イラン、西側に回答:「核燃料の完全な国外搬出は拒否」
2009年10月31日付 Jam-e Jam 紙

【政治部】ウィーンで提示された合意原案について、精査を行った上で見解を明らかにすることになっていたイラン・イスラーム共和国は木曜日、約束通り最初の回答を国際原子力機関(IAEA)の事務局長に提出した。

 イランのアリー・アスガル・ソルターニーイェ駐IAEA常駐代表がエルバラダイ事務局長に提出した回答によると、イラン・イスラーム共和国はウィーン協議を前向きに追求していることを表明したという。

 ウィーンで3日間にわたって行われた協議を受け、エルバラダイ事務局長はテヘランにある〔研究用〕原子炉向けの核燃料の供給方法について提案を行い、それに対して協議の参加国であったイラン、ロシア、アメリカ、フランスの各国政府は検討を行った上で、提案に対する回答をIAEAに通知することになっていた。

 エルバラダイ提案の骨子は、イランは自国に貯蔵してある1500キログラムの低濃縮ウランのうち1200キログラムを年末(西暦)までにロシア及びフランスに搬送し、その代わりに元の量よりも少量の、20%にまで濃縮を高めたウランをテヘランの研究用原子炉向けに受け取る、というものである。

 このことについてイラン国営通信は、IAEAが木曜日ウィーンで、テヘランの研究用原子炉で使われる核燃料の供給方法をめぐる協議に対する「イラン側からの最初の回答」を受け取ったことを発表したと伝えている。

 IAEAの声明では、次のように述べられている。「ムハンマド・エルバラダイIAEA事務局長は、テヘラン研究用原子炉の稼働継続のための低濃縮ウランの供給方法についての提案に対する、イラン当局からの最初の回答を受け取った。この原子炉は、医療用放射性同位体の生産のためだけに使用されるものである」。

 声明はまた、エルバラダイ事務局長がイランとの間で近く合意が得られることに期待を表明していることを指摘した上で、「事務局長はイラン政府ならびに他の協議当事国と、本件についての話し合いを続けており、同提案に関する合意が近く得られることを希望している」と続けている。

 イランはウィーンで行われた第一回協議を前向きに評価した上で、技術的・経済的視点を守りつつ、協議を今後も続ける用意があることを表明している。

 イランのアリー・アスガル・ソルターニーイェIAEA代表は、IAEAにイラン側の回答を提出した後、「イランは本件について、IAEAと協議を継続する意志がある。協議当事国は10月末にも、協議の新ラウンドを始める予定だ」と強調した。

 ソルターニーイェ代表は昨日、イラン側の回答の詳細については触れずに、「研究用原子炉への燃料供給方法については、イラン・イスラーム共和国側の経済的・技術的関心が確保されることが必要だ」と述べた。

 同代表はその上で、「話し合いにおけるイラン側代表として、交渉の中で我が国の技術的・経済的関心が実現されるよう努力しなければならない」と付け加えた。

 これより前、ある消息筋が述べたところでは、ウィーン協議の中でムハンマド・エルバラダイIAEA事務局長から示された原案の大枠について、イランは同意する見込みであるが、その一方で技術的・経済的な点で重要な修正を求めているという。

 他方、西側の報道関係者は昨日、イランは濃縮ウランの搬送には反対の立場を示しており、エルバラダイ提案の主要部分を拒否したとの報道を伝えている。

 AP通信はウィーンの西側外交筋の話として、イランは濃縮ウランの4分の3を濃縮を進めることを目的に国外に持ち出すことについて難色を示しており、代案としてIAEAの監視下で、国内で濃縮を行うことを提案していると報じている。

 しかしニューヨーク・タイムズ紙は、エルバラダイ提案に対してイラン側は、濃縮ウランを一度に国外に持ち出すことには反対しているものの、代わりに1200キログラムの濃縮ウランを段階的に搬送することを提示しているという。

 実際、次期協議では5%に濃縮されたウラン燃料と20%に濃縮されたそれとを同時にバーターで交換するという方式が、イランにとって譲れない一線となることが予想され、このことについての譲歩はあり得ないだろう。

〔後略〕

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17788 )