大統領メディア担当顧問の娘、国外に亡命:「この事件は反体制派による《ソフトな戦争》の一例」
2009年10月15日付 Mardomsalari 紙

ここ数日、大統領顧問の娘が国外に行き、亡命申請を決意したことが、一部の西側メディアのニュースで話題となっている。顧問はこのことに関し、子どもへの父親としての忠告を述べた上で、「ナルゲス〔=キャルホル顧問の娘〕も言っているように、私が彼女の母親と離婚してから、彼女は母親と暮らしており、外国行きは彼女一人で決めたことだ」と話した。

 娘であるナルゲス・キャルホルが国外に行き、亡命を申請したことが、一部メディアで騒ぎになっていることについて発言したメフディー・キャルホル大統領顧問は、このように述べた上で、さらに「妻と離婚した後、ナルゲスは母親との生活を選択した。私も法律に従い、ずっと彼女に生活費を支払ってきた」と述べた。

 同氏は、「彼女の海外渡航がメディアで報道されるまで、このことについて私は何も知らなかった。ナルゲスはグラフィックと映画を専攻していた。彼女が製作した映画の上映のために、ドイツに行ったようだ。現在、それとは別に亡命を要請したようだが、これは彼女が個人的に決めたことであって、彼女自身の問題だ。彼女自身も、一年前から私には会っていないと述べているし、私が父親であるからといって、子どもたちが何らかの特権を享受しているというようなことはまったくないと強調している」と続けた。

 キャルホル氏は、「今回の出来事は、イラン・イスラーム共和国には自由があるということを示すものだが、しかし〔海外の〕メディアは今回の問題を煽り立てている。彼らが〔反体制的な〕雰囲気作りに精を入れ、国の責任者らの評判を貶めたいという願望をもっていることの重要な現れだ」と強調した。

 キャルホル氏は、「ナルゲスは25歳だ。彼女の母親は、私がちょうどその年(84年、西暦2005年)にアフマディーネジャード氏と協力するようになったことを理由に離婚を求め、現実のものとなった。今も、彼女は反アフマディーネジャード派の一人で、現在イラン国営放送大学で教鞭をとっている」と述べた。

 大統領顧問は、「娘さんがどのような映画を製作したかご存知ですか」との質問に対して、「私はそのことに関しては、何も知りません」と答えた。

 「娘さんが外国に行った理由と彼女の亡命についてどのようにお考えですか」との質問に対しては、同氏は「これは私ではなく、ナルゲスが答えるべきことである。彼女の決断については、私は何も知らないからだ。もちろん、自分の考え方を子どもたちに押し付けようとしたことは、一度もない。ただ、何度か彼女が製作した映画が公開される運びとなったものの、実現せず、その後海外への渡航を望むようになった、ということだけは知っている。私は自らの信念にもとづき、自分の特権的地位を子供たちのために利用したことはない。だから、ナルゲスが〔ムーサヴィー支持者であることの意思表明として〕緑のリボンを手に結び、西側メディアのインタビューを受けたことは、彼女自身の問題である」と答えた。

 大統領顧問は、「私はどのような状況でも、ナルゲスは私の子どもだと思っている。彼女は国家の敵によって騙され、彼らの宣伝の道具にされたと私は思っている。一人の父親として、国に敵対する敵の道具になるな、引き返し不可能な道に足を踏み入れるなと彼女に忠告する」と付け加えた。

 他方、アフマディーネジャード大統領メディア担当顧問は政府系通信社のインタビューで、今回の出来事について別の問題を指摘している。同氏は、「現在の国内状況と娘がインタビューで使った〔緑のリボンという〕シンボルに注目すると、国内のある政治潮流〔=改革派のこと〕が今回の事件や映画製作を後押ししているようだ」と述べた。

 メフディー・キャルホル氏は火曜日、イラン国営通信とのインタビューでこう述べた上で、さらに以下のように発言した。「今回の事件もまた、イスラーム共和国の政府・体制に敵対する者たちがしかけたメディア戦争、《ソフトな戦争》の一例であると私は考える」。

 同氏は、娘であるナルゲス・キャルホルの映画の製作とその内容については何も知らないと強調した上で、「私が前妻と別れて、もう何年も経つ。私たちは完全に政治的な理由で別れ、妻の方から別れを切り出してきた」と述べた。

 キャルホル氏は、前妻がアフマディーネジャード大統領に真っ向から反対していたことについて言及し、意見の食い違いは1384年(2005年)から始まり、結局結婚から何年も経ってからの熟年離婚を選択したことを明らかにした。

 大統領顧問はメフル通信のインタビューで、娘の年齢について25歳であると発言していたが、イラン国営通信とのインタビューでは、現在彼女は26〜27歳ごろになっているだろうと指摘した。同氏はその上で、彼女はもう何年も母親と暮らしており、伝え聞くところによると、彼女は西側メディアとのインタビューのなかで、父親である自分にアフマディーネジャードと分かれるように忠告したようだ、と話した。

 キャルホル氏によると、法的観点から言えば、娘は国外に出るための許可を父親から得る必要はなく、自身もナルゲスが国外に出たことについて何も知らなかったと述べ、さらに「私はつい1ヶ月前まで、娘の学費と生活費を銀行口座から振り込んでいた」と語った。

 ナルゲス・キャルホルは最近、フランツ・カフカの小説をもとにした映画『熊手』(The Rake)を製作していた。同映画は、ニュルンベルク映画祭で上演されることになっている。

〔後略〕

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( 翻訳者:尾曲李香 )
( 記事ID:17699 )