テヘランの新生児売買組織、摘発される
2008年12月16日付 Iran 紙

【事件部:ファルナーズ・ガルエダール】新生児を売買しては、公文書を偽造していた地下組織の活動の謎が、国家戸籍庁保安局の告発をきっかけとして暴かれた。

 本紙事件部記者の報告によると、しばらく前、国家戸籍庁保安局の当局者らがテヘラン刑事検察庁予審判事第5課を訪れ、同庁の職員一名を身分証明書の偽造の疑いで告発した。これを受け、タヴァッコリー予審判事の命令により、専門的捜査を開始すべく、本件はテヘラン捜査警察第13課の捜査官らの手に委ねられた。

 捜査官らがケイヴァーン(40歳)を捜査した結果、この男が約3年前より偽造された身分証明書を新生児に発行していたことが判明した。捜査官らは情報を収集し必要な証拠を入手した上で、ケイヴァーン容疑者を逮捕、身柄を捜査課に移し、取り調べを行った。

 取り調べの中で男は、自らの罪を自白し、次のように語った。
三年前知り合いを通じて、テヘランで診療所を2軒経営しているという、ある助産士と知り合った。彼女は私が戸籍庁で働いていることを知ると、私にもうけ話を持ちかけてきた。「子どものできない夫婦が新生児を両親から買い取る際、子ども用に新たな身分証明書を取得する必要がある。そこで新生児1人につき100万から300万トマーン〔約10万円から30万円〕を支払うので、身分証明書を作ってくれないか」というものだった。

こうして、新生児売買組織の首謀者であるこの女性との協力関係が始まった。これまで身分証明書を27冊、新生児用に発行した。全員女の子だった。

 捜査官らはさらに捜査を続けた結果、とあるテヘランの病院職員であった中年女性がこの組織に関与していることを突き止めた。この女は、新生児を売りたいと考えている家族を見つけては、それを組織の首謀者に紹介し、不埒な取引をセッティングしていた人物だった。

 こうしてマルジャーンという名の女が特定され、逮捕された。女はテヘラン刑事検察庁第5課に身柄を移された後、次のように供述した。
私は神のご満足と家族の喜びのために、この仕事をしていただけです。金銭的に貧しく、子だくさんの夫婦を見つけては、彼らをパリー(組織の首謀者)に紹介していました。彼女は、子どもの買い手と売り手が知り合うための場をセッティングしていました。合意ができると、妊婦の入院準備、出生証明書の作成、その他必要書類の作成を行い、その後それらの書類を新生児とともに、買い手の家族に渡していました。

 マルジャーンの供述を受け、捜査官らは助産士のパリー逮捕に向け、捜査を開始した。二ヶ月間昼夜にわたる捜査と証拠書類の収集の結果、ついに土曜日朝パリーの身柄を確保した。

 この中年女性は当初、矛盾した供述を繰り返し無罪を主張していたが、共犯や証拠の存在に直面し、ついに自白へと追い込まれた。パリー容疑者は「この仕事は、家族を助けたいとの善意で行ったものです。このことで一切お金は受け取っていません」と供述している。

 タヴァッコリー予審判事は、この事件に関し本紙記者に次のように述べている。「これまで27家族が特定された。売られた新生児のうち何人かは、すでに2歳から3歳になっている。捜査によると、これらの家族はどれも、100万から400万トマーンで新生児を買い取った模様だ」。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15374 )