100トマーンのガソリンよ、さようなら:来年1日からガソリン価格変更の可能性
2009年01月05日付 Jam-e Jam 紙

【経済部】今のうちにリッター100トマーン〔約10円〕のガソリンをタンク一杯に入れておいた方がよいだろう。来年〔2009年3月21日〜〕から、リッター100トマーンのガソリンはなくなってしまう可能性があるのだ。

 複数の通信社が伝えたところによると、テヘラン商工会議所代表者委員会との朝食会に出席した石油省立案担当次官は昨日、この「吉報」を明らかにした。石油省次官のこの発表は、会合に同じく出席した石油相の発言よりも、世論の注目を集めている。

 アクバル・トルカーン次官によると、この措置は補助金、特にエネルギー関連の補助金を「目的化」することを目指す「経済改革計画」の枠組みの中で行われるもので、ガソリン価格は3つの段階を経て、3年後にはペルシア湾FOB価格の9割のレベルにまで引き上げられる予定だという。
〔※訳注:「補助金の目的化」とは、ガソリンや電気、ガスなどに投入されている補助金を廃止して、その代わりに補助金を「現金化」して、貧困層を「ターゲット」に現金を直接給付する計画を指す。ガソリンなどの補助金は物価抑制に役立ってきたが、ガソリンの浪費を招いている、貧困層であれ富裕層であれ例外なく補助金の恩恵に浴することができ、自家用車を所有していない貧困層には間接的にしか補助金の恩恵が行き渡らない、補助金の入った安いガソリンが近隣諸国に密輸されている、などの問題が指摘されてきた。アフマディーネジャード政権が進めるこの「経済改革計画」には、その一方で極端な物価上昇を招くといった批判も多く、今後の国会の対応が注目されている〕

 このため、3段階からなるこの計画の第一段階が来年度〔3月21日〜〕にも開始され、補助金の削減によって、ガソリン価格が上昇する可能性がある。

 石油省次官は、来年度の新たなガソリン価格がどのくらいになるかについては言及しなかったが、しかし100トマーン・ガソリンを目にすることはもうないだろうと強調した。同様に、トルカーン次官は100トマーン・ガソリンだけでなく、400トマーン〔約40円〕で提供されている「自由価格」ガソリンについても、値上げが行われるだろうとした。同次官は、自由価格ガソリンの新たな価格についても発表しなかったが、価格の変更は行われるだろうと指摘した。

 このような発言から、我が国におけるガソリンや燃料の供給に新たな時代が始まりつつあることを見て取ることができ、その影響はその他の経済変数や自動車といった商品の価格に早速現れるのではないかと思われる。

 同次官はまた、今年度〔2008年3月20日〜〕のガソリン輸入における予算の不足額は42億ドルに上るだろうとの予測を明らかにした。

 同次官はさらに、来年度の石油価格は1バーレル52ドル強にまで上昇し、2〜3年後には60ドルから75ドル程度になると予測されていると指摘し、「来年度、4000リヤール〔400トマーン、すなわち約40円〕の自由価格ガソリン、ならびに1000リヤールの補助金入りガソリンが提供されることはないだろう。イランのガソリンは3段階に分けて徐々に、ペルシア湾FOB価格で提供されるようになるだろう」と述べた。

〔中略〕

 同次官はまた、来年度用のガソリン輸入予算について意見を述べることは、「経済改革計画」法案が国会で可決されるまで控えたいとして、次のように述べた。「国会がこのことに関して何らかの決定を下す前に、議員らの決定に影響を及ぼすような数字を申し上げることはできない。国会議員は公共の利益を考慮して法律を決めるべきで、われわれはその実行役に過ぎない」。

 同次官は、今年度のガソリン及び軽油の輸入費用の総額は75億ドルであったが、当初予算で決められていたのは33億ドルに過ぎなかったと述べた。

 トルカーン次官は輸入ガソリンの価格について、「現在ペルシア湾地域のガソリン価格は1トンあたり355ドルで、この価格で我が国に輸入されている。しかしガソリンの輸入価格は今年度の初めには1トンあたり1200ドルで、これよりもさらに高い時期もあった。平均すれば、ガソリンの輸入価格は1トンあたり700ドルであった」とした。

 同次官はさらに、「輸入ガソリンの価格が1トンあたり1250ドルの時も、現在のように355ドルの時も、自由価格ガソリンとして1リッター4000リヤール〔約40円〕で提供されてきた」と〔「自由価格」ガソリン制度の矛盾を〕指摘した。

〔中略〕

 同次官によると、補助金入りのガソリンは1リッター100トマーン〔約10円〕、軽油は1リッター16.5トマーン、天然ガスは13トマーンという安値で市民に提供される一方、年間の原油消費量は6億バレルに上ることを指摘した。
〔※訳注:BP Statistical Review of World Energy (2006) によると、2005年のイランの年間石油消費量は約6億500万バレルで、毎年増加傾向にある。なお、同年の日本の年間石油消費量は19億5000万バレルでイランの約3倍強。イランの人口は約7千万人なので、一人あたりの年間石油消費量は日本よりも少ないが、経済規模を考えるならば、イランの消費量はかなり高いとの印象〕

88年度予算での想定石油価格

 テヘラン商工会議所代表者委員会との朝食会に出席したゴラーム・ホセイン・ノウザリー石油相は、88年度〔2009年3月21日〜〕予算法案における石油の最終想定価格は37.5ドルであると述べ、同法案はバフマン月初旬〔1月下旬〕にも国会に提出される予定であることを明らかにした。

 同時に石油相は、「経済改革計画」法案の今後の行方次第によっては、予算編成にも否定できない影響があるだろうと指摘し、政府提出の同法案の早急な審議を国会にそれとなく求めた。

 石油相はまた、「制裁にもかかわらず、我が国の原油生産量は84年〔2005/6年〕の日量400万バレルから430万バレルに上昇し、35万から40万バレルの生産量の低下を十分にカバーした」と述べた。

〔後略〕

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
関連記事(「経済改革法案」、国会提出見送られる:4名の閣僚に対する問責案、来週にも国会に上程される可能性)

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15539 )