宗務庁、コーカサスで問題解決の動き
2009年10月25日付 Yeni Safak 紙

40近い国々のムスリムたちに宗教奉仕活動を行っている宗務庁が、今度はコーカサス地方への活動を開始した。カラチャイ・チェルケス共和国やアディゲ共和国と初めて交流する宗務庁長官バルダクオール氏は、「その土地では宗教奉仕活動への強い要請がなされています。首都にはモスクさえもないのです」と述べた。オセチア、チェチェン、イングーシやダゲスタンのような独立共和国とも関係を築くことを説明した同長官は、以下のように続けた:「そこでは宗教に関する知識や宗教奉仕活動において深刻な不足が見られます。トルコへ行き神学部で学んだ者は、救世主のように捉えられているのです。私達はあの地域から、更に多くの学生を連れてこなければいけません。」

政府が平和と安定のためにアルメニアと問題解決を行う一方で、宗務庁は宗教の分野において「コーカサス問題解決」を開始した。宗務庁長官アリ・バルダクオール氏は、40近い国々で国外駐在組織をもつ宗務庁が初めてカラチャイ・チェルケス、アディゲ共和国等と関係を持つと述べた。同長官は、今後はオセチアやチェチェン、イングーシやダゲスタンのような独立共和国へも訪問する予定と明らかにし、以下のことを語った。

■ ドイツからインドネシアにまで拡がる宗務庁の宗教奉仕活動

「40近い国々にある国外駐在組織(の存在)は、国外に暮らす多くのトルコ系や親族の人々、祖先を同じくする人々、そして私たちの国民のそれぞれの期待が、私たちを駆り立てたというのがまさに実情であります。本庁は問題解決を行っていく地域を、1番目に私たちの国民が移住した西洋の国々、2番目にバルカン地域、3番目にロシア連邦と関係のある民族とチュルク系独立共和国、4番目にイスラーム諸国家、5番目にアフリカと、順序を付けることが出来るでしょう。」

■ 布教の目的はない

「トルコに対し非常に友好的で、宗教の知識や宗教的経験という点で(トルコ人から)まるで何も聞き逃すまいという姿勢をもつこれらの人々に対し、関心を払わなくてはなりませんでした。そのため、初めて北コーカサスのカラチャイ・チェルケス国を訪れました。私たちは国として、一度たりとも布教政策や他の国家・集団の内部事情に干渉するような政治活動を行いませんでした。そのためもあって、私たちには民族運動や布教のような目的がないこと、そして、ただただイスラームという宗教の正しい知識と正しい宗教奉仕活動を分かち合うために、必要とされれば活動を実行することを彼らに表明しました。」

■ 「もっと早く行っていれば」

「この訪問は宗務庁の歴史において初めての出来事となりました。今後、縁があれば、オセチア、チェチェン、イングーシ、ダゲスタンのような共和国へも訪問する予定です。カラチャイ・チェルケスへは大統領と宗教管理長であるイスマイル・ベルディエヴ氏の招待を受け、訪れました。宗務庁に、またトルコに結び付きがあって、(元々)この土地にはより深い尊敬の念があるようです。そこでは、空港での歓迎から見送りに至るまで私たちを感動させ、「もっと早く行っていればよかった」と思わせる程、人に悔恨の念を抱かせる大きな興奮と関心に出会いました。本庁が進めている企画によって建築が完了したモスクで金曜の礼拝を行いました。」

■ 首都にモスクがない

「私たちはいくつかのモスクに立ち寄り、そこのムスリムたちや需要されているものを観察しました。宗教管理長と接見しました。大統領は私たちをとても暖かく迎えてくれました。氏に(カラチャイ・チェルケスに対する)トルコの友好的意向を伝えると共に、「協同してどのようなことが出来るか」ということを話し合いました。首都には礼拝をするためのモスクがまだありません。私達は、その都市の中心に近い場所にモスクが建てられる必要があることを述べました。大統領もこれに対し、熱心に賛成してくれました。「私は飛行機が飛び立つ、アディゲに近いこの場所にモスクがないことをとても残念に思ったのです。彼らは『これ程のムスリムがいるにも関わらず、小さな礼拝所もないのです』、『金曜日には場所を借りて礼拝をしています。時には体育館を借りることもあります』と話しました。彼らは非常に深刻な不足の状況にいるのです。」

■ ただ神への信仰だけが残ったようだ

「あの地域には、宗教知識や宗教奉仕活動に深刻な不足が見られます。後には祈り、神への信仰と愛が残ったようでした。祖先や伝統へ大きな繋がりがあります。しかしながら、宗教について彼らが知っているのは神、預言者、クルアーンそして祈りだけです。権威のある宗教者もいません。機会を得てトルコの神学部で学んだ者たちは、あの土地で重要な活動を行っているのです。」

■ ロシア語の神学部が設立されるべき

「現在、私たちはこれらの土地出身の千人近い学生を学ばせています。人数が多いため、費用も相当なものです。彼らには正しい宗教教育を受けた人々が何十人も必要です。もし、ロシア語が教育言語、あるいは第2言語である国際的な神学部がわが国にあったなら、そして、これらの土地に住む子供たちを何百人も学ばせることが出来たなら!」

■ 姉妹都市で宗教奉仕活動を

バルダクオール氏は、宗務庁がコーカサス問題解決において重要視している「姉妹都市計画」で、彼らが地域の国々の宗教奉仕活動の必要性を満たす予定であると述べ、以下のように続けた。「トルコのあらゆる県や大きな郡と、ユーラシア大陸の都市との間で姉妹協定を結びました。ユーラシア姉妹都市計画の意義は、モスク建設や宗教奉仕活動、宗教教育、宗教書などに対し需要があるこの地域のいくつかの中心地と、私たちの国の人々を対面させること、また、(それらの地域にたいする)わが国の県や郡の関心や友愛を築きながら、相互的な対話、訪問そして助け合いを提供することです。このように、姉妹都市の代表者(ムフティー)たちが訪れ、知り合い、必要を知らせます。この計画は、それぞれの県や郡の事業者たち、富裕層によって援助されます。姉妹都市関係はでたらめにではなく、その土地との人口、歴史、記憶の面で、何らかの関わりがある県と郡をそれぞれ選び、結び付けました。」

■ 「私たちに手を差し伸べて下さい」と言う意地らしい不満

コーカサス訪問中、トルコ(から来た)と言えば誰もが心からの笑みを浮かべ(接してくれ)たことを強く述べる宗務庁長官バルダクオール氏の、アディゲでの観察は興味深いものである:

「イスラーム諸国へ行き、そこで宗教教育を身に付けた多くの人たちが、自身の国へ戻ったとき(自国に対する)不適合を感じ、反発しました。このようになってしまうと、政府は非常に注意を払わなくてはなりません。そのために、彼らはトルコをより一層、信頼しているのです。トルコには親近性、記憶や歴史の共通項、親族的結び付きがあります。その点より、トルコをより重要だと考えているようです。『私達に手を差し伸べるべき人たちがいるとすれば、それはトルコでなくてはならないのです、宗務庁でなければならないのです』と彼らは訴えています。慈善的な、また知識と宗教奉仕活動の面で彼らは私たちを頼っているのです。そして、彼らはこの繋がりについて口にするのが全く不快ではないのです。

『私たちにムスリムであることが何なのか、あなた方が教えてくれました。あなた方の祖先が教えてくれたのです。しかし今日、あなた方は私たちに学問や知識を与えてくれなくなりました。どうして今日まで来てくれなかったのですか、どうして私たちをこの状態で見放したのですか?どうして私たちの側にいないのですか?』という、とても意地らしい不満を聞きました。これらは正当な不満であり、私たちを恥ずかしくさせるものでした。宗務庁がこれらの土地で築く関係を、例えば外務省等の他の組織が築くことは不可能なのです。」

■ 国外での活動のため予算が必要

コーカサスやヨーロッパ、他の地域で生活するムスリムたちへの宗教奉仕活動のため、トルコへの期待が高いことを明らかにするバルダクオール長官は、「このため宗務庁の国外予算が必要です。40近い国々とこれ程までの関係、共同の活動を行う努力をする組織の国外予算がゼロであるのは考えられません。しっかりとした国外予算で行うべき重要なことが山積しています」と話した。

国外予算調達のためのまだ最初の段階にあると述べる同長官は、以下のように続けた:

「約千五百人の宗教指導者を国外へ派遣します。私たちは(彼らによって今後)なされる活動が必要なものであると信じているために、あらゆる資金源を探す努力をしています。しかし、資金源を得られなければカラチャイ・チェルケスやアディゲで今起こっているように、それらの地域にある不足はそのまま残ることになるでしょう。カラチャイ・チェルケスには今の所、私たちトルコの職務責任者はいません。あそこへは少なくとも10人の(宗教活動の)人材が送られるべきでしょう。」

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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:17739 )