イラク情勢:武装抵抗勢力との交渉、バアス党指導部の立場
2009年04月09日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ドゥーリー、撤退、謝罪、賠償、軍の復権を米に要請
■ 「バアス」、バグダード爆破との関連を否定、アッラーウィー、政府と抵抗勢力を仲介

2009年04月09日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【バグダード:ディヤー・サーマッラーイー(本紙)】

元革命指導部副委員長、現バアス党書記長のイッザット・イブラーヒーム・アル=ドゥーリーは、バアス党のみがあらゆる治安措置の標的とされていると述べた。バアス党創設記念、並びにイラク占領が6年目に入ったのを機に出された声明によれば、同書記長は、「あらゆる形態の占領、支配、搾取からイラクを解放すること」を呼びかけ、「占領軍が無条件で即時撤退し、武装勢力を筆頭に全ての抵抗勢力が唯一、偉大なるイラク国民を代表していることを認めるまで、いかなる交渉も行われない」事を示唆した。

また、侵略者は、今日他所では認めている過失や罪状につきイラク国民に対して謝罪すべきであり、バアス党幹部、将校、民間人ら拘留中の人々を例外なく釈放し、今次占領が招いた全ての損失につき物質的にも精神的にも賠償すべきとし、(旧)イラク国軍、治安軍を占領以前の慣習と法に則り公務へ復帰させるべきと主張した。

ドゥーリーは、イラク国民のため上の条件が認められるまで敵との交渉はあり得ないとし、これらの条件実施を含むプログラムの中に、敵との会見、協議なども位置づけられるとの見解を示した。

声明中ドゥーリーは次のように述べている。

「民衆の力と果敢に抵抗する我々の共同体全てを統合し得る広範な民衆戦線が、解放と再建に向け人々を鼓舞すべきである。解放と独立が完全に成し遂げられ、大衆による合憲的民主主義、複数政党制において、国の指導者を選ぶという歴史的責任をこの偉大な国民が負い、自由選挙を通じて指導部が選ばれていく、それらが実現したうえで各戦線は連合する」

「占領軍をイラクから放逐し、国民政府を形成、独立国家としての機関を設置することによりこれらは実現する。我々が常に確信しているように、古代の人類文明を担った栄えあるイラク国民は、現在の苦境を克服し、米国民並びにその新政権と、より良く開かれた関係を築くことが可能である。相互の利益を尊重し、対等な者同士として互いに内政干渉をひかえ、国民の選択と自由意志を尊重する事がその基本となる。これらが実現すれば、地域の安定と平和に貢献するだろう」

「過去35年間に起きた過ちは、それを犯したもののみが、バアス党と偉大な国民の前に責任を負うべきである。全ての過失、犯罪についてバアス党は無実である。バアス党は過去の経験を綿密に調査、検討し、害をなす者を選りだしまとめて片付ける所存である」

「(現在行われている)イラク政治プロセスは、過去6年間軍事的に達成できなかったことを実現しようとする占領側のプロジェクトである。今日侵略者は袋小路に行き当たったことに気づいた。武力という選択肢は消え去り、彼らは撤退を宣言した。望みをかけられるのは、情報局の操作による政治プロセスしかない」


他方、バアス党指導部のアブー・アル=ムウタシムは、先の爆破事件と同党武装勢力との関係を否定、(バアス党を糾弾した)マーリキー首相声明は、イランに従うダアワ党がバアス党を和解交渉に引き込もうとしたが成らなかったため、圧力をかけようとした結果であると述べた。

ムウタシムは、バアス党に嫌疑をかけることにより同党を政治シーンから遠ざける意図が働いていると指摘、「アル=カーイダ」については、戦うべき真の敵が何かという解釈を巡る見解が異なっており、イラク占領以来、同集団と協力関係にあったことはないと述べた。また、イラクにおける治安と法の問題に関して合意を取り付けるため、武装勢力各派と英米外交筋が交渉中であることを肯定した。ただしバアス党はその中に入っておらず、イラク国外在住のイラク・バアス党指導部との連絡に彼らは失敗した旨告げた。ムウタシムによれば、バアス指導部、特にイッザト・ダウリーは、イラク・バアス党が政治、軍事、治安において役割を果たすことが認められない限り、(交渉には)合意しない方針であり、また、指導部はあくまでイラク国内でその任務を執行しており、最近言われたように国外へ退去したことは絶対にない。

また、爆破事件につき、支配政党間の内輪もめでありマフィア抗争のようなもの、実行犯は人間性を欠くとコメント、これらの思想や方針は党の原則に合致しないと述べた。更に、党との分離を体現していたムハンマド・ユーニス・アル=アフマドの一派を別として、バアス指導部がイラク国外へ出たことはないと断言した。


ハイレベルのイラク政府筋によれば、米側は、バアス党指導部並びにイラク抵抗勢力メンバーらとの対話、会見を継続中であり、イヤード・アッラーウィー元首相がこれを仲介している。また同筋によればアッラーウィーは、多数の抵抗勢力、サドル派、覚醒部隊関係者らの釈放に貢献している。

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:16174 )