投石刑の既決囚が、「絞首刑」に
2009年02月21日付 E'temad-e Melli 紙

【エッテマーデ・メッリー】司法権報道官記者会見のたび、記者団がアリーレザー・ジャムシーディー報道官に投石刑既決囚の命運を尋ねると、報道官は確信を持って「投石刑の執行は司法権長の命令で停止されている」と答えていた。

 しかし司法当局報道官のこの発言は、全く確実性のないものだった。なぜなら、この命令があったにもかかわらず、今年〔西暦では昨年〕二人の男性がマシュハドで投石刑となり、木曜日の朝にもさらにもう一人の投石刑既決囚が[絞首刑により]「処刑」されたからだ。

 アブドッラー・ファリーヴァル既決囚(50)は1383年〔西暦2004/05年〕、17歳の少女と不義の関係をもった疑いで逮捕され、これによって裁判所から姦通罪で「投石刑」を宣告された。木曜日の刑を宣告した裁判官は、この男性をサーリー〔イラン北部の都市〕刑務所の木曜日の[通常の方法での]処刑者リストに入れてしまった。

 この男性の母、デラフシャンデ・ノウロステさんは木曜日、息子の埋葬の数時間後にこの事実を認め、次のように話した。

水曜日の昼、裁判所から私たちに連絡があり、アブドッラーの刑が木曜日に執行されると知らされました。私たちが刑務所に問い合わせると、『もしサーリーの金曜礼拝導師が書状を出せば、宣告された刑の執行停止もありうる』と言われました。私たちは急いで金曜礼拝導師の事務所に行きました。

 導師は、判決書を読むのでここへ持ってくるようにとおっしゃいました。私の子供たちがその書類を届けるために再び金曜礼拝導師の事務所を訪ねたとき、導師は既に帰られており、もう私たちには導師の書状を手に入れるすべはありませんでした。


 ノウロステさんの話によると、木曜日の午前6時に刑務所敷地内で処刑が行われ、午前7時に刑務所当局者が遺体を遺族らに引き渡し、遺族らが数時間後にファリーヴァル既決囚を埋葬した。


既決囚の家族は訴えることができる

 しかしながら、サーリーでアブドッラー・ファリーヴァル既決囚の刑罰に対し、執行命令を出した裁判官たちが選んだ方法は、世俗法にもイスラーム法にも適っていない。

司法権長の恩赦命令にもかかわらず未だ恩赦審査委員会が釈放を認めていない投石刑既決囚の一人、コブラー・N既決囚の弁護士であるマルヤム・キヤーンエルスィー氏は、これについて次のように述べた。

「立法府はイスラーム刑法第83条において明確に『既婚の』男女による姦通罪への罰則を投石刑と定めている。法律で定められている刑罰を変更しえないことを考えれば、サーリーでの刑の執行に関する裁判官たちの決定は世俗法にもイスラーム法の基準にも反している。」

 氏の話によると、「処刑された者の家族は、司法医による死亡証明書が死因を処刑による窒息死としていることを踏まえ、治安維持軍司法検察庁へ訴えるべきである」。

〔中略〕

 昨日、投石刑既決囚3人の弁護士シャーディー・サドル氏は、アブドッラー・ファリーヴァル既決囚の処刑方法に関連し、3人の既決囚の命運について次のように懸念を表明した。

「投石刑既決囚が[絞首刑で]処刑されるのはこれが初めてだ。このような状況では、刑務所で過ごしている他の既決囚たちの状況が非常に危惧される。なぜなら、刑の執行を指示した裁判官の誰かがこうした既決囚たちの『処刑』を決定する可能性が常にあるからだ」。

 アブドッラー・ファリーヴァル既決囚は50歳の音楽教師で、1383年〔西暦2004/05年〕から姦通の容疑で逮捕・拘留されていた。同既決囚は妻と2人の子供を持ちながらある少女と性的関係を持っていたが、家族の話によると、この性的関係は「不義の(イスラーム法に反した)」関係ではなかったという。

 なぜなら、ファリーヴァル既決囚とその少女は互いに「一時婚」の契約に同意しており、アブドッラー・ファリーヴァル既決囚の妻もこの関係を把握し、この結婚に同意していたためである。


国会で審議中のイスラーム刑法法案

 今年デイ月第一週〔西暦2008年12月末頃〕にも、男性2人がマシュハド〔イラン北東部の都市〕のベヘシュト・レザー墓地で投石刑となり、その時にも人権運動や女性の権利保護運動を行っている弁護士たちが、司法権長による停止命令が出されているにもかかわらず他の既決囚たちにも「処刑」が執行される可能性があることについて警鐘を鳴らした。

 さらに、弁護士らは国の立法当局に対し、イスラーム刑法法案が審議されていることを踏まえ、同法からこの条項[投石刑を定めた条項]を削除するよう求めた。なぜなら、彼らが見たところによると、現在国会で審議されているイスラーム刑法法案でも、既婚者の姦通は依然として[刑法上の]罪であり、その刑罰は投石刑であるからだ。

〔後略〕

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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:15895 )