Taha Akyolコラム:オバマ大統領とコーカサス
2009年04月07日付 Milliyet 紙

大統領官邸での会談でギュル大統領は、オバマ大統領に対し土米関係における共通の利害の重要性を次のように話した。
―まず貴方の国の優先課題を紙に書き出してください。私も我が国の優先課題を書きましょう。完全にではなくとも、大部分が重複することに気付くはずです。
大統領は、異なる利害もあるが共通の利害がより大きいことを説明しているのだ。
オバマ大統領も、トルコ訪問前に準備されていたに違いないTBMM(トルコ大国民議会)での演説の中で、「常に同じ意見を持ち続ける必要はないこと」、しかし共通の利害がより大きいことを強調した。
オバマ大統領の就任により、土米関係がより良い時代を迎えたことは確実だ。必要なのは、「共通点」と「相違点」の両方を常に視野に入れ、どちらかに拘泥してもう一方を見逃してしまわないことだ。


■共通の利害とは?
アメリカ合衆国とトルコの間の最も重要な「共通の利害」とは、国境や国際関係が民族的・宗教的・イデオロギー的な過激派によって暴力的に侵害され破壊されるのに立ち向かい、「秩序」を保つことである。
ブッシュ前大統領はこれを武力によって達成することを望み、より状況を悪化させた。オバマ大統領は政治による達成を望んでおり、これはトルコの基本的方針に一致する。テロへの抵抗、国境の不変、エネルギー供給路の発展、国際法、自由貿易といった「平和と秩序」の基本原則。イラク問題を含め多くの課題を解決する過程において、これらは2国間の共通原則である。
トルコは1856年のパリ会議以来、この方向で外交を行っている。1930年代にはナチやファシストの「世界の仕組みを変える」という主張に対してケマリストのトルコは「平和と秩序」を擁護する西ヨーロッパと協調路線を取った。その後ソビエト帝国主義に対しNATOや西側の組織に加わってきた。現在も、民族・宗教・イデオロギー的なテロリズムや国際的な重大犯罪に対して、同様に「平和と秩序」の側に立っている。
この強力な基盤がある一方で、異なる、更に言えばぶつかり合う利害も当然存在する。今日はその中のアルメニア問題を扱いたい。


■アルメニアとアゼルバイジャン
オバマ大統領は演説の中で「虐殺」とは言わなかったが、アルメニア人有権者たちがある程度親近感を抱くであろう発言をした。また具体的に、アルメニアとの国境を開放するようにも求めた。本件が重要視されていることは、ギュル大統領がオバマ大統領との記者会見で、世界のテレビ局で生中継されているときに、1915年の事件に関するトルコの立場を説明する必要を感じたことからも明らかである。上手い説明でもあった。
さらに、官邸での2者会談でギュル大統領はオバマ大統領に対して、アゼルバイジャンの重要性を詳しく説明したという。アゼルバイジャンは単なるトルコの同胞国ではなく、同時にアメリカにとってもコーカサスでの「秩序」および「エネルギー資源」戦略の最も重要な要素である。ナゴルノ・カラバフ問題の充分な発展なくして、アルメニアとの関係の急速な発展は難しい。
オバマ大統領との会談に出席したとある外交官が昨日私に「この問題が極めて複雑であることと、アゼルバイジャンの重要性をオバマは理解した」と解説した。オバマ大統領が議会での演説でナゴルノ・カラバフ問題を無視せずに言及したことも、アンカラでは前向きな要素として受け止められた。
この複雑で長期的な過程において重要なのは以下の2点である。
1、個々の問題が大きな共通利害に害を与えてはならない
2、ナゴルノ・カラバフ問題の解決のため、アメリカがアルメニアに圧力を加えれば、コーカサスの「秩序」もトルコとアルメニアの関係もより簡単に発展する。

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( 翻訳者:川原田喜子 )
( 記事ID:16152 )