大統領は、「クルディスタン」といったか否か
2009年03月25日付 Hurriyet 紙
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イラクから帰国したギュル大統領は、論争となっている「クルディスタン」という表現について、使わなかったと主張した。「イラクの憲法ではイラク北部にクルド地域政府が存在するのを認めており、私はそれについて述べた。ごく普通のことである。こんな馬鹿げた不要な議論は無意味だ」

ギュル大統領が一昨日イラクへ向かう際、記者たちとの会話の中で「クルディスタン」という言葉を使ったという報道は、大きな波紋を呼んだ。しかし、昨日の夕方イラクから戻った大統領は「クルディスタン」と言ったことを否定し、混乱を招いた。エセンボア空港で行われた記者会見で「イラク北部のクルド地域政府が話題になると、いつも憲法上の記載に沿った表現が使われてきたが、クルディスタンと言ったのはあなたが初めてだ」といった記者の問いかけに対し、「私は君たちが言ったそういった言葉は使っていない」と言い、下記のように話した。

クルド地域政府は存在する
「ただし、私がここで述べたような体制があるのは事実である。その中でイラクの統一と領土保全にもっとも重きを置いているのはトルコである。イラク国内には、憲法によってイラク北部にクルド地域政府が存在するのを認めている。私はこのことを言った。彼らの首相とも会談した。これらのことはごく普通のことだ。この件については様々な議論があるが、非常に難しい問題となっている。この話になると誰もが神経質にならざるを得ない。とりわけテロとの戦いといった困難な取り組みにどう対処するかという問題で、距離を置かれ始めている中で、こんな馬鹿げた不要な議論をするのは無意味だ。
ただ、どの国にも自国で使う言葉があり、独自の用語があり、それぞれの法律、憲法がある。これらが人々に影響する。イラクの領土保全や政治的統一のための統治方法は、イラク国民が自ら決めることだ。イラク北部にはイラクのクルド地域政府が存在する。我々も彼らとの関係があり、とりわけこの地域にはテロ組織があることから、テロの撲滅という面で我々の期待も大きい。そこで我々はこのような協力関係を築いている。この件については、こういった形の理解、見方をしてもらいたい」

治安はすべてに優先する
記者会見の冒頭でイラク訪問の内容を説明する際も「イラク北部の地域政府」という表現を使っていたギュル大統領は、テロとの戦いのためイラク高官と行った会談について、詳細を求める質問が出ると、「その件については、君たちが期待するほどには明らかにできない」とした。大統領は、ある程度の時間皆がこの問題に注目し、皆の期待がどうなるか見守る必要があると述べ、関係者がこうした過程のなかで会談を進めていることを明らかにした。「治安は全てに優先する」と話す大統領は、イラク北部の地域政府との会談でもこの問題がきちんと取り上げられたと述べ、「プラスの変化があると期待している。なぜなら歴史的なチャンスは誰にでも起こる」と話した。

イラク新憲法には「クルディスタン」という表現が含まれている
イラクでは、新たに承認された憲法では「クルディスタン」という用語が使われている。「地方区分」の項目で「地方」は下記のように定義されている。

113項
イラク共和国の連邦組織は、首都、地方、地方に属さない州および地域政府から構成される。

114項
当該憲法施行後、クルディスタン地方という既存のものの位置付けを、連邦内一地方として認める。

新聞各紙は「クルディスタン」と報道
イラク訪問を報道した新聞各紙のほとんどが、ギュル大統領がイラクへ向かう際の会話のなかで「クルディスタン」という表現を使ったと伝えた。イフラス通信社(IHA)のフェイジ・カフラマン局長とミッリエト紙のハサン・ジェマル記者はこのことに関して触れなかった。大統領の「クルディスタン」発言に関する各紙記事は下記のとおり。

エルダル・シャファック記者(サバフ紙):あくまでもイラクの一部であり、クルディスタン地方政府(ギュル大統領は会話の中できっぱりと「クルディスタン」という言葉を使い、イラク憲法でそう記載されていると強調。「イラク憲法でそう定められているなら、そういう名前だ」と言った)であり、イラクのものだと言うのなら、あなたがたはテロ組織をかくまっておくことはできないだろう。

ムラト・イェトキン(ラディカル紙):トルコに対するテロリストたちの活動は、イラクのクルディスタン地方政府の責任によるものと述べたギュル大統領は、今回初めてこの地域を「クルディスタン」と表現した。そしてその理由をイラク憲法に記載されているためとした。大統領は「テロ組織はイラクのクルディスタン地方政府の支配領内で活動している。これらを一掃し、イラクが安全で近隣諸国と友好関係を結べるようになることが必要だ」と話した。

ムスタファ・カラアリオール(スター紙):ギュル大統領の歴史的なイラク訪問は、歴史的な言葉と共に始まった。「国境による隔たりはあるが、親戚のような関係性がある」と話すギュル大統領は、テロによる被害を「全ての人」が被っていると強調。「クルディスタン地方政府は、その領内で活動しているPKKを阻止すべきだ」

ムスタファ・ウナル(ザマン紙):ギュル大統領は、記者たちとの会話で、イラク北部のクルド政府に対し、テロに関する重要なメッセージを発した。イラク北部の政府について話す際、「クルディスタン」という単語を使った。「イラク憲法にそう書いてある」

メフメト・アリ・ビランド(ポスタ紙):トルコとイラクのより強い協力関係の構築に、PKKの存在が障害となっていると話すギュル大統領は、「テロ活動の責任はクルディスタン地方政府にある」と発言した。大統領が「クルディスタン」と口にしたのは初めて。この発言について大統領は下記のように説明。「イラクの憲法にそう書いてある。ギリシャが『マケドニア』と言わないからといって、我々も言わないというわけではない」

フェフミ・コル(イェニ・シャファク紙):トルコに影響を及ぼすテロ組織はイラクのクルディスタン地方政府で活動を行っている。これらを一掃し、イラクが安全で近隣諸国と友好関係を結べるようになることが必要だ。

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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:16069 )