婚資金の金塊1000個も女性に幸せをもたらさず:ある若妻の離婚劇
2009年09月20日付 Iran 紙


【事件部】夫の暴力と不良行為に疲れ果てた若い女医が、家庭裁判所に婚資金として金塊1000個の支払い履行を求める訴えを起こした。

 本紙記者の報告によると、ナスリーン(32歳)は顔面蒼白状態で、第264法廷のホダーイー裁判長の前に座り、目に涙をためて次のように事情を説明した。
4年前のことです。私は医学部を卒業し、市の中心地にある某病院に勤めることになりました。仕事を始めてからまもなく、同じ病院に勤めている外科医から、なにやら意味ありげな視線を感じるようになりました。

この外科医は、乱暴者で怒りっぽい性格の人物でした。そのため、医師や看護師の多くは彼の振る舞いに不満を抱いていました。しかし、病院の責任者たちは、彼が腕のいいベテラン医であることを理由に、こうした不満にはあまり注意を向けませんでした。

私も当初、なるべく彼には近づかないようにしていましたが、ある日、病院の責任者を通じて、ラーミーン〔=暴力者の医者の名前〕医師が私にプロポーズをしてきました。私は彼に何の興味もなかったので、最初のうちは結婚の申し出を拒みました。しかし彼があまりにしつこいので、私との結婚を諦めさせようと、金塊1000個と8.33グラム金貨500枚の婚資金を結婚の条件として提示しました。ところがどうしたことでしょう、信じられないことに、彼はこの条件を受け容れてしまったのです。

彼との結婚から逃れるための言い訳がなくなってしまった私は、彼の申し出を受け容れざるを得なくなりました。彼は家族を連れて、私の所に求婚してきました。彼は私の関心を引こうと、これからは決して怒ったりはしないこと、平穏な生活を送ることを約束しました。

ついに、両家族が結婚に同意し、盛大な結婚式を開いて、共同生活を送ることになりました。しかし残念なことに、夫は約束に反し、結婚生活が始まってすぐに、自らの怒りっぽい性格を表に出し始めました。夫はとても怒りっぽく喧嘩っ早い人でした。ちょっとしたことで、すぐに騒ぎ出し、あら探しをするような人でした。

私は、夫がなぜ理解不能な行動をするのか原因が分からず、お医者さんに見てもらうよう求めました。夫は最初それを拒みましたが、離婚するといって脅すと、医者に行くことを受け容れました。精神科医も、夫のラーミーンが重度の精神障害にかかっていると診断し、静かでストレスのない環境で生活をするよう勧めました。

こうして、私は夫に仕事の負担を軽くし、少し運動をし、休暇を取るよう求めました。しかしムダでした。そのため、私も夫と口論をしては、家を飛び出し、父の家に帰ることもしばしばでした。そのたびに、夫は行動を自制する、怒りを表に出したりはしないと約束してきました。そうした時は、数日間は夫もおとなしかったのですが、すぐにちょっとしたことをきっかけに元の状態に戻ってしまいました。

そうこうしているうちに、しばらく前、夫が勤め先の病院の先生と喧嘩になり、相手にひどい怪我を負わせる事件が起きました。相手方が夫を訴えたため、夫は司法による取り調べを受け、停職処分を受けました。そのため夫は家に引きこもるようになりました。

これがきっかけとなって、夫は何かにつけて私に手をあげるようになりました。私も世間体を気にして、このことについて家族や同僚に話せずにいました。そんなとき、私は自分が妊娠していることに気が付きました。

このことを夫に打ち明けると、夫はとても不機嫌になりました。職を失った状態で、子供をもうけることになるとは思っていなかったからです。私は、夫に元気と希望を取り戻してもらおうと努めました。しかし夫は怒りに満ちた様子で、私に中絶するよう要求してきました。私はそれを拒みました。しかし夫は私に激しい暴力をふるい、悲しいことに、子供は流産してしまいました。

夫は今、姿をくらましています。私は〔離婚時に支払われる〕婚資金の受け取りを請求いたします。また、彼が犯した犯罪についても、調査していただくよう求めます。

 ホダーイー判事は女医の身の毛もよだつ話を聞いて、夫の身柄確保を命じた。若妻に対する暴力と流産をめぐる捜査は、現在〔テヘランの〕サアーダトアーバード検察庁で行われているところだ。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:17497 )