エジプトで出産適齢期女性の96パーセントが割礼しているとの調査結果、医師の役割や男女の意識の違いも浮き彫りに
2009年10月30日付 Al-Ahram 紙

■ 医者が主な原因

2009年10月30日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP家庭面

【サーミヤ・アブンナスル】

女子割礼は法によって禁止され、かつそれが心身に与えるダメージについての啓蒙活動が行われているにもかかわらず、いまだそれに固執し続け、女子割礼を行えば成人後に女性の性的衝動が抑えられると正当化する家族がいる。そしてこの慣習の継続に大きな役割を担っているのは医師たちなのだ!

 このことはカイロ家族計画・開発協会が、WHOとの協力のもとで実施した調査「エジプトの女子割礼と女性の性生活の関係」によって得られた結論である。本調査の実施にあたっては、マワーヒブ・アル=グバルギー博士、アマル・ファフミー博士、アフマド・ラガー博士が参加した。その結果、出産適齢期にある女性のうち、割礼の実施者は96パーセントにのぼることが明らかになった。それに対し、学齢期にある女子の割礼率は50パーセントと低くなっている。

また2007年に保健省が医師・看護士が割礼を施術することを禁止し、さらに2008年には割礼を施術した者の違法性と懲役刑が法律で定められているにもかかわらず、主に割礼を施術しているのは医師たちであり、その比率は68パーセントであることも調査によって示された。

 この調査結果は、割礼撲滅分野で続けられている努力にもかかわらず、いまだそれが広く行われていること、また割礼を行うかどうか決める際に一番決定権を持っているのは女性であることを明らかにした。というのは、この問題について影響力のある意見を握っているのは母親たちだからである。

また、合併症のリスクを下げるためにある程度年齢が進んでからの施術を医師たちが望むことから割礼を遅らせた事例も見られ、割礼の決定においては、家族に相談を求められる医師に強い影響力があることもわかった。また研究は、この慣行がなくならないのは、ウラマー(イスラーム法学者)たちの間で、その違法性や禁止についてのイジュマー(合意)がないためだとしている。

 さらに男性、特に若い男性が、割礼と女性が性的に反応する能力とを結びつけているのに対し、調査に参加した女性の大多数は、割礼が性的な満足を与えることには影響しないと信じている。また割礼されない部位は危険の源であり、彼女たちの性的行動を脅かすと女性回答者たちが信じているのに対し、男性回答者たちは女性が貞操を守れるかどうかは彼女たちをとりまく家族環境と育てられ方によるものであり、女子割礼とは関係がないと考えている。

 調査は男性と女性の間に、この問題について大きな見解の相違があることを明らかにした。女性回答者の大多数が男性は割礼を施した女性を妻とすることを好むと信じているのに対し、男性回答者の大多数は、割礼と結婚能力には関係がないと考えている。

 この調査では、警察官、判事、弁護士、ソーシャルワーカーの中から、新法を実施し実効力を持たせることが出来る人材を訓練する必要があると提言されている。また医師・看護士向けの医学教育カリキュラムに性生理学を取り入れること、あらゆる夫婦に結婚生活の幸せを実現させるために女性割礼撲滅のメッセージを映画やテレビドラマといったドラマ作品に盛り込むこと、割礼を含め、出産衛生問題に関する訓練を地元の宗教指導者に行うことなども提唱されている。

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( 翻訳者:勝畑冬実 )
( 記事ID:17786 )