サッファール=ハランディー文化イスラーム指導相、「辞任」
2009年07月28日付 E'temad-e Melli 紙

第9期政権の情報相ならびに文化イスラーム指導相の2閣僚を突然解任する決断を下したマフムード・アフマディーネジャード大統領は、憲法第136条の規定による「政権の無効化」という問題に直面して、一転モハンマド・ホセイン・サッファール=ハランディー文化イスラーム指導相の解任を撤回した。しかし文化イスラーム指導相は、今後職務を継続するつもりはないことを表明し、辞表を提出した。

 アフマディーネジャード大統領と一部閣僚との間で生じた軋轢は、先週開かれた閣議に端を発する。この閣議の中で、情報相、文化イスラーム指導相、労働相、及び保健相の4閣僚は、なぜエスファンディヤール・ラヒーム=マシャーイーを第一副大統領から解任するよう求める最高指導者の通達にも拘わらず、最高指導者の統治令〔※〕の実行を引き延ばしているのかと問い質し、大統領を批判した。
〔※統治令は、最高指導者が「統治」という「最高の目的」のために、イスラーム法を停止してでも下すことのできる、超法規的な命令のこと〕

 一部情報筋は、この時アフマディーネジャードと閣僚らとの間で激しい口論が生じたとも伝えている。

 大統領は配下の閣僚らによる予期せぬ抗議に直面して、閣議を一時中断、休会を宣言した。その後閣議が再開、抗議の声をあげた閣僚らはアフマディーネジャードから何らかの説明があるものと期待していた。ところが、彼らにとって目を疑うような出来事が起きた。大統領は閣議を放棄し、代わってマシャーイーに閣議第二部の議長を任せたのである。

 ニュースサイト「ジャハーン・ニューズ」が伝えるところでは、抗議の声を上げていた閣僚らはアフマディーネジャードのこの行動に対して、閣議をボイコットしたという。

 最高指導者の書簡全文がイラン国営放送を通じて公表され、マシャーイーが自発的に辞任を表明するまで、新たに任命されたばかりの第一副大統領に対する支持をやめようとしなかった大統領は、〔辞意表明をした〕マシャーイーをアフマディーネジャード事務所所長に任命する辞令にサインをしてほんの数時間後の日曜日午後、モハンマド・ホセイン・サッファール=ハランディー及びゴラーム・ホセイン・モフセニー=エジェイーの二名を内閣から追放する命令を下した。第9期政権の任期満了まであと8日を残すばかりとなった時期での解任劇だった。

 政権内部からの批判者の出現に、アフマディーネジャードは怒り心頭だったのだろう、大統領は二人を解任したことで、憲法第136条の規定によりイランは「無政府状態」に陥るということをすっかり失念していた。というのも、この規定によれば、閣僚の半数以上を交替させた場合、大統領は改めて全閣僚に対する信任を国会から取り付けねばならないからだ。

 現在、政府は21の省で運営されており、これまでにすでに10人の閣僚が、罷免されるか、死去するか、ないしは解任されるかして交替している。そのため、文化イスラーム指導相及び情報相の解任によって、内閣は「無効化」してしまったのだ。このことは一部の国会議員も、2閣僚の解任の報が流れた後、メディアとのインタビューの中でアフマディーネジャードに警告していたことだった。

 そのため、大統領はサッファール=ハランディーの解任を撤回し、問題の解決を図った。同氏の解任を撤回しても、やはり交替させられた閣僚の数は10.5人のラインを越えてしまうが、しかしこれまで交替のあった11人の閣僚のうち二人は同一の省(内務省)の閣僚であるため、アフマディーネジャード政権は情報相だけを解任すれば、憲法第136条が規定する数には抵触しないと一部では解釈されているのである。〔※つまり交替させられた「閣僚」の数ではなく、「省」の数でいえば、21省中10省で閣僚が交替させられたことになり、半数を超えない計算になる〕

 こうして、日曜日午後、政府広報局(PAD)がショートメッセージのなかで購読者らにサッファール=ハランディー解任のニュースを配信し、複数の通信社も文化イスラーム指導相代行が決定したとの情報を伝えたにも拘わらず、昨日解任の報道そのものが否定されるという事態が生じたのである。しかし、文化イスラーム指導相の辞表提出により、実際には〔大統領が任意に交替してもよい閣僚の〕数を超えてしまうという事態を避けるために、解任の命令が撤回されたということが明らかとなった。

 サッファール=ハランディーが提出した辞表には、次のようにある。
大統領閣下から、小生を解任し、大臣代行を置くとの辞令が口頭で伝えられた。この情報は、政府情報特別ネットワークその他の広報サイトでも伝えられた。私は、大きなものを預かり、背負わされていた自らの軟弱な肩から重い責任が取れ、解放されたことに喜んだ。

ところが、どうやら〔大統領が任意に交替してもよい閣僚の〕数を超えてしまうという問題のために、この辞令は撤回されてしまったと聞く。さて、最近の様々な〔マシャーイーをめぐる〕出来事のために、敬愛する政府が嘲笑の的になっていることは遺憾ではあるが、私としては周辺の情報〔=解任が撤回されたということ〕に気を留めることなく、当初の〔解任の〕通達を深刻に受け止め、もはや自分は文化イスラーム指導相としての責任を負う立場にはないものと理解し、明日(火曜日)からは登庁しないこととする。

しかしながら、第9期政権は残すところ8日となっていることに鑑み、神のちっぽけな下僕であり、最高指導者の統治のために働く一兵卒である小生の名前が一つの「数字」として利用されても、そのことについて不服を申し立てることなく、受け容れる所存である。

 このように、サッファール=ハランディーは、もし政権維持のためだけを考えて、今後数日間内閣の一員として自らの名前を使ったとしても構わないとするメッセージを、アフマディーネジャードに伝えたのである。

 その一方で、アフマディーネジャード事務所のモハンマドザーデ広報担当副所長は、大統領はサッファール=ハランディーの辞任を認めていないと表明している。政府広報局は報告の中で、次のように発表している。「情報相の交替により、内閣の変更〔=変更のあった省〕の数は10件となった。憲法第136条が規定する、国会から改めて信任票を得なければならないとする数には、いまだ達していない。第9期政権はいまだ憲法第136条に抵触しておらず、4年の任期の最後の日々についても、これまでと同様、通常通りの職務を継続する」。

 他方、文化イスラーム指導相顧問は同相の離任式を行ったことを明らかにし、「サッファールは離任式で、自分がいなくとも真面目にこれまでの仕事を続けるよう、職員らに求めた。局長や次官ら全員が職務に励んでいるところである」と述べた。

 メイサム・ネイリー氏は文化イスラーム指導省の高官らが辞職したとの一部噂に答えて、「そのような事実はない。文化イスラーム指導省はこれまでと同様、第9期政権の中で、文化・芸術分野での職務に勤しんでいる」と語った。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17055 )