Fehmi Koru コラム:アメリカの危機とトルコのチャンス
2008年10月04日付 Yeni Safak 紙

冷戦後、世界の「唯一の超大国」として知られたアメリカは、カリスマ性をひどく失った。アフガニスタンとイラクで望むような秩序を構築できなかったため、軍事面で困難な状況に陥っている;昨今の経済危機は、権威をすっかり失墜させた。立派に見える金融機関もどうも吹けば飛ぶような紙切れで覆われているようだ;民主主義はといえば、危機に即座に応えなければならない国で仕事を遅らせているようだ...

ある国が「超大国」とみなされるために必要な条件は、多勢で機能的な軍隊と強固な経済を安定した民主主義の中で保つことができることである、という主張は、アメリカにとってもはや当てはまらない主張のようだ...

アメリカが直面しているようなカリスマ性の失墜した状況は、トルコのような国々にとってはチャンスの扉を開く...

もちろんアメリカのような大きな経済が困難に陥ると、全世界がこの状況から影響を受ける。アメリカがくしゃみをすればふとん一式が床に落ちてしまうような、経済が過度に依存した国々がある。しかしアメリカとの二国間の経済関係が数十億ドルに満たないトルコはそうした国には含まれない。アメリカの金融システムと連動した金融機関もトルコにはそれほど多くない;連動していても、関係のある部分はかなり限られている。このため直接的な影響はそもそもほとんど見られなかった。

間接的な影響も致命的な打撃にはなっておらず、今後もそうはならないだろう。アメリカでの危機がヨーロッパに影響を与えたために、我が国とより密接な関係のあるヨーロッパから吹くそよ風が経済を若干困難にするだろう。あるヨーロッパの銀行が困難に陥り、我が国にある支店も若干悪影響を受けた。しかし、我が国の銀行システムは、過去5年の間に公的管理下に置かれたため、ショックに対して以前よりもずっと頑強である。

専門家たちは次のように言っている。

チャンスはトルコにとって特に外交の分野で広がる可能性がある。
特に、アメリカが力を不当な場所やその背後にいる者たちに力添えしたために長期化している国際問題の解決において...

アメリカをこのような局面に追いやった過程は、2001年の911攻撃で幕を開けた。アフガニスタンとイラクに送られた占領軍は、アメリカ経済にとって1 兆ドルを越す負担の原因となった;この数字は(最終的には)3倍に達するものとみられている。911攻撃後、アメリカが自らに従順であるとみなし、アメリカの背後に控えていた勢力や国は、問題に誤った見立てが行われたことに気付くと支持の手を引っ込めた。今回の危機の前、アメリカは、単にその力(の大きさ)がはばかられるだけの「やっかいな」超大国であった。

911攻撃は、アメリカ政府が世界の紛争において正義にもとる側に加担したことに端を発していた。誰が何と言おうと、これが真実なのだ。アメリカは、この攻撃を正しく認識し、パレスチナ問題を皮切りに世界市民の立場に立ち、自らに「やっかいな超大国」の衣をまとわせた紛争を根絶させることにおいてに公平な仲介役を引き受けることができていたなら、今日全く異なった敬意を集められていたかもしれない。これをすべき場所で爆弾を撒き散らし、民主主義の旗振り役としての存在をアピールしながら罪のない人々を殺し、抑圧しながら911攻撃を断罪しようとした。

その結果を我々とともにアメリカ人自身も目の当たりにしている。

アメリカがその力を誤ったところに差し出したために解決不可能な状態となっているパレスチナ問題を解決するための最も理想的なときは今だ:イスラエルもアメリカの力が完全には信用できないことをこの危機から理解しなければならない。和平は、正義と公平の概念に細心の注意が払われる環境においてのみ形成され得る;和平の継続性もまたそのおかげで担保され得る。さもなければ、アメリカは経済危機に直面したといって、タリバーンの圧力がすでに感じられているアフガニスタンと殺人・自爆攻撃の増すイラクに戻ってくる。無理を強いて達成させたパレスチナ和平は...

トルコにとってはこのことを関係する双方に伝える好機である。

周りの長期化した問題が解決の道筋に入った場合、トルコをこの危機から最も(小さい)被害で脱出することに成功した国とみなすことができよう。

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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:14855 )