ERGİN YILDIZOĞLUコラム:ホンジュラスの教訓
2009年07月08日付 Cumhuriyet 紙

「社会的生活とは、本来、実践に関する事柄である。理論を神秘主義へ仕向ける総ての神秘性が合理的な解決を人間の実践とその実践の理解において見出す。」

昨月ホンジュラスで現実となった軍事クーデター(実践)は、トルコで暫く前から我々が経験している最も軽い表現で「曖昧な」(神秘性に満ちた)「クーデターの脅威」や「クーデター支持者たち」にまつわる議論を考察する上で役立つ良い例である。

■三成分方程式

しかし、この「神秘的な」議論は、偶然で「非合理的」なものだと考えてはならない。注意深く見ると三つの成分によって構成される論理が作用していることが分かる。

一つ目は、政治的イスラムのヘゲモニー形成期において既存の、そして未来の反対勢力の抵抗戦線を崩そうと試み、連携勢力を結集させようとする力学である。二つ目は、深まる経済危機が表舞台に呼び寄せる社会的反発をその主要目標から他の方向へ差し向けなければならない、という「構造」の必要性であり、三つ目は、左翼・社会主義勢力の一部が政治的イスラムや「構造」の必要性に降伏したことである。この降伏の原因を多分(個人的利益への期待を除けば)社会概念をその構造的特性や階級的力学から疎外して文化的な領域のみに帰させるポストモダニズムの諸々の影響に求めなければならない。

■クーデターとはこのようなものだ

トルコにおいてクーデターに関する議論は、歴史が忘却され、諸々のクーデターの階級的、そして「構造的」な要因を否定されて、専ら、退役軍人や退職大学学長や新聞などのオピニオンリーダーに加えて、深層国家の廃れて暴かれた要素からなる不可思議な混合体に集中し、解読不可能な虚構や陰謀論に終始している。しかし、ホンジュラスで現実となったクーデターを見ると、それが実践においてどのように経験されているかはよく見えるのである。

軍事クーデターは、支配階級の利益や経済構造の持続性が危険に晒されたときに具現化し、現役の軍人によって、軍隊によって(「構造」を構成する機関によって)実現されるものである。軍事クーデターは、如何なるときも、地域の地政学の一部として国際的なヘゲモニー勢力の支援によって、そしてそのヘゲモニー勢力の利益に即した状態で実現されるものである。

もともと、これらの条件は総て、細かく織り出された関係性の網を形成している。軍隊は、ヘゲモニー勢力の軍隊と技術的・イデオロギー的に関節接合している。支配階級は、国際資本と結合している。軍隊と支配階級の間に直接・間接(回転ドアシステム)の資源や人員やイデオロギーの遣り取りがある。これらの条件の一つでも欠けていれば「従属国家において」軍事クーデターは現実とならない。実現できると夢見る者は「構造」にとって脅威とはならず、直ぐに且つ容易に排除される。また、この排除過程は構造の強化に役立つ形で進むものである。

■ホンジュラスの例

ホンジュラスは、米中央情報局及び米軍の地域的作戦にとって非常に重要な拠点である。[ホンジュラス]軍の上層部はいつも米国の著名な「拷問専門家育成学校」で訓練された軍人の中から選出される。

軍事クーデターで倒れたゼラヤは、そもそも国の首長選挙を2005年に自由党の候補者としてビジネス界の支持を得た綱領によって勝ち取っていた。しかし、経済状況が悪化するにつれて高まった社会的反政府勢力を味方に引き寄せるために徐々に国民派の、民衆派の立場を取り始めた。ゼラヤは、「オリガーキー」(寡頭制)を不正な利益を得たと批判し、最低賃金を60%上げ、地域において米国の自由貿易プロジェクトに対して形成してきたボリバル派ブロック(ALBA)に参加した。
この動きに対して、ホンジュラスの支配階級は、力を結集できるよう努力しはじめ、米中央情報局に支えられる米国外交(体制改変)手段のうち米国国債開発局(USAID)及び全米民主主義基金(NED)から資金援助を受け、さらにアルカディア財団のような闇組織の応援によって「平和と民主主義の運動」を形成していた。また、ゼラヤが政権の維持継続のために再選を可能にする法改正を模索していたのである。軍隊の介入は、この法改正を憲法違反だとすることを根拠としている。米国がこのプロセスに最初からかかわってきたことは、そのどっちつかずの躊躇いのみならず、上層部の外交官の一人の「隊長たちと話し合っており、クーデターを阻止しようとしたができなかった」との発言からも理解できる。

The Guatemala Times紙の「ホンジュラスのクーデターは、氷山の一角に過ぎない。次は誰の順番だろう?」と題された社説は、米国の地域においてALBAに対して新たな主導権争いの始まりを示唆している。

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( 翻訳者:イナン・オネル )
( 記事ID:16910 )