Semiz Idizコラム:クリントン国務長官から世俗主義に関する重要発言
2009年03月09日付 Milliyet 紙

アメリカ合衆国国務長官ヒラリー・クリントンの訪問は、ブッシュ前政権が、公正発展党(AKP)政権を見てトルコの政治的体制を定義付けようとしたことに不満をもつ人々にとって安心感を与えるものとなった。

ヒラリー・クリントン氏が、ブッシュ政権の『穏健派イスラム』という発言から離れて、トルコについて何度か「憲法が世俗的である国」として言及したことは、ワシントンの新たな政権によって行われた重要な『政治的尺度』として受け止めることが必要である。

行動や会見などで好感を集め、(また)このことによりわれわれの国で広く見られる反米意識の排除に一役買うであろうことが確実な同氏による、民主主義や人権、報道の自由、そしてトルコのEU加盟への成り行きについての強調も、注意を引くものであった。同氏は、アメリカが作成した人権に関する報告書内の『報道の自由』についてエルドアン首相が不満を述べたことを、冗談を交えた柔らかいアプローチで事実と認め、これに対する返事を求められたときの発言も興味深いものであった。

■ 謙虚な姿勢

控え目な態度で自身の経験についても言及しつつ、「たとえ気に入らなかったとしても、政治家たちは自由な報道を許容しなければならない」という意味にとれる発言をおこなったことは、エルドアン首相をどれほど満足させたかはむろん察するに余りある。

この熱の入った訪問の最も重要なサプライズは、疑い無く、アメリカ合衆国大統領バラク・オバマ氏がこの1カ月の間にトルコを訪れるという公表であった。外交官たちは、このことを、トルコに示された大いなる重要性の表れであると評価付ける一方で、アメリカ政府がアルメニア人虐殺問題により両国関係を曇らせることを望んでいないとのメッセージとして評価付けることにおいても、一致している。クリントン氏が、(インタビューをおこなった)メフメト・アリ・ビランド氏に答えた発言において、トルコがアメリカの友好的なNATO同盟国であることを強調したことや、こうした認識のもとオバマ氏の訪問がおこなわれると述べたことも重要であった。

なぜなら、オバマ氏が、イスラム世界に呼び掛ける目的で旅立つことが明らかにされた外遊をトルコから始めるであろうとの憶測は、イスラム諸国の間ではここ暫く広まっていた。クリントン氏が、オバマ氏がこの外遊で「トルコ国民に呼びかける」と述べ、トルコが「世俗的な憲法を持つ民主主義(国家)」であることを、これに関連して繰り返したことは、注目すべきことであった。

■ 前向きな時期に入っている

トルコは「イスラムが世俗主義や民主主義と問題なく共存しうることを示した模範である」とクリントン氏が付け加えたことも、ことの意味を定めるものとなった。トルコ訪問の間にオバマ氏がイスラム世界にメッセージを送るとすれば、そのメッセージはこのことであろうことが、先の発言から理解されるのである。

合衆国政府がトルコのEU加盟の成り行きを重視しているとクリントン氏が強調したことは、オバマ政権がEUで真剣な「トルコロビー(活動)」を発足させる予定であることを公にしたものである。この発言が、西欧諸国との関係でここ最近複雑なシグナルを送るトルコ政府が伝統的な路線へ戻るという点で影響力をもつことが期待される。

ババジャン外相が先週イスラエル外相のリヴニと行い、「戦略的な関係」が強調された会見も考慮すると、ここ最近経験された乱気流の後、トルコ政府が実際に外交政策における伝統的な路線に戻り始めたといいえよう。

トルコが、慣れていない水の中で泳ごうと努力した後に、この路線に戻る必要性を感じたことは、長期の国益がいずこにあるかについてある認識が生じているサインとしても受け止めることもできよう。

アメリカ合衆国の側で、外交的、政治的そして社会的な基本姿勢がとてもよく準備されていることがわかった(今回の)ヒラリー・クリントン氏の訪問によって、両国間の関係において新たな、そして前向きな時期に入ったことがはっきりとみてとれる。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:15950 )