「権力と富のマフィアが守ってきた最後の一線を踏み破った」:アフマディーネジャードvsムーサヴィーのテレビ討論会の反響
2009年06月06日付 Iran 紙


【政治部】第10期大統領選挙に立候補したマフムード・アフマディーネジャード博士とミール・ホセイン・ムーサヴィーの二人が行ったテレビ討論会が、識者や政治アナリストらの間で大きな反響を呼んでいる。

 国民の権利の弱体化を阻止するために発せられたアフマディーネジャード大統領の指摘によって、革命から24年間、代わる代わるイランを支配してきた「権力者たちの閉ざされた輪」が国民による「尋問席」に引きずり出されたというのが、今回の討論会に対する多くの政治専門家たちの評価である。

 アフマディーネジャード博士は〔ムーサヴィーとの〕一対一の討論会で、論理的かつ正確に、また完璧な礼節と沈着さを保ちつつ、ホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーン・ハーシェミー=ラフサンジャーニーが舞台監督を務める党派〔=ムーサヴィー陣営のこと〕の裏側に隠された諸問題を暴露するとともに、第9政権〔=アフマディーネジャード政権〕の実績とイスラーム革命の理念を守り通すことに成功した。

 政治アナリストらは、「富と権力」を笠に着た党派との討論でアフマディーネジャードが勝利を収めたことを、異口同音に強調している。
〔※訳注:アフマディーネジャードはムーサヴィーとのテレビ討論会で、ムーサヴィー陣営のウラにはラフサンジャーニー元大統領が潜んでいるとし、ムーサヴィーが選挙に勝利すればラフサンジャーニー時代の「貴族主義」の時代が再び到来すると警告、さらにムーサヴィーが首相を務めていた時代に特権を悪用して大金持ちになった人物がいると指摘して、当時の経済官僚だったサファーイー=ファラーハーニーを名指しで非難、さらにナーテグヌーリー元国会議長の息子が不明朗な形で大金持ちになったことやムーサヴィーの妻が違法に学位を取得したことなどを指摘した〕
 
「アフマディーネジャードは自らの身を危険に晒した」

 テヘラン選出の国会議員で国会憲法第90条委員会の委員を務めるメフディー・クーチェクザーデは、ムーサヴィーとの討論会におけるアフマディーネジャード博士の発言・真相暴露について触れた上で、「討論でムーサヴィー氏は、イマーム〔・ホメイニー〕の路線の信奉者であると主張していたが、彼がいかにイマームや革命最高指導者〔=ハーメネイー〕の見解からかけ離れた存在であるかが、われわれの目に明らかとなった」と指摘した。

 同議員は続けて、権力と富、そして経済的腐敗分子たちのクラブについて大統領が行った真相暴露に関し、「私も90条委員会で何度もこの手の話を見聞きしてきたし、調査も行ってきた。だからこそ、アフマディーネジャードが行った暴露は完全に正しいと、明言できる。いうならば大統領は自ら身を危険に晒して、真相を暴露したのだ。暴露された連中は、自己犠牲的な大統領を罪に問う動きに出るのではないかと予想している」と強調した。
〔※憲法第90条は、行政や司法を訴えたいと考えている市民には国会に訴状を提出する権利があり、国会はそれについて調査・対応しなければならないことを明記した条文。憲法90条委員会はこのような調査を行う国会の委員会の一つ〕

「アフマディーネジャードの真相暴露は人民の願い」

 〔イラン北部アルダビール州〕ギャルミー選出で原理派中央評議会委員を務めるヴァリー・エスマーイーリー議員は、ムーサヴィーとの討論会におけるアフマディーネジャードの発言は理にかなったものだと指摘し、「権力クラブに対するアフマディーネジャードの真相暴露は、イラン国民の願いそのものだ」と語った。

 同議員は、討論会でのムーサヴィーの発言は自らが国の現状についていかに正しい知識をもっていないかを如実に示すものだとした上で、次のように述べた。「残念なことに、怪しげな連中がムーサヴィー氏の周辺を取り囲み、同氏に誤った情報を垂れ流している。誰もが、彼の発言からそんなことを感じ取ったはずだ。同氏の議論はどれも、論理的なものではなかった」。

 エスマーイーリー議員は第9政権や大統領個人を誹謗するムーサヴィーの発言に触れ、「イスラーム革命最高指導者が何度も、第9政権を誹謗・中傷してはならないと強調しているにも拘わらず、不注意によるものか、故意によるものか、ムーサヴィーは第9政権が成し遂げた重要な成果に攻撃を仕掛け、貧困・失業問題の解消に向けて格闘している第9政権の努力を誹謗している」と断じた。

「アフマディーネジャードは権力と富のマフィアが守ってきた最後の一線を国民とともに踏み破った」

 政治問題専門家のメフディー・モハンマディー氏は、次のように指摘する。「アフマディーネジャード博士の発言はイラン国民の声を代弁したものであり、あらゆる非難から免れるのは当然だとつねに考えてきた権力と富のマフィアに対して今までなされてきた批判のなかでも、もっとも直截的なものであった」。

 同氏はさらに「アフマディーネジャードはこれまで最高指導者や国民がじっと飲み込んできた怒りを、4年間の沈黙と忍耐を破り、ついにはき出したのだ」と指摘、さらに「ムーサヴィー氏はこの討論で、明らかに言うべき言葉を失っていた。彼は用意していた非難のことばを次々と繰り出したに過ぎず、前もって書かれていた原稿を棒読みしていただけだ。もちろん、こんな討論が成功といえるはずもない」と続けた。

 モハンマディー氏はその上で、「アフマディーネジャードは過去数年間に何度もしてきたように、再び皆を驚かせる発言を行い、権力と富のマフィアが守ってきた最後の一線を国民とともに踏み破った。実際アフマディーネジャードは、人民が〔旧来の差別的権力構造を打破するアフマディーネジャードの思想と、それを温存しようとするラフサンジャーニー=ムーサヴィーの思想の〕二つの思想のどちらかを〔選挙において〕明瞭なかたちで選ぶことができるような機会を作り出したのだ」と付け加えた。

〔中略〕

虐げられし者たちが耐えてきた、権力と富の党派に対する怒りの雄叫び

 「アフマディーネジャードへの人民による支持を調整する本部」の政治委員会責任者を務めるメイサム・ネイリー氏は、「今回の討論会では、イラン国民が何年もの間期待してきたことが現実のものとなった。すなわち、人民と敵対する《権力と富の党派》との対決を目の当たりにした、ということだ」と語った。

 同氏は続けて、「権力と富の党派は何年もの間、人民ののどに引っかかったトゲのような存在として、残存してきた。アフマディーネジャードはこの党派を白日の下に晒し、イラン人民の目の前にはっきりと見える形で示したのだ」と述べ、さらに討論ではアフマディーネジャードが絶対的な勝利を収めたと指摘した上で、「アフマディーネジャードを支持する人民の波が、今回の討論を転換点として、これまで以上に自らの存在感を示すことになろう」と語った。

「アフマディーネジャードは選挙の魑魅魍魎が跳梁跋扈するブラックボックスを照らし出した」

 政治学者・アナリストのアブドッレザー・ダーヴァリー氏も、今回の討論会について、「この討論会でのアフマディーネジャード氏の発言は、政権および大統領個人に対して加えられてきた前代未聞の規模の中傷に対して、4年間抑えてきた怒りが番組の中で一挙に吹き出したものだ」と指摘、一部の人物の不労所得と経済的腐敗を大統領が指弾したことに触れ、「アフマディーネジャード氏はこの討論で、選挙の魑魅魍魎が跳梁跋扈するブラックボックスを照らし出し、政権批判者たちをウラで操る舞台監督たちの存在を白日の下に晒した」と語った。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:16631 )