Sahin Alpay コラム:ビュユクアヌト元参謀総長の「歴史的告白」に関して
2009年05月12日付 Zaman 紙

タラフ紙は、元参謀総長であり退役陸軍大将のヤシャル・ビュユクアヌト氏がCNNトルコの「32番目の日」という番組で語ったすべてを「歴史的告白」というタイトルで報じた(5月8日)。ビュユクアヌト氏が語ったことについて、ここで考えてみるべきである。

ビュユクアヌト氏は、2007年4月27日の軍のウェブサイト上の警告を自身が書いたことを明らかにしている。残念だ。これを読むまで、件の文章は非常に無知で粗野な人物によって書かれたと信じ、署名がなかったことも正にその証拠だと考えていた。私は間違っていた…。
ビュユクアヌト氏は、ウェブ警告が「トルコ軍は世俗主義に敏感であることを強調する」ために発せられ、「大統領選挙とは直接間接的に関係ない」と語っている。しかしながら、ウェブ警告は、憲法裁判所に筋の通らない「367票」の決議をするよう強い、そうしてアブドゥッラー・ギュル氏が大統領に選出されることを妨害するために発せられたことは、誰もが知っている。同様に、功を奏したことも知っている。
ウェブ警告の最後に「我らの共和国の建国者である、偉大な指導者アタテュルクの『トルコ人と言える人々はなんと幸福なことか!』という認識をもてないすべての者は、トルコ共和国の敵であり、そうあり続ける…」と記し、こうして人々のかなりの部分を「敵」と宣言した文章については、記憶から拭い去られることはないであろう。ビュユクアヌト氏はこれを承知している可能性がある。

ビュユクアヌト氏は以前に、軍事クーデターあるいは軍の干渉に関しては、明確に判断を下すことはできないといった態度を示している。一方ではクーデターは「あまり有益であるとは言えない」と述べ、他方では「9月12日[1980年クーデター]」を意図しつつ、「衝突が終了し、平穏さを確立することに役立った。あなた方は(それまで)煙草、油、ガソリンを手にすることはできなかったではないか。どうやって手にできるようになったと思うのか?」とすぐにはっきりと述べた。
果たしてビュユクアヌト氏に訊ねる必要がなかったろうか、もし9月12日の弾圧が4万人の死者をだした衝突を引き起こしたのだとしたら、これはどんな種類の「平穏」なのか?「煙草、油、ガソリン」に我々の手が届くようになったのは9月12日ではなく、1980年1月24日だったのではないか、と。

そうではあっても、ビュユクアヌト氏が、「軍が直接内政へ干渉したあかつきには、まず軍自体が崩壊し、そののちに国家がダメになっていく。軍は内政に関与すべきではないと我々は知っている」と述べながら、教訓を得るべき歴史に言及して、オスマン朝崩壊において「軍が大いに政治に関与したことが最大の要因」であったと述べ、全ての軍人が教訓を得るべき真実を強調した点は評価されるべきである。
この文脈でビュユクアヌト氏は、「軍の責務は法律によって定められている。この責務の一部を、贅沢にも、私は行わないなどと言えない」と述べ、おそらくトルコ軍内部規則第35条を批判している。スレイマン・デミレル第9代大統領もまた(2005年11月に)この条項が廃止されるべきだと語っていたことに鑑み、これは早急に間違いなく実施されなくてはならない。

ビュユクアヌト氏の真意がよりよく理解できる発言は、次のものだ:エルゲネコン訴訟に関する考えを問われた際、「本当に犯罪にかかわったのは…。祖国、民族と言って集まりながら、その後、別の場所に行ってしまった小さな諸グループの可能性がある…」と述べている。自身も「[シェネル・エルイグルによって個人情報が収集された]ファイルが準備されている、一人のエルゲネコン被害者」であると説明している…。
[2003年の]ジュムフリイェト紙の「若い将校たちは内心穏やかでない」という見出しが、「創作された、誰かによって吹き込まれた情報」であるとしている…。
[2007年4月に報じられた、軍部による]新聞記者たちを、トルコ軍の反対者か支持者かに分類した「覚書」が間違いであったことを認めている…。
[PKKによる襲撃事件が起きた]ダールジャとアクチュチュンに関する議論については、「テロとの戦いでは過ちも犯し得るだろう。過ちを犯したならば対価を払うことになる」と述べている…。最後に、「全トルコ軍を派遣したとしても」カンディル山は一掃され得ないだろうと強調している。

ビュユクアヌト氏は、[PKKの現指導者である]ムラト・カラユラン氏が[2009年春にミッリエト紙記者の]ハサン・ジェマル氏に語ったことについても、次のような解釈をしている。
「PKKは3つのことをあきらめ切れていない。第1に大規模な赦免、第2にクルド語教育、第3にクルド・アイデンティティの憲法による保障を確保することである。残りはすべて約束してある…」
さて、ビュユクアヌト氏(とデニズ・バイカル氏)、さらに何千もの人々が死なないために、これらはできないことだとでも言うのか?PKKの普通の兵士を赦免せず、希望者が学校でクルド語を学べないようにし、そしてクルド・アイデンティティに憲法の保障を与えないで、国家がその一体性をいかに守り得るというのか?

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:16428 )