西側経済の激震、イランにも
2008年10月28日付 E'temad-e Melli 紙

【経済部】西側の経済危機という「津波」は、ここ数日間経済関係者たちや、特に政府の経済政策立案者たちを大喜びさせている。彼らは嬉々として、西側の経済的基盤や「発展」の思想的基礎は崩れ去ったと話している。しかし誠に残念ながら、今現在この危機の影はイランにも忍び寄ろうとしており、ここ3年間の石油原理主義に起因する危機をはるかに深刻なものにしていると言わねばならない。

 さて今日、経済専門家たちや国会議員たちはかつてないほど、イラン経済の将来、さらには「今この瞬間」に対する懸念を口にしている。

 彼らは過去3年間、かつてないほど素晴らしい可能性が国の経済には存在していたにも関わらず、経済合理性が顧みられず、また資源の配分においても的確なマネジメントが行われなかったために、国の経済は西側の経済危機と並行して構造的欠陥を抱えるようになったとの認識を示している。彼らの認識はもっともだろう。

 報告されているところによると、この3年間で政府は1980億ドル以上の石油を売却したが、この外貨収入が今日もたらしたものとは、25%のインフレと生産に結びつくことのない169兆トマーン〔約16兆9000億円〕もの通貨供給量以外の何物でもなかった。

 経済の膨張は製造業を揺るがし、経済問題の性急な解決と失業問題の打開のために資金を〔次々と〕投入していったことで、イラン経済を飲み込む混乱の渦は巨大化していった。このような主張は、経済専門家たちも認めていることである。

 2日前のテヘラン証券取引所指数の突然の下落とテヘラン市場における為替相場の不安定な推移からも、かなりな程度この事実を確認することができるだろう。〔※訳注:現在ドル高リヤール安が進んでおり、数ヶ月前まで1ドル約9千リヤールだったものが、今や1万リヤールを突破している〕

 しかしながら、この問題で何とも苦々しいのは、危機に対する防衛策が何も考えられていないことだ。

 昨日、国会の予算計画委員会の議員たちは、政府の経済担当者たちとの非公開会議を終えた後、外貨準備高が250億ドルであることを発表した。その一方で、これに先立ちアフマディーネジャード大統領はあるテレビ番組で、外貨準備高は絶頂期にあるといった趣旨の発言をし、過去3年間外貨準備口座に蓄えられたオイルマネーは過去の政権と比較して最も多いとの見方を示している。

〔中略〕

 〔このようなアフマディーネジャード大統領の楽観的な発言にもかかわらず、〕一部の経済専門家は、もしオイルマネーの利用方法が適切に計画されていれば、今日の外貨準備高は1500億ドルを越え、現在の世界的な経済危機にイラン経済が脅かされることもなかっただろうと話している。

 いずれにせよ、今となってはもはや「経済の津波」から簡単に逃れることは不可能であるように思われる。

 もちろんマフムード・アフマディーネジャード大統領も、昨日政権の経済官僚たちに向けた書簡の中でこの問題にふれており、タスクフォースを設置して西側の経済危機と、それがもたらすイラン経済への影響に関して評価を行うよう求めている。

〔中略〕

 最後に、OPECの石油価格が60ドル以下にまで値崩れしていることを指摘しなければなるまい。国際通貨基金は、石油価格が90ドルでなければイラン経済は〔財政の〕均衡を保つことができないとの見方を示している。

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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:15061 )