エルドアン首相、経済危機対応策を公表
2009年03月14日付 Zaman 紙

タイイプ・エルドアン首相は、不況の中、国内市場活性化をもたらすと期待される対応策の詳細を、エスキシェヒル・ミーティングで明らかにした。

総予算55億トルコリラ(約3120億円)に上るとみられている第四次経済危機対策によると、150平方メートルを上回る家屋にかかる付加価値税が3ヶ月連続で18%から8%に減税。また軽自動車(小型車)にかかる自動車税は37%から20%に引き下げられる。検討されている8項目の経済対策では、家電製品にかかる18%の付加価値税を8%に下げることも予定されており、輸出業者への資金援助ためにトルコ輸出信用銀行(Eximbank)の資本が5億リラ(284億円)増資されている。首相は、経済危機対策により国内需要が活性化され資金貸し付けも順調に行われ、さらには予算削減を狙っていると述べ、住宅購入を考えている人々には「急いでください」と呼び掛けた。

エスキシェヒルで国民に演説した首相は、2008年中頃にアメリカで始まった世界同時経済危機が全世界に波及し始めていると説明。「誰がこの不況に責任があるとは言えない」という表現を用いたエルドアン首相は、政府としての対策を打つことを言明した。トルコ航空の航空チケットが30%値上げされたことや集合住宅が不足していることなどを話題にあげた首相は、野党やメディアに対して次のように付け加えた。
「かつて、経済危機から利益を得たものがいたように、今は票を得る者もいる。彼らは私たちが追加予算を出さなかった、利益を保証しなかったとして共同歩調をとり、公正発展党(AKP)をどうやって痛めつけようかと我々に対抗してくる。国民の皆さんはこれらを認識しておいてください、きちんと認識してください。経済危機が起きたといって有頂天になっている人のことを。トルコはこの世界経済危機に打ち勝ちます。安定した中で、一貫性の中で、信頼の中で成長と発展を続けていきます」

野党が「対策を打ち出していない」と言って政府を非難していることについて、エルドアン首相は「経済危機の予兆を感じ取ったときから、30以上にのぼる対策を実行してきました。東南部アナトリア開発計画や高速道路への投資をはじめとして公共投資を増やしましたし、事業主による保険料納付を5ポイント引き下げました。また中央銀行は(貸付)利率を段階的に10%強にまで引き下げました。また海外資産をトルコ金融市場へ取り戻すための資産協定法を施行しましたし、奨励適用期間を延長しました」と話した。

■減税は一刻も早い実施を
首相が自動車、家電製品、電子機器部門を対象に特別税の減税を発表したらすぐに、一刻も早く具体的な展開がなされるべきだと語ったオヤク投資アナリストのジェマル・デミルタシュ氏は、「詳細をはっきりすべきである。細部が重要だ。近々、需要の安定がありうる。自動車産業では排気量1600ccの小型車の特別税が現行の37%以下に引き下がる。特に地域産業の利益が保証されるでしょう」と述べた。一方ソヤックホールディングスの最高経営責任者(CEO)のM・エムレ・ジャムルベル氏は住宅にかかる付加価値税が18%から8%に引き下げられることに関して、「現状では150平方メートル以下の家屋に対する付加価値税は1%である」と述べた。そして150平方メートル以上の不動産にかかる付加価値税が18%であると述べたジャムルベル氏は、付加価値税減税は豪邸といわれるような住宅には一定の効果があるだろうが、トルコにおける住宅ストックの大部分は150平方メートル以下の家屋からなっていることを指摘した。経済投資協会の主席エコノミストであるバヌ・クヴジュ・トカル氏によれば経済危機でもっとも深い痛手を被っているのが住宅産業、自動車産業、耐久消費財産業であり、これらに減税政策が適用されることで、景気後退がより深く広く浸透することを防ぐという観点から、経済を下支えすることに繋がるだろうと話した。

政府が自動車産業を安定させるために提案した新たな政策を、自動車産業の指導者らは不十分と見ている。ヒュンダイ・アッサン株式会社のアリ・キバル社長は、一時的な減税のため売り上げが3ヶ月間縮小するだろうと述べ、特別税が値下げされる3ヶ月が過ぎたら、今度は中古車販売促進支援をしてもらう必要があると語った。またトファシュ社の最高経営責任者のアリ・パンドゥル氏は対策を一刻も早く、月曜日に発表することが有効だとし、「さもなければ、期待も、市場も完全にしぼんでしまう」と述べた。自動車普及協会のイブラヒム・アイバル会長も特別税減税は自動車産業に自信を与え、在庫を減らすものでなければならないと語った。

■経済活性化政策に盛り込まれる方策
・トルコ輸出信用銀行(Eximbank)の資本が、2008年の5億リラの増資分に加えてさらに5億リラ(約284億円)増加される。
・国内需要の低迷を改善するためトルコ政府特別ファンドKKDFは5ポイント(33パーセント)減らされる。
・KOBI(註)らの低利子ローン利用を支えるために、予算から中小企業開発機構(KOSGEB)に見込み財源7千5百万リラ(約43億円)が特別に与えられる。これにより財源は2億7千5百万リラ(約156億円)になる。
・家電製品にかかる特別税においても3ヶ月間減税。
・農家支援価格統制基金に予算から7千5百万リラ(約43億円)の財源が充てられ、5億7千5百万リラ(約328億円)になる。
・住宅産業部門では18%の付加価値税が3ヶ月間8パーセントに値下げされる。
・自動車産業部門の国内需要を活性化し、在庫をなくすため3ヶ月間特別税が減税される。
・今年産業界に導入された電気の夜間割引料金が週末と国民の休日にも適用できるように拡大される。

(註)(註)KOBI…小及び中規模の経営の総称。250人以下の労働者を雇用し、年間の純売り上げ高もしくは財務のバランスシートが2500万YTLを越えないものを指す。(トルコ語版ウィキペディアより)

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:15994 )