少女のミイラの謎:本物か、偽物か?
2008年12月11日付 Jam-e Jam 紙


【事件部】4500年以上前のものとされる10歳の少女のミイラ化した遺体が発見され、文化遺産庁の考古学者たちはこの件に関する調査を開始した。

 「ジャーメ・ジャム」の報道によると、アラーク州〔註:テヘラン州南西に位置し、エスファハーン州に隣接する州〕治安維持軍ナビーオッラー・ヘイダリー総司令官は月曜日、記者会見でミイラが発見されたことに言及し、次のように述べた。「2ヶ月間にわたる大規模な情報収集活動によって、6人組の文化遺産密輸業者がエスファハーン州のある町で発見されたミイラを、35億トマーン〔約3億2400万円〕で売却しようとしていることが明らかになった」。

 アラーク州治安維持軍総司令官は次のように続けた。「2ヶ月間にわたる治安警察捜査員たちの昼夜を問わぬ努力によって、この一団は突撃捜査で逮捕され、少女のミイラが発見された。密輸業者への取調べが行われた結果、彼らはこのミイラをジーロフトの山岳地帯で発見・発掘したと供述した」。

本物か、偽物か

 このミイラが本物か偽物か、考古学者たちや遺伝学の専門家たちは謎解きに懸命だが、考古学の有識者たちはこの件についていまだ見解を明らかにしていない。

 数年前、「ルードグーネ」〔※〕のミイラ密売を画策していた一団のメンバーが、治安機関の捜査員らによって逮捕されたとの類似の報道がなされたことがあった。

 犯人逮捕により、アケメネス朝のキュロスの娘のものとされるミイラが、ミイラの身元を明示する楔形文字の入った偽の遺物と共に発見された。しかし後の調査で、文化遺産によって利益を得ようとした者たちが、ある町の墓を暴き、女性の遺体を盗んでパキスタンの町に運び、タールを塗ってアケメネス朝の文様入りの棺に入れ、パリのルーヴル美術館の仲買人に〔アケメネス朝時代のミイラとして〕売却しようとしていたことが明らかになった。

 この問題について様々な報道がなされた後、文化遺産庁の考古学者たちは、「地理的な位置、ならびにイラン史の各時代に生きた人々の信仰からして、我が国でミイラが存在したことは一度もない」との最終的な見解を述べた。

 しかし、今話題の「10歳の少女のミイラ発見」のニュースに対し、未だ考古学者たちからこの件についての見解は明らかにされていない。

損傷のない毛髪

 自ら至近距離でこのミイラを目撃し写真を撮影した「ジャーメ・ジャム」紙アラーク特派員の報告によると、このミイラは他に例のないもので、体や髪は当初の状態を保っているとのことである。〔‥‥〕

 どのみちこのミイラの謎が解けるまで見守るほかないが、イランの地で遺体がミイラ化されたことはないとの考古学者らの従来の見解に照らすならば、今回発見された10歳の少女のミイラ化した遺体も、果たして偽物なのだろうか。

 この問いの答えが「ノー」ならば、この10歳の少女のミイラはどのようにして、どの時代に、どの民族によってミイラにされ、ジーロフトの山岳地帯に埋葬されたのだろうか。

 また、このミイラが本物であることが証明された場合、この少女が10歳で死んだ原因についても、専門家によって明らかにされるのだろうか。

 間違いなく、多くの問いが適切な答えが出るのを待っている。我々も読者の皆さんと同じように、それまで辛抱することとしよう。



※訳注:「ルードグーネ」とは、2001年にパキスタンで「発見」されたミイラに刻み込まれた名前。このミイラは楔形文字で、自らをアケメネス朝クセルクセス王の王女ルードグーネであると名乗っていたが、後に1999年にイランのスィースターン・バルーチェスターン地方で殺害された21歳のイラン人女性であったことが判明した。(2001年8月18日付イラン紙の報道より)

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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:15396 )