一部関係者が認めたように、〔今回の動きをきっかけとして〕今後困難に遭遇しながらもコンセンサスが成立する方向へと動くのか、はたまたコンセンサスができあがるのはまったく不可能になってしまうのか、については今後を見守る必要があるだろう。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:14821 )