合同軍事演習延期をめぐり、イスラエル・トルコ関係ぎくしゃく
2009年10月12日付 Radikal 紙

トルコとイスラエルの関係は、ダボス会議での「あと1分だけ(One Minute)」事件(注)に続き、今度は(トルコ・イスラエル・アメリカ・NATOによる)「アナトリアの鷲」と名づけられた合同軍事演習の中止という事態となった。外務大臣は「イスラエルには良識的な判断を望む」と語った。

(トルコ・イスラエル・アメリカ・NATOによる)「アナトリアの鷲」合同軍事演習は、トルコ・イスラエル間にまた新たな「ダボス危機」を作り出したのか?
イスラエルの参加も予定されていた合同軍事演習の多国間演習が中止された。イスラエルの情報によると、トルコがガザ攻撃を理由にイスラエルの参加を拒否したとし、この参加拒否要求はレジェプ・タイイプ・エルドアン首相から直接なされたという。「トルコがイスラエルを見下すことに言いなりになっているのは、いい加減やめなければいけない」と話すイスラエルに対し、トルコ外務省は「イスラエルには良識的な判断を望む」と返答した。

この件はイスラエル外務省で昨日(11日)行われた緊急治安会議において議論された。イスラエルのハーレッツ紙によると、「トルコとイスラエルの戦略的な同盟関係が脅かされている」。複数の情報によると、トルコ軍幹部は先週イスラエルに対しイスラエル空軍の「アナトリアの鷲」合同軍事演習の不参加要求を通知した。この要求はエルドアン首相から直接なされたという。イスラエルとともに軍事演習への参加を予定していたアメリカ、オランダ、イタリアも、この決定に伴い軍事演習の参加を中止したとされる。アメリカ側の幹部は現時点では単に軍事演習は「延期された」と話している。イスラエル外務省報道官は、本件に関する会見において、今回の決定はNATO、欧州及び米国の利益にも影響を与えると述べた。

■ 「私たちはイスラエルに良識的な判断を望む」
外務省は、「アナトリアの鷲」合同軍事演習の多国間演習の延期から政治的な意味合いや結論を引き出すのは正しいことではなく、こうした状況においてイスラエル首脳らの見解として報道されている今回の件に関する評価づけを受け入れることはできないとした。外務省は、その上でイスラエル政府関係者らに良識的な言動を求めた。
外務省の声明では、2001年以降定期的に行われてきた「アナトリアの鷲」合同軍事演習はトルコ空軍が計画したシナリオに沿って実施されてきた、国際的にも開かれたトルコの軍事演習であり、年間の様々な時期にわたって段階ごとに実現されてきたと述べられた。
合同軍事演習は最初の2回が成功裏に実現されており、今年は10月12日~23日に行われる予定だった。この3度目となる合同演習の多国間演習が他の参加国にも諮問の上で延期されたとする声明では、次のように述べられた。
「しかしながら軍事演習は国の活動として実施されるべきである。現在の状況はもともと参謀本部のインターネットサイトを通して国民に知らされていた。こうした状況を受け、合同軍事演習の多国間演習の延期から政治的な意味合いや結論を引き出すのは正しいことではない。こうした状況においてイスラエル首脳らの見解として報道されている今回の件に関する評価づけを受け入れることはできない。私たちは、イスラエル政府関係者らに良識的な言動を求める」

■外務大臣は「ガザにおける状況を改善する」
アフメト・ダヴトオール外務大臣は、「アナトリアの鷲」合同軍事演習からイスラエルが排除されたことに関してコメントする一方で、イスラエルのガザ地区に対する現行のアプローチへの不快感をあらわにし、「私たちはガザにおける現状が改善するよう願っている。これは、トルコ・イスラエル間の関係においても新たな空気を作り出すことになる」旨述べた。アフメト・ダヴトオール外務大臣は、アメリカのCNN放送局のインタビューに応じ、イスラエルが合同軍事演習から排除された理由を説明する一方で、「私たちはガザにおける状況が改善し、再び外交的解決の途に戻ることを望んでいる。これは、トルコ・イスラエル間の関係においても新たな空気を作り出すことになる。しかし、現状では、当然この(イスラエルのガザ地区に対する)アプローチを批判する」と話した。ダヴトオール外務大臣は、本件関係各国・機関との諮問会議に続き、トルコがNATO合同軍事演習に代わるトルコのみの軍事演習を実施することを発表した。

■英Times紙によると「イスラエル側は激怒」
イギリスのTimes紙は、イスラエルの防衛筋の高官はトルコの「アナトリアの鷲」合同軍事演習からイスラエルが排除されたことに関して大変な怒りを感じていると報じ、ある軍幹部は「トルコがイスラエルを見下すことに言いなりになっているのは、いい加減やめなければいけない」と述べたとした。
同紙によると、イスラエル政府関係者は「彼ら(トルコ)があらゆる機会に私たちを侮辱し、(それに対し)私たちも自分たちの口をつぐみ続けていることを、やめなければいけない」と話しているという。
「『アナトリアの鷲』合同軍事演習」と「鷲は舞い降りた」という名の著名な小説をかけて「鷲はトルコのガザへの怒りの上に舞い降りた」という見出しがつけられた記事によると、トルコがイスラエルを排除したことを理由にアメリカも参加を拒否した今回の軍事演習は、トルコ空域内で、シリア、イラク、イラン国境に近い地域で実施される予定だった。
同紙は、イスラエルにとって長い間トルコがムスリム世界での主要同盟国であったことに触れ、イスラエル機が2007年にシリアで核施設として疑われていた場所を爆撃した際、トルコ領空を通過したと考えられていると記している。

[訳者注:今年1月に行われた、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において、エルドアン首相とイスラエルのペレス大統領が、ガザ侵攻をめぐって激しくやりあう一幕があった。このとき自らの発言を制止しようとした司会者に対し、エルドアン首相は自分の発言時間がペレス大統領よりも少ないことに触れ「あと1分だけ(One Minute)」と言って、イスラエルに対する批判を続けた]

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( 翻訳者:萩原絵理香 )
( 記事ID:17643 )