ニューヨーク州のボスニア人モスク
2009年11月29日付 Zaman 紙

アメリカ合衆国のニューヨーク州ウチカ市内にあるウチカ・ボスニアイスラーム協会モスクは、ニューヨーク州においてだけでなく、アメリカ合衆国における最大のモスクの一つである。ボスニア人たちが1米ドルで買い取り、(公共の場として)サービスを開始したこのモスクは、1869年に建設されたものである。以前は教会として福祉活動をしていたこのビルの増築は1912年に遡る。

約5千人のボスニア人たちが暮らすウチカ市でモスクが必要となれば、人口の約12%に相当するボスニア人たがのこの要望に対し、地方自治体も無視を決め込むわけにはいかなくなる。二つの選択肢を提案されたボスニア人の共同体は、提示された広大な敷地をもらいそこにモスクを建設することよりも、2006年以降、教区民がいなくなり取り残されていた教会を譲り受け、修復工事を行うことのほうがより経済的であると考えた。
地方自治体にとってもこれは得な取引だった。ならぜなら、教会の取り壊しにさえも膨大な額がかかるところだったからである。名目上として1米ドルでの取引が合意され、両者が握手をすることになった。2008年6月6日に行われたこの合意の後、ボスニア人の共同体は新しいモスクの整備に猛然と取り掛かり、頼ることのできるあらゆる組織や人から支援を集めた。

■ミフラーブのタイルはキュタフヤから(取り寄せた)

モスク運営の責任をになったボスニア人たちの内、400世帯がモスクの支援協会のメンバーとなり、毎月一定の会費を支払っている。(町で)働いているボスニア人たちは、自身が支援するだけでなく、勤め先にも(支援を)申し込んでいる。このような形で、二つの銀行とある自動車販売会社から相当額の援助が得られた。シカゴからボスニア人共同体に向けた放送しているボステルテレビをカナダから見ていたあるボスニア人は、テレビ局を通して支援金を届けた。

ウチカ・ボスニアイスラーム協会のアヴリム・トゥリジッチ会長は、モスクのミフラーブのタイルがトルコのキュタフヤ県から取り寄せられたものであり、これはニューヨーク州で暮らすアゴ・コレノヴィチという名のサンジャクル町出身の市民たちから提供されたものであることを話す。教会を買い取った際に、未払いの請求書や土地登記簿料、文書の代金などとして4千ドル費やしたことを述べる同氏は、修復工事のために今日まで約18万ドルが費やされたという。

ボスニアからもウチカ市の行政府からも、いかなる援助も受けなかったことを述べる同氏は、ムスリムかそうでないかにかかわらず、市民からの支援で活動を続けていると述べる。同氏は、十分な援助が集められた暁には、モスクの外壁を白く塗り替える予定であると付け加えた。モスクに支援する人々の中には、ムスリムのインド人のほかにキリスト教徒のアメリカ人もいる。

■宗教だけでなく言語も守っている

ラマザンではイフタール(断食明けの食事)が提供されたモスクの構内では、週末にはイマームのアフメディン・メフメドヴィチさんにより、5歳から16歳の年齢層の約160人の学生たちにコーランとイスラム学の授業が行われる教室がある。イマームのメフメドヴィチさんは、学生たちが自分たちの言語を忘れてしまわないように授業をボスニア語で行っている。アヴリム・トゥリジッチ会長はすべての努力が、新しい世代が自分たちのルーツや伝統から切り離されて成長しないよう、宗教を知ること、そして言語を存続させることを保証するためのものであると強調した。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:17970 )