トルコ人旅行者の新たな訪問地、バルカン
2009年05月24日付 Yeni Safak 紙


ヨーロッパで長年にわたって人気のある観光地のひとつとして数えられるアドリア海の最も美しい海岸は、現在、トルコ人観光客を惹きつけはじめている。1990年代には、ただ戦争や血、涙、そして虐殺を思い出させる場所であったバルカン地方が、現在、観光における潜在的可能性をもつ地域として語られている。

トルコでここ数年来、増加の一途をたどるバルカン観光では、サラエボやモスタルへの観光は『戦争』ツアーのグループに入れられ、モンテネグロやドゥブロヴニクは、中世の古典的建築や、アドリア海の文化と海水浴ツアーを提供している。(今回)プロント旅行会社は、バルカンへのツアープログラムの紹介のために、報道陣をツアーに招待した。

バルカンへ、異なる日数と観光名所を含む様々な選択肢を提供するこの会社のツアーでは、特に『ダルマチア3国』のプログラムが関心を呼んでいるという。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナとモンテネグロ、そしてクロアチアの3国を心行くまで見て回れるこのツアーは、一度の旅行で、内戦による破壊をみ、ヨーロッパの中世時代の歴史遺跡を回り、さらにアドリア海のヨットツアーと温かい水での海水浴を体験したい人にとっても理想的な機会を提供している。このツアーがビザ不要であることも、観光客にまた別の容易さを保障している。

■中世と近代が出会う場所、ドゥブロヴニク

ユネスコの世界遺産リストに名を連ね、その歴史と自然の美しさが人々を魅了し、訪れる者たちを中世への時間旅行に連れ出すドゥブロヴニクは、ヨーロッパに続き、トルコにおいても人気観光地の候補になっている。

プロント旅行会社とトルコ航空(THY)との業務提携により、6月末から直行便で行くことのできるようになるドゥブロヴニクは、歴史紀行と海の旅行を同時に提供する。気候と都市の造りの点からボドルムを想起させるドゥブロヴニクの最も重要な地域は、ドゥブロヴニク旧市街である。分厚い城壁に囲まれた旧市街では、過去と現在が、また現在を生きる都市とその歴史が、ひとつの屋外博物館のような環境のなかで、共存していることが印象的である。

旧市街地に入ると、ます人々は、時間旅行をしてある中世の都市に来たかのような印象を受けるが、すぐに周囲の観光客とモダンなカフェの存在が現在へと引き戻す。

旧市街の中では今でも市民が生活しているため、観光客が大通りから外れた脇道のレストランで食事をすると、すぐ横の頭上の家々の壁には洗濯物が干され、それは自然な風景となっている。しかもその地域の住民は、自分たちの市(いち)をたて、観光客が散策するエリアで果物や野菜、アクセサリーなどを売ると同時に、市民は日々の買い物をしている。この状況が、都市の面白さや異なる雰囲気を作り出す効果を高めている。

ドゥブロヴニクは、ここに不動産を所有するヨーロッパ人富裕者たちにとっても、重要な観光地のひとつである。ここで家を購入するためには、1平方メートルあたり1万5千ユーロ支払う必要がある。さらに、この都市はかつて海運でさかえ、昔はアドリア海でヴェネチアと争うほどであったため、とても美しい港風景を人々に提供している。シーズンになると、クルーズ船が港を占領してあふれかえり、同時に、クルーズ船からは何千もの人々が町に入国していることという。

(中略)

■「バルカンへの関心が増した」

プロント旅行会社のアリ・オナラン社長は、バルカン・ツアーの評判を語った。それによると、5,6年来、バルカンへのツアーを主催しているが、この地域へほとんど毎週出発する、より強力なツアーを行い始めたとのはここ1年間のことだという。

また同氏は、以下の様に続けた。「われわれの投資に対する見返りを得ました。約1年来、バルカンのすべてを網羅する、それぞれ異なる8種類のツアー、すなわち、「端から端までバルカン」などの約6カ国をまわるツアーや、ダルマチアの海岸とサラエボを含むより短いツアーなど、様々な規模の行程を企画しています。これらはとても多くの関心を集めています。」

トルコ人観光客が、バルカンにおいて最も観光したいと考えている場所については、「まず一番はモスタルです。本当に関心が高いです。確実にツアーの中に含める必要があります。一方で、スプリットのようなマケドニア方面、ほかにもモンテネグロやドゥブロヴニクを含むクロアチアの海岸も大きな関心を呼んでいる場所のひとつです」という。

■「アナトリアの人々のよう」

同氏は、サラエボのツアーが、自身の職業人生においても別の重要性を持っているという。高校時代に友人たちにツアーをお膳立てした同氏にとって、サラエボは、アマチア時代の最初の外国旅行企画の経験だったという。サラエボには、今も戦争の爪あとがのこるという同氏は、この地方での観光はようやく整いつつあるところであり、トルコの15年前の状況に似ている、と話す。

「しかし、変わらないものがここにはあるのです。人々は今でももてなし好きです。本当にアナトリアのように、心温かい人々ばかりです。(ここサラエボでは)、われわれはヨーロッパの中心地におり、また我々に近い習慣をもち、我々ととても深くつながった歴史を経験した地域にいることになります。ここへくると、トルコの人は、とても不思議な感情にとらわれます」と述べた。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:16521 )