バフマニー中央銀行総裁、日曜日に辞表を提出済み:政府による辞任否定声明を否定
2009年05月14日付 E'temad-e Melli 紙

第一幕

 火曜日、マフムード・バフマニー中央銀行総裁が住宅資金調達会合の席上での発言を終えてから数時間後、イラン労働通信は同総裁の辞任を報じた。辞任報道は瞬く間にあらゆるニュースサイトを覆い尽くしたが、その後政府広報は同総裁の談話として、各メディアに辞任報道を否定する内容の声明を送付した。

 「当方は、《国民に奉仕する政府》での職務遂行に力強く邁進しているところだ。一部の政治勢力による〔現政権への〕中傷戦略の一環として、このような信頼性の低い偽情報が大統領選挙を目前に控えた時期に流れたのではないかと思われる」。

 しかし昨日、閣議に出席した同総裁は、辞任報道を否定しようとしなかった。

第二幕

 政府公報が中央銀行総裁辞任を否定する内容のファックスを報道各社に向けて送付する作業に追われている中、マフムード・バフマニー総裁は一部の友人たちと面会する中で、政府の辞任否定声明を否定する発言を行った。

 同総裁は友人たちを前にして、日曜日にマフムード・アフマディーネジャード大統領に辞表を提出したことを明かし、より明確な表現で現状〔への不満〕と辞表提出理由について、口を開いた。

 バフマニー総裁は辞任を決意した主な理由として、通貨信用評議会の解散をめぐる問題を挙げている。この評議会は86年モルダード月〔2007年7~8月〕に、アフマディーネジャード大統領の決定によって解散されたが、その後国会の議決及び公益判別評議会の意見によって、昨年バフマン月〔2009年1~2月〕に復活が決まった。

 評議会復活に関する作業はバフマニー総裁に委ねられたが、ここしばらくは同総裁の努力も実を結ばぬままの状態が続き、パルヴィーズ・ダーヴーディー第一副大統領の監督下で運営されている政府経済委員会が、依然として通貨政策をめぐる意志決定を担っていた。

 このような経緯に一部の国会議員は批判の声を上げ、通貨信用評議会の復活が実現されないことを理由に、バフマニー総裁は国会経済委員会で批判の矢面に立たされた。火曜日夜に一部の顧問らともった会合の中で、同総裁は辞表提出の第一の理由として、この批判を挙げている。

 バフマニー総裁は、国会の決議が実行に移されていないことを理由に、自らに抗議の声が寄せられていることに言及、激高した一部国会議員からは、総裁の年齢的な尊厳を傷つけるような発言も飛び出したという。

 同総裁はこの会合の中で、自分に権限を任されていないようなことで、自らの個人としての尊厳をこれ以上傷つけられるのは耐えられない、これ以上総裁の職にとどまることはできない、と語ったという。

第三幕

 マフムード・バフマニー総裁が辞表を提出したという情報は確かなものだが、しかし〔アフマディーネジャード政権成立以降〕3人目となる同総裁が、実際に〔中央銀行のあるテヘランの〕ミールダーマード通りのビルに別れを告げることになるのかと言われれば、その可能性は果てしなくゼロに近い。というのも、選挙まであと1ヶ月という時期に、就任から8ヶ月と経たない中央銀行総裁を別の人物に交替させようと考える大統領など、どこにもいないからだ ―― あのマフムード・アフマディーネジャード大統領でさえ、そんなことはしないだろう。

 バフマニー総裁はこの時期に辞表を提出することで、一石二鳥を狙っている。まず同総裁は〔政権に対する〕自らの交渉力を上げることで、中央銀行の権限と独立性の強化・確保を狙っている。中央銀行の独立性こそ、恐らく通貨信用評議会の復活にとって不可欠である ―― しかし政府は法的な強制力にもかかわらず、それに抵抗を続けているのだ。

 バフマニー総裁のもう一つの狙いは、二つの「もし」を計算に入れたものだ。もしマフムード・アフマディーネジャード氏が大統領に再選されれば、自らが留任する可能性も高まる、自分を解任することはアフマディーネジャード氏にとっても高くつくはずだ、という計算が一つ。またもし解任されたとしても、胸を張って政府を離れることができる、なぜなら中央銀行の独立性を〔正当に〕要求したがために解任されたと周りから見られるはずだ、という計算もあるものと思われる。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:16448 )