ラーリージャーニー、原理派の会長に選出:ラーリージャーニー外しの動き、封じられる
2009年10月08日付 Hayat-e Now 紙

【内政部】原理派の会長選挙で、「政権の倫理の教師」の異名をもつモルタザー・アーガーテフラーニー師がアリー・ラーリージャーニー氏に敗北を喫したことは、政権支持者らが原理派会長の席をラーリージャーニー氏から奪い取ろうと固い決意をもって臨んだ「ラーリージャーニー外し」が容易ではないことをまざまざと見せつけた。

 政権支持者らが最近になって「国会議長と原理派会長が同一人物であってはならない」とする主張を掲げる中で、第8期国会議長のラーリージャーニー氏が会長選挙で勝利を収めたことは、政府主催のレセプションに冷や水を浴びせるものであった。アフマディーネジャード支持者らは「政権の倫理の教師」の勝利を祝う祝賀会を企画し、〔大統領府のある〕パーストゥールのシャヒード・ベヘシュティー・ホールに向かう途中で、この報を受け取ったからである。

 興味深かったのは、アーガーテフラーニー師はバーホナル氏との争いにも敗れ、バーホナル氏は楽々と副会長の席を射止めてしまったことである。

 今回の争いの一方には、政権支持者と彼らに属する一部メディアが、他方には政権に批判的な原理派国会議員たちがおり、数週間前から原理派会長〔※原文には「国会議長」とあったが、誤りと判断した〕の地位からラーリージャーニー氏を外すための舞台裏での動きが始まっていた。こうした政権支持者らの動きは、投票当日まで続き、彼らはアーガーテフラーニー師のもとに結集して、政府系通信社などの協力を受けつつ、反ラーリージャーニー的雰囲気の醸成に努めていた。

 しかしにもかかわらず、投票への参加を表明した中央評議会の委員32名中(同評議会の委員の数は44名)、実に24名がラーリージャーニー氏に投票、モルタザー・アーガーテフラーニー師が獲得したのは7票に過ぎなかった。

 そこで疑問として持ち上がるのが、アーガーテフラーニー師はいかなる戦略で、またどの派に依拠して、ラーリージャーニー氏との争いに打って出たのか、ということだ。言うまでもなく、アフマディーネジャード支持者らはこれまでの多くの選挙で勝利宣言しているものの、実際には〔原理派内では〕少数派に位置している。

 政権支持者らは前の原理派〔運営理事会?〕選挙でも、また第8期国会選挙や地方議会選挙でも敗北を喫しており、原理派に属する多くの関係者や体制関係者らがアフマディーネジャード支持者たちの考え方や独断専行的な姿勢に対して、耐え難いものを感じていることが示されてきた。

 今回の原理派運営理事会選挙の結果、特にアリー・ラーリージャーニー氏が原理派会長に再選されたことに対しては、国会内の各派から様々な反応が出ている。

「政権支持者らは自らの振る舞いを見直すべき」

 第8期国会の原理派議員の一人で、政権に批判的なハミード・レザー・カートウズィヤーン氏は、原理派会長のすげ替えを狙った政権支持者らの思惑が失敗に終わったことは、議会内で彼らが起こしてきた急進的な動きに対する報いであるとの見方を示している。

 カートウズィヤーン議員は政権支持者を代表して原理派会長選挙に出馬したモルタザー・アーガーテフラーニー師が、国会の原理派議員らからわずかな票しか得られなかったことについて、「モルタザー・アーガーテフラーニーとアリー・ラーリージャーニーの間の争いの結果は、最初からはっきりしていたように思える」と語る。

 同氏は「議会ニュース」に対し、「時に見られる過激な動き、バランスを欠いた対応が、彼ら〔政権支持者たち〕に対してマイナスの影響を与えた」と指摘、さらに「原理派会長選挙は、急進派が国会内で急進的なやり方で行動を起こそうとしても結果には結びつかない、ということを教える良い機会となったのではないか」と述べている。

 テヘラン選出の同議員はその上で、「変化を起こそうというのであれば、過激な行動を取るのではなく、理性的に行動すべきである」とも述べた。

 同議員はまた、「今回の選挙は政権・アフマディーネジャード支持者の国会内でのウェートを明らかにするものであったか」との問いに、「その通り。国会内の政権支持者らは、今回の選挙から教訓を学び取り、自らの一部の振る舞いを見直す機会とするべきだ」と回答、さらに「国会内の政権支持者らは、急進的な行動によって、自らの影響力を失っている〔ということを自覚すべきだ〕」と指摘した。

「原理派内にとどまる」

 政権支持者の一人で、以前「ラーリージャーニーが原理派会長に再選されるようなことがあれば、同派から離脱する」と揺さぶりをかけていたラサーイー議員は、態度を変えて、「ラーリージャーニーは国会原理派のあり方を変える、と約束した。もしこれまでのあり方を変えるのであれば、私は派内にとどまる」と述べた。

 ラサーイー氏は、重要なのは派内の状況を打破することであるとし、派内にはムーサヴィー氏の選挙本部に加わっていた者も一部おり、〔原理派というまとまりの有効性については〕疑問があると指摘する。同氏によると、現在、原理派中央評議会には、先の選挙で派の綱領に反する立場を取った人物が紛れ込んでいるという。

 テヘラン選出の同議員はその上で、次のように述べる。「改革派がラーリージャーニーの会長再選に喜びの声を上げているのをみると、このこと〔原理派内にムーサヴィー支持者が紛れ込んでいること〕に疑惑の目を向けざるを得ない。ターベシュ氏が私に、『ラーリージャーニーを会長にして何が悪い』と言い、国会少数派のスポークスマンがラーリージャーニー支持を公言しているさまに注目するならば、いかなる流れが〔原理派内で〕出来上がっているのか、自ずと明らかだろう」。

 「こうした友人連中がラーリージャーニーを称賛していることからして、そもそもにおいて原理派〔という派の存在意義〕に疑問が持ち上がるのである」。

 同議員は原理派の過去1年間の仕事ぶりを批判した上で、「これからは、原理派が派として何か行動を起こす場合は、綱領に則った動きをするべきだ」とも主張した。

 同氏は「原理派の今後の行動次第によっては、同派からの離脱もありうるか」との問いに対しては、「私は〔アフマディーネジャード支持者らで構成される〕『イスラーム革命派』の一員である。この派は真の意味での『原理主義』を実践する派である。政権に対しては適宜、必要な指摘を行い、裏でこそこそと示し合わせるようなことはしない」と述べた。

「国会議長が派の会長を兼務する前例はない」

 政権支持派のホッジャトルエスラーム・ゴラームレザー・メスバーヒー=モガッダム氏は、昨日の国会原理派運営理事会選挙は非の打ち所がないほど民主的なものだったとし、「派の会長として誰を選ぶかをめぐり、接戦が行われたが、ラーリージャーニー氏が会長に再選された。多くの議員たちは、国会議長の権威を守ることを優先した。ラーリージャーニー氏が国会多数派〔である原理派〕の中央評議会委員たちから〔派の会長に〕再選されたのは、このような理由による」と述べた。

〔中略〕

 同氏は、国会〔の原理派〕内には三つの派閥が存在すると指摘し、次のように述べた。「原理派は三つの分派からなる。一つは政権支持派、いわゆる『奉仕の芳香』派である。もう一つは『イマームと最高指導者の路線を支持する戦線』派であり、さらにもう一つが『変化を求める革命献身者』派である。国会内には、この三つの派が原理派の分派として、いまだ自らの存在を保持しており、原理派内での争いはこの三つの分派の間での争いとなっている」。

 同氏によると、ラーリージャーニー氏は《イマームと最高指導者の路線を支持する戦線》の代表格であると指摘、その上でイラン学生通信とのインタビューの最後に、なかでもモハンマド・レザー・バーホナル氏が高い得票で副会長に選出されたことについて、次のように指摘した。

 「昨日の原理派議員らによる投票は、各自の意見、候補者の実績、そして原理派内で当然のようにして起きるロビー活動によって決まった。この間、一つの派として覇権を握ろうとしていた政権支持派は大敗北を喫した。これは、彼らの刃があまり切れ味が良くなかったこと、アフマディーネジャードには国会内での政治的基盤が欠けていること、さらには彼の支持者たちも国会内で政治的なバックボーンや派としてのまとまりがなく、むしろ個人プレーが目立ったことなどを示している」。

 いずれにせよ、ラーリージャーニー氏は原理派会長に再選され、心安らかに第8期国会の任期終了まで、同派の会長職にとどまることになった。政権支持者たちはこうして、再び苦い敗北を味わったのである。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17619 )