ドイツでの「エジプト人ヘジャーブ婦人殉教」事件に対する抗議の声、高まる
2009年07月11日付 Iran 紙

【政治部】ヘジャーブを身につけたエジプト人女性マルワ・アッシャラビーニーさんが、ドイツで人種主義者の若者によって殉教した事件に対し、国内外の団体・著名人からは非難・反発の声が上がっている。シャラビーニーさんはドイツ東部にある裁判所の中で、夫や幼子の目の前で18回にわたり刃物で刺され、惨殺された。

 ハサン・ガシュガーヴィー外務報道官は、「あろうことか裁判所の中でマルワ・シャラビーニーさんを殉教せしめたドイツ人人種主義者によるテロ行為は、卑劣きわまりなく、人権の理念・価値観すべてに反する行為であり、われわれはそれを強く非難する」と語った。

 同報道官は、人権を主張する国々においてこれまで起きた人道的理念・価値観に明確に反する行為の数々を列挙した上で、「警察の目の前で、それも裁判所という安全地帯で卑劣な殺人事件が発生したことは、ドイツ国内の治安悪化がどれほどのものであるか、移民や宗教少数派に対する憎悪がいかに拡大しつつあるかを、まざまざと見せつけるものである。人類社会にとって、いかなる説明をもってしてもこのような惨劇を正当化することはできない」と述べた。

 「〔西洋諸国はこのような惨劇の〕原因究明と対策に関して、故意に無関心を決め込み、人権の理念・価値観に対してダブルスタンダードな態度を取っている。このことが、残念ことに、西洋諸国における人種主義や移民・ムスリム少数派への蔑視を危険なまでに激化・拡大させている」。

 同報道官はさらに、マルワ・シャラビーニーさんの悲劇的な殉教に関して、遺族やエジプト国民・政府にお悔やみの言葉を述べた上で、イスラーム会議機構やその他の国際機関に対して、今回のような反人権的行動が広がりつつある現状に対処することを目的とした委員会の設置を呼びかけた。

駐イラン・ドイツ大使、外務省に呼び出される

 イラン外務省西欧局長は、ヘルベルト・フンズウィッツ・ドイツ連邦共和国大使を外務省に呼び出し、今回の非人間的行為に対するイラン・イスラーム共和国の抗議の意志を伝えた。

 面会のなかで、イラン側はドイツ政府が今回の恐るべき犯罪行為に対して迅速な対応を怠ったと指摘、ドイツには同国に住むマイノリティやムスリム市民の権利と安全を確保する責任があると強調した。またイラン側は、ドイツ・ドレスデン市の裁判所で起きた犯罪行為は、西洋で反イスラーム感情が広がりつつあることを示すもう一つの事例であると指摘、〔ドイツのマス・メディアは〕人権問題に対して選択的な対応を示し、マルワ・アッシャラビーニーさん殉教事件についての報道をボイコットしていると批判した。

国内の著名人ら、ドイツ政府に強く抗議

 東アゼルバイジャン州最高指導者代理のアーヤトッラー・シャベスタリーは、「西洋で人権を声高に主張する人々には言葉と行動の不一致が見られる。このことは、ムスリムであるか否かを問わず、世界のすべての人々の目にこれまでに何度も明らかにされてきた」と指摘した上で、「敵は自らが擁する巨大なプロパガンダ・メディア装置の助けを借りて、何年も前からイスラームに対する恐怖感を植え付けるプロジェクトを欧米で実施してきた。時に彼らの望む結果が達成されたこともある」と語った。

 アーヤトッラー・シャベスタリーはさらに、「近年起きているムスリムに対する暴力的な行動の数々も、このような嫌イスラーム・プロジェクトがもたらした結果の一つである。残念なことに、西洋諸国の政府関係者たちはこのような問題に対して沈黙を守っている」と述べた。

 他方、宗教指導者問題担当の大統領顧問を務めるホッジャトルエスラーム・ナーセル・サッガーイェビーリヤーは、「われわれは、自らの魂を売り渡し〔欧米の〕傀儡政府と化した一部のイスラーム諸国が、西洋によるムスリムへの人権抑圧に対して反発の声を上げるようなことを期待してはいない。しかし、ムスリム諸国民に対しては、ドイツで起きた最近の重罪行為に対して沈黙することのないよう、呼びかける」と述べた。

 同氏はまた、「ドイツ政府はイスラームとヘジャーブに敵意を抱いている。マルワ・アッシャラビーニー殺害を許したことが、その証拠だ。人権擁護を主張する彼らの大衆を欺くようなスローガン〔の偽善性〕は、世界の人々の前にすでに暴かれている」と指摘、さらにドイツの裁判所内でヘジャーブを身につけたムスリム女性がどのように惨殺されたのか言及した上で、「果たしてドイツの裁判所は、武器を携行した犯罪者が入廷することができるほど、治安が悪化しているとでも言うのか」と疑問を呈した。

 同氏はさらに、「もしこのような事件がイスラーム国で発生したならば、敵ども、特に西洋のシオニスト・メディアは大騒ぎをしてプロパガンダを垂れ流していたはずだ」と指摘した。

〔中略〕

イラン人学生ら、ドイツ大使館前で抗議集会を開催へ

 イラン人学生の一団は本日、テヘランにあるドイツ大使館の前で抗議集会を開く予定だ。

 ファールス通信の報道によると、この集会は団結強化事務所、大学生バスィージ、大学生イスラーム協会連合、独立大学生イスラーム諸協会連合、及び正義を求める学生運動などの学生団体の呼びかけで、ドイツでヘジャーブの身につけた女性が惨殺されたことへの抗議のために行われる。

 この集会は、テヘランにあるドイツ大使館前(フェルドウスィー通り―イスタンブール交差点―中央銀行正面―No.324)で、本日正午12時に開かれる予定。

Tweet
シェア


関連記事(ドイツの「ヒジャーブの殉教者」事件に対する反応)
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:16942 )