Fikrek Bila コラム:政治勢力地図上の南東アナトリア
2009年04月03日付 Milliyet 紙

ジェミル・チチェキ副首相(の発言)は、選挙の後誰もが目にし、しかし説明するのを避けてきた真実を映し出した。選挙の結果が示すように、民主市民党(DTP)は南東部で支配的な政党である。南東部(の議席)はDTPがほぼ獲得した。

なぜ彼らが勝利したのかは、ジェミル・チチェキだけなく誰もが知っている。DTPは選挙区の有権者の票を、「クルド政党」であるが故に獲得したのだ。過去そして今後に行おうとしている行政サービスゆえではない。この点は非常に明確である。チチェキ氏の「サービス(の中身)か候補者(の出自)か」という問いかけは、この現実を反映している。副首相は「我々は『サービス』を謳い、しかし有権者は『候補者』を求めた」と言いたいわけだ。

■ サービスか候補者か?

与党の行ったサービスと獲得票数の間には相関関係がある。よって「公約」は選挙キャンペーンの最も重要な手段となる。投票者の政治的選択に影響を与える最も重要な要素のうち、一番に来るのが経済的要因であることは間違いない。事実、公正発展党(AKP)が2002年に単独与党となった大きな理由の一つは、それ以前に起こった経済危機にある。当時の与党を議会の外に追いやったのも、AKPを第一党に押し上げたのも、大いに時の経済条件にあった。これに対し、南東部を見てみると、経済的な要素は徐々に影響力を失っているように思われる。代わりに「候
補者」が(議員選択の)誘因となったように見えるのだ。DTPに投票した有権者が、経済ではなく候補者を見て選んだのだというのはもはや議論の余地がないほど明らかである。

■ 共和人民党(CHP)、民族主義者行動党(MHP)はなぜダメなのか?

選挙後にCHPとMHPに向けられた最も多い批判は、「南東部でなぜ議席を獲得できないのか」というものだった。この2つの政党にも南東部で「議席ゼロ」の批判が向けられたのだ。ただCHPとMHPが南東部で勝てないのは驚くことではない。クルド労働者党(PKK)-DTP勢力が支配的である南東部で、CHPとMHPがどうやって勝てるというのか。この2つの政党に「分離」路線を期待するのは間違っている。PKK-DTPの発言をまねたところで説得力はない。このことはトルコという国に関する視点の問題である。DTPの候補者が一部選挙区にいなくてもCHPやMHPが南東部で勝てないのは驚くに値しない。

南東部は30年間激しいテロの条件の下で、異民族の問題が政治化した地域である。PKK-DTP勢力において、異なる民族であるとのテーゼを認めさせることは、投票する有権者と、一見地方に見えるものの「代替の中央政府」のように活動する行政体の存在(に向けたものであること)は否定しようのない事実である。

こうした条件にもかかわらず、CHPとMHPは南東で議席を得てはならないのだろうか?確かに得るべきなのだ。しかしこれが困難な現実ということも受けいれなければならない。問題がクルド人の存在を認めることならば、今日これを拒絶する政党はない。CHPもMHPも認めている。しかしこれらの地域の民衆は、それを十分と思っていない。PKK-DTP
勢力はクルド人を正式な身分として、民族として見ており、これを憲法で保障させたいと願っているのである。

CHPやMHPに望むことが、南東ではクルド人、中央アナトリアではイスラーム主義者、エーゲ海沿岸では世俗主義者、エーゲ海内陸と黒海沿岸地域で民族主義者になることであったら、いったいどうなるのか。どの政党も全ての問題への取り組みを、非常に首尾一貫した中で綱領とともに提示している。地域毎に異なる国家の構造を受け入れ、民族の理解をおこなうことはできないのである。

こうした文脈の中では、CHPもMHPも「クルド問題」として説明される問題への取り組みを発表している。この取り組みは、その地域の有権者の支持を得られなかった。再度、党の見解を支持してもらえるよう、努力を続ける必要がある。

■ AKPの状態

AKPの状態は地域ごとに異なる。(AKPは)DTPの最大のライバルの位置につけている。AKPはその獲得票数によって、南東地域でDTP以外に政治勢力が存在しえるのを証明した。これにも特別な理由がある。与党であることや、宗教的価値を通じて政治をおこなうこと、時折「クルド人」問題でDTPに近い発言をおこなうことなどが挙げられる。クルド語のテレビ放送をはじめとするこの問題に対する措置が、他の政党よりも有利に働いた。しかし「単一民族」発言は支持率低下につながった。こうした限界は3月29日の選挙でも明らかとなった。

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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:16130 )