NATOに衝撃―エルドアン首相から新事務総長候補へ反対発言
2009年04月03日付 Milliyet 紙

デンマークのアナス・フォー・ラスムセン首相は、NATO事務総長の候補者であることを正式に表明した。

ラスムセン首相が候補であることを正式に表明してからしばらく後に、ロンドン・チャタム・ハウスで演説したレジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、ラスムセン首相の立候補に反対であると述べた。テロ組織の報道機関がデンマークを本拠地としていることと、ムハンマド風刺画問題の危機を取り上げたエルドアン首相は、「こうしたことで平和プロセスに貢献できない者は、一体これからどうなるのか?これはもちろん我々に一つの疑問符を投げかける。私の個人的見解を申し上げる、私は反対だ」と述べた。


立候補について、最後まで言明を避けていたラスムセン首相は、NATO加盟国の大使らと行った会談後、立候補を正式に表明した。ラスムセン首相は、NATO首脳会議の前、自身の政党である自由党政府の閣僚らと午前7時という早朝の時間に朝食をとり、首相職を退いた。朝食後、ストラスブルクへ移動したラスムセン首相は、ストラスブルクで自身について先週肯定的な見解を述べたアブドゥッラー・ギュル大統領とも会い、支持を求めることを明らかにした。デンマークのペル・スティグ・メラー外務大臣も、トルコの外務大臣アリ・ババジャンと会見し、トルコの支持を求めることを明らかにした。ラスムセン首相は、月曜日にトルコで「文明間の同盟フォーラム」に出席し、トルコから候補問題について支持をとりつけるよう働きかける。デンマークのメディアは、ラスムセン首相が候補であることが、トルコ首脳部で見解の相違の原因となっているとし、トルコがラスムセン首相の候補に拒否権を行使する可能性が高いとしている。「トルコ首脳部で不一致がある。アブドゥッラー・ギュル大統領はラスムセン首相を支持している一方で、エルドアン首相はラスムセン首相の候補に反対している」と伝えた。メディアは、トルコが手にしたこの機会を利用して、(PKKと関係する)ロジTVの閉鎖を求めるだろうとのべた。ラスムセン首相は、トルコとの関係が非常によいものであり、特に政府閣僚とトルコの指導者らとは、非常によく理解しあっていると述べ、トルコの支持を得られるだろうと確信していると語った。ラスムセン首相に代わり、デンマーク首相には、ラース・ロッケ金融大臣が就任することになる。

こうした事態が進行している時間帯に、チャタム・ハウスで演説したエルドアン首相は、ラスムセン首相が候補であることに関して、次のように語った。「我々はNATOの弱体化を望んでいない。NATOは、平和を保障する性格を持つ機構だ。しかし、私の国におけるテロ組織の報道機関は、デンマークを拠点として報道を行っているようだ。4年前、私はラスムセン氏にこのような依頼をした。書類で明らかにして、『これを止めてほしい』と。2回の試みにも関わらず、彼はこれを止められなかった、または止めなかった。4年間で我々はいくつかの事を経験した、しかし何の成果も得られなかった。これがどうして平和の保持になるだろうか、どうして平和を保障することになるだろうか。我々はムハンマド風刺画問題危機を経験した。この危機においても、私は彼らに依頼した。『あなた方の国のイスラム諸国の大使を招待してください。彼らにこの状況を説明し、この困難な状況をどのように乗り越えるか話し合ってほしい』と申し出た、しかし何と残念なことか、またしても肯定的なアプローチはなかった。こうしたことで平和プロセスに貢献できないものが、果たして今後どうするだろうか?これはもちろん我々にひとつの疑問符を投げかける。私の個人的見解を申し上げる、私は反対だ。」

NATO首脳会議に衝撃

NATOの新事務総長をめぐる観測、憶測が飛び交うなか、エルドアン首相がロンドンで、デンマークのフォー・ラスムセン首相の立候補に反対だと表明したことは、NATO首脳会議に衝撃をもたらした。(中略)

外国メディアは、この問題を、NATO首脳会議の最重要課題であり、NATOのかかえる大問題のように扱い、トルコがこの問題に、「早急な対応をせず、冷静に応じ」、「NATOの同盟にとって最大の脅威とするテロリズムに対し、共同歩調をとることが重要であることをよく理解し、行動力のある事務総長をトルコが望んでいる」と繰りかえしている。

NATOの事務総長人事では、通常、同盟国間で完全な合意が得られる前には、候補者氏名は正式に発表されない。ラムスセン氏の正式立候補は、「全同盟国の賛意をえ、一件落着の雰囲気」を作り出すために行われたものとみられる。首脳会議において、この立候補に反対すると見られていたトルコが、「孤立し」、「圧力に屈するだろう」との見方もされている。

ラムスセン氏の立候補が昨日、公式なものとなった背景には、ポーランドのシコルス外務大臣が立候補をしないと発表したという重要な進展があった。ラムスセン氏が立候補が、トルコの承認、または肯定的サインをまたずに公式発表されたことは、「おどろくべき戦略的ミス」と見られている。(承認をまたずに発表したことが)、アンカラを不愉快にしたと報道されている。

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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:16128 )