Oral Calislarコラム:1938年のデルスィム、2009年議会における共和人民党
2009年11月14日付 Radikal 紙

1938年にデルスィムで何が起きたのか?何千人のデルスィム市民が不当に殺されたのか?何千人の子供たちが父親や母親を亡くし、アナトリア各地に送られたのか?誰がこの虐殺を行ったのか?責任はだれにあったのか?公式の歴史書にその情報を見つけることはできない。市販の歴史書や中立的な研究書で探す必要すらない。多少の関心があるなら、インターネットの「デルスィム」の名を冠するサイトをざっと見渡すだけで、て真実が何であったのか、その日に何が起こったのか知ることができる。

デルスィムについては、まずオヌル・オイメンCHP(共和人民党)副党首が語り、その後デニズ・バイカル同党党首が語った。デルスィムのサイトを見れば、その時に行われた虐殺がCHPの一党制時代に行われたこと、政府の責任者たち全てが虐殺の立案に関わっていたことがわかる。その間になんの断絶もなく、今日のCHPの政治家たちがその日に行われたことを今でも同じ理解で主張していることにわかるだろう。

アブドゥッラー・ギュル大統領が議会開会の際、10月1日に行った演説の後、デニズ・バイカルは次のように述べた。「あなたは空想の中にいる。犠牲者をださず、金を費やさずにこの問題を解決することはできない。」 すなわち「全く今の政策の継続を」と言っていた。すなわちデルスィムで認められた暴力の継続を提案していた。オヌル・オイメンは「母親たちを泣かさないように。解決策をうみだそう」と(AKP政権に)言われたことに立腹し、さて何を言ったか。「あなたたちは母親たちが泣かないようにと言って取引きを試みている。またデルスィムで母親たちを泣かせたいのか?」

デニズ・バイカルは、昨日(13日)議会で演説を行った際、「それぞれのエスニック・アイデンティティはその人の名誉である」と言い、その後次のように付け加えた「あなたたちはクルド語を選択授業として学ばせようとしてはならない。それはトルコを分割することである。」彼のいう名誉あるエスニック・アイデンティティを持つクルド人も次のように言う。「私は母語の忘却や母語との断絶を望まない。我々の政府が私にこのことで助力してくれることを望んでいる。母語で学び書くことができる教育のために政府が解決策を見つけることを期待している」

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デニズ・バイカルは、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相に次のように呼びかけた。「自分はトルコ人であると胸を張って叫びなさい。」と。正気の沙汰とは思えない。議会がクルド問題の解決を模索しているとき、筆頭野党の党首デニズ・バイカルは首相に私はあなたよりもよりトルコ人だといって精神的圧力をうみだろうと腐心している首相がトルコにおけるさまざまなエスニック・グループの存在を強調することに対し不快感をあらわにしている。

デニズ・バイカルCHP党首は政府とこのようなナショナリスト競争をすることでどのような利益を望んでいるのか?バイカルは、明らかにこの問題の解決過程で生まれるであろう民族主義的な反発に期待している。このようにして得票率を何%かあげようと考えているのだろう。

次のことを認めよう。CHPは、解決が困難で扱いにくいクルド問題(解決のための政策)を分離政策として(非難の道具に)使うことに決めたらしい。すなわち社会において緊張を作り出すことは彼らにとって魅力的である。しかし今回もバイカルは失敗を犯している。なぜなら問題の解決は今や必須のものとして、1つの歴史的不可避のものとしてトルコの前に現れて立ちふさがっているのだ。

AKP(公正発展党)が歴史的発展に適応し、この問題解決の側に立って行動していることを、野党の側はまるで与党の弱点であるかのように見ている。そしてこの間違った理解は野党を現状保持に向かわせている。現実に反対する無意味な抵抗に導いている。

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議会がクルド問題をこのように包括的な形で議論することは大きな出来事である。アフメト・チュルクが、クルド人たちが何年もの間経験した不当な政府の圧力について感情豊かに述べ、それが議会の屋根のもとで語られたことは重要な一歩である。

CHPとMHP(民族主義者行動党)の政治家たちが何を言っても、クルド問題の民主主義的な解決、平和的な解決のための歴史的な一歩は踏み出された。議会がこの問題を、民主主義のために、さらには正義と法のために着手したことは新たな状況である。良い状況である。

CHPは、一党制の時代の「国家専制主義」の伝統を再び活気づかせている。オヌル・オイメンがデルスィムを1つの警告として言及したことは偶然ではない。バイカルのリーダーシップのもとCHPは1930年代の一党制政治に戻った。しかしその時代からは7・80年が過ぎているのである。

世界はかわり、トルコもかわった。
CHPで民主主義を主張し、クルド・アイデンティティ問題に敏感な議員や有権者たちが、この状況にどう対応するのか、私は実は強い興味を持っている。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:17871 )