イラク情勢:ラティーフィーヤの自爆攻撃、国会議長選出問題他
2009年04月12日付 al-Hayat 紙

■ 昨日のラティーフィーヤで9名、1週間に死者53名
■ イラク:アル=カーイダ、「死のトライアングル」へ戻り、軍駐屯所で「覚醒部隊」を攻撃

2009年04月12日付アル・ハヤート紙(イギリス)HPコラム面

【バグダード:本紙】

「死のトライアングル」でアル=カーイダが再び行った自殺攻撃により、9名が死亡、33名が負傷した。バグダードの南、ラティーフィーヤのイラク軍駐屯地で起きたこの事件では「覚醒部隊」が犠牲になり、アル=カーイダの攻撃による「覚醒」要員死亡者数は、今週のバグダード近郊だけで53にのぼる。ラティーフィーヤ事件では犯行声明は出ていないが、アル=カーイダの痕跡が認められる。

イラク軍将校によれば、「ラティーフィーヤ地域(バグダードの南方約60キロ、バービル県)の軍駐屯地で、覚醒部隊要員への給与支払いが行われている中、爆弾ベルトを体に巻いた攻撃者が自爆した」。別の治安責任者は、「内部に侵入しえた事から分かるように、攻撃者は軍服を着用していた」と述べる。

爆発は、給与受取りのため200名近い覚醒部隊要員が集まっているところで発生した。負傷者の一人は、「支払いは二度延期されており、こうして来るのは三度目だった。三つの地域から200人ほどの要員が集まってきた頃、駐屯地前に民間車両が止まるのが見えた。そこから誰かが降りてきたと思ったら、爆発が起きた」と証言した。

ラティーフィーヤ地域は、数多くの宗派主義的殺人事件とイラク軍並びに米軍への攻撃が起きた「死のトライアングル」に位置している。しかし、「覚醒部隊」が組織され、バグダードと南部の都市、特にカルバラ、ナジャフを結ぶ道路上にイラク治安部隊が展開して以来治安は維持されていた。

再び攻撃が行われるようになって以来、覚醒部隊のスンニー派要員に対する組織的拘留が行われ、その結果、「覚醒部隊」とイラク治安部隊の関係が緊張した。しかし、「覚醒部隊委員会」顧問のサーミル・アル=タミーミーが本紙に述べたところによれば、「マーリキー首相の直接介入により、覚醒部隊と治安組織との齟齬は解消された」。また、「覚醒部隊委員会」上層部は、部隊が組織される以前武装集団に属しており、暴力事件に関与したとされる者の氏名を治安組織に対して照会している。

タミーミーは、「あおり立てようとする者がいるが、覚醒と治安機関の危機は存在しない」、「覚醒要員や指揮官らの逮捕問題は、首相の進言で無実の拘留者たちが釈放されることにより解決した」と主張した。


他方、国会議長選出問題については、本日日曜スンニー派の「合意戦線」が集会をもち、同派のイヤード・アル=サーマッラーイーを議長候補とすることに関連して裁判所へ申し立てていた陳情を取り下げるか否かを決する模様。イラク統一同盟諸派は、サーマッラーイーに代わりラシード・アル=イッザーウィーを候補とするよう提案したといわれるが、同議員はこれを否定し、合意戦線が「水曜の国会でサーマッラーイーを候補に戻すよう主張する」と述べている。

合意戦線は、136票を獲得した同派の候補は議長として選出されたとみなされる旨主張し、連邦裁判所へ陳情を申し立てていた。議論は、国会議長は「絶対的多数」の票を得ることにより選出されるとする憲法の解釈を巡るもので、その際の国会出席者の「多数」であるのか、全議席に対しての「多数」であるのかにより事情が異なってくる。


昨日イラク外務省は、ザハビー・ヨルダン首相が近くバグダードを訪れ、逮捕者の交換に関する協定、通商関係、イラク・ヨルダン石油パイプラインの延長等を協議すると発表した。また、アタリー・シリア首相の訪問も予定されており、治安、行政、経済関係を含むダマスカスとの戦略協定への調印が検討される。議題にはイラク・シリア石油パイプライン再開問題も含まれる。

モスクワAP通信によれば、ロシア・ビジネス関係者との会見中マーリキー首相は、イラク経済再建への彼らの幅広い参画をバグダードは歓迎するとして、「イラク経済復興におけるあなた方の事業に対しては、政府からの支援も含め十全の環境が整えられている」と述べた。訪問中、ロシア大統領、首相と会見したマーリキー首相は、ロシアからの投資にイラクが関心を有する旨伝え、プーチン首相は、両国間協議では石油ガス問題が大きく取り上げられたと共同記者会見で述べた。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:16189 )