ミール・ホセイン・ムーサヴィー元首相の大統領選出馬の可能性、強まる
2009年02月14日付 E'temad-e Melli 紙
2009年2月17日付エッテマーデ・メッリー紙2面より転載。ムーサヴィー元首相は一番奥
2009年2月17日付エッテマーデ・メッリー紙2面より転載。ムーサヴィー元首相は一番奥

改革派戦線内の選挙へ向けた争いが、新たな段階を迎えている。メフディー・キャッルービーの第10期大統領選への出馬表明に続いて、バフマン月20日〔2月8日〕にはセイエド・モハンマド・ハータミーが立候補を表明したが、今度はミール・ホセイン・ムーサヴィーが改革派戦線の第三の有力候補者として、選挙戦の舞台に名乗りを上げるだろうとする観測が取り沙汰されているのだ。

 ミール・ホセイン・ムーサヴィーの出馬が有力視されている背景には、ムーサヴィー元首相が最終的決断を下す前に、セイエド・モハンマド・ハータミーが出馬を表明してしまったとする、ムーサヴィー支持者らの証言がある。

 ハータミーは当初、「自分かミール・ホセイン・ムーサヴィーのいずれかが立候補する」と表明していた。しかしミール・ホセイン・ムーサヴィーはその三週間前、ハータミーとの会談の中で、「オルディーベヘシュト月〔4月下旬〕まで待ってほしい。今は、出馬するともしないとも言えない」と述べていた。ハータミーはしかし、ムーサヴィー氏が決断を下すまで待つことができず、出馬を表明したというのである。

 メフディー・キャッルービーは夏にハータミーと行った会談の中で、同師に対しキャッルービーとハータミー両師がともに出馬を表明し、その上で「改革派調停評議会」を立ち上げて、候補者の一本化を行おうと提案していた。しかしハータミーは、この提案には従わなかった。キャッルービーが出馬を表明する一方で、ハータミーは出馬表明を見送ったのである。

 その後、注目はハータミー出馬の有無に向けられた。ハータミーの出馬をめぐる議論は過熱し、ムーサヴィーと会談を行った同師はついにその二週間後のバフマン月12日〔1月31日〕に、「ミール・ホセイン・ムーサヴィーは迷っているようだ。恐らく、私が出馬することになるだろう」と述べたのであった。

 このような発言の一方で、ミール・ホセインは二週間前の会談の中で、「〔出馬が適当だと〕判断すれば、必ず出馬する」とハータミーに伝えていた。

 ハータミーはミール・ホセインとの協議の内容に十分注意を払うことなく、バフマン月20日に出馬を表明した格好だが、しかしこの日以降ムーサヴィー支持者らからは次のような声が上がり始めた。曰く、「ムーサヴィー氏は選挙への出馬を迷っているわけではなく、むしろ一部の体制指導者たちと重要な会談を〔積極的に〕こなしている」。

 ミール・ホセイン・ムーサヴィーの側近たちは以前、メフディー・キャッルービーに送ったメッセージの中で、ホルダード月二日戦線〔=改革派のこと〕内から候補者が多数現れることは、それ自体決して悪いことではなく、非難合戦に発展しなければ問題はないと強調していたが、ムーサヴィーの側近らがキャッルービーともった面会の中でも、同様の趣旨が繰り返された。これに対してキャッルービーも賛意を示し、〔自身が所有する〕エッテマーデ・メッリー紙に対してムーサヴィー支持者らに関するニュースや分析記事を〔積極的に〕配信し、互いに友情関係を保ちながら行動するよう求めるつもりだと言明していた。

 二回にわたって行われたこの面会は、ハータミー=ムーサヴィー会談の前に行われたものだが、ムーサヴィー支持者らは最新動向の中でも、自らの動きをさらに加速させている。選挙事務所の運営を任された責任者たちは活動を開始し、選挙用の声明文を発表する準備も整っている模様だ。

 ☆ ☆ ☆

 このように、セイエド・モハンマド・ハータミーが選挙への出馬への意志を表明する中、ミール・ホセイン・ムーサヴィーもまた、その意志を固めつつあるようだ。セイエド・モハンマド・ハータミーの支持者らが同師の出馬への意気込みを語っているのと同様に、ムーサヴィーの側近らも同元首相の意志が真剣であることを指摘している。

 ミール・ホセイン・ムーサヴィーの選挙への出馬への意志が固まりつつあることは、改革派内での争いに新たな活気をもたらしている。実際、情報筋が証言するところによると、ミール・ホセイン・ムーサヴィーは近く声明文を発表し、立候補を表明することを決意したという。その一方で、ハータミーが「私とキャッルービーの間に対立はない」と語っているように、キャッルービーもまた「私とハータミーは互いに対峙しているわけではない」と述べている。

 改革派からメフディー・キャッルービー、セイエド・モハンマド・ハータミー、そしてミール・ホセイン・ムーサヴィーの三人の候補者が出揃うことが確実となったと言えよう。

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 改革派は複数の立候補者とともに、選挙戦に臨む。メフディー・キャッルービーも昨日、改革派から複数の候補者が立候補することは否定的なことではないと述べている。しかしいずれにせよ、〔ミール・ホセイン・ムーサヴィーの出馬表明まで〕あと数週間待たねばならないだろう。

国民信頼党の反応

 国民信頼党のスポークスマンを務めるエスマーイール・ゲラーミー=モガッダムは、第10期大統領選へのミール・ホセイン・ムーサヴィーの出馬の可能性が強まりつつあるとの報道に対し、次のように述べた。
過去数ヶ月間の経緯を振り返れば分かるように、改革派の有力候補者の一人であるメフディー・キャッルービー師が選挙への出馬を表明したことを受け、ハータミー師とミール・ホセイン・ムーサヴィー氏の二人も選挙に出馬するのではないかとの議論が、以前から取り沙汰されていた。またハータミー師は、「私とミール・ホセイン・ムーサヴィーのいずれかが選挙に立候補するだろう」と述べていた。国民信頼党も当初より、選挙戦の舞台にさまざまな人物が立候補することを歓迎すると表明してきたし、候補者の一本化へ向けた方策について提案してきた。

 同氏はさらに、次のように続けた。
われわれは以前から、ハータミー、キャッルービー、ミール・ホセインの三氏のうちいずれか一名が選挙に〔正式に〕立候補することになるだろうと述べてきた。われわれのこのような姿勢は、複数の候補者が最終的には一人の人物に絞り込まれるだろう、多数の候補者が乱立するのではないかとの不安を取り除くことになるだろうという期待を、改革派の支持者たちに抱かせるものであった。

 同氏はその上で、次のように強調した。
ご存知のように、現在ハータミー師が選挙戦への出馬を表明し、ミール・ホセイン・ムーサヴィー氏も選挙戦への出馬を決意したとの報道が流れている。改革派からは三人の候補者が選挙戦に臨むことになるわけだが、しかしいずれにせよ、改革派の指導者たちが方策を練り、指導力を発揮することで、最終的にはこれら三人の改革派系立候補者のうち一人が選挙の場に残ることを、私としては期待している。


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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:15816 )