カイロ・スラム地区の岩盤崩落事故から一年以上、いまだ状況に改善なし
2009年11月17日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ アムネスティ・インターナショナル:「カイロの貧しい人々はいまだに危険の中で生きている」

2009年11月17日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面

【カイロ】

 アムネスティ・インターナショナルは火曜日、エジプトでは安全でない場所に住む貧しい人々を移転させ、昨年カイロのスラム地区で100人以上の死者を出した岩盤崩落事故のような災害の再発を避けるための目ぼしい変革は起こっていない、と報告した。

 ロンドンに本部のある人権保護団体であるアムネスティ・インターナショナルは、〔事故の被害にあった〕家族たちを、協議もせずに職場から遠く離れた場所に再定住させ、しかもその措置のほとんどを治安機関の立会いの下で行ったとして、エジプト政府を批判した。

 アムネスティ・インターナショナルの中東・北アフリカ問題担当局長であるマルコム・スマート氏は、数千人のエジプトの貧しい人々が、貧困のうちに捨て置かれており、ついには死に至る可能性すらあると語り、「政府は緊急に安全でない地域に住む人々が直面している危険に対処し、これらの被災者たちと直接協議して解決に至るべきだ」「エジプトの貧しい人々が生き埋めになる危険に晒されながら生活するのは適切でない」と続けた。

 2008年9月に起こった岩盤崩落事故では、100人以上の人々が死亡した。カイロ東部のドゥワイカ地区のスラムで、巨大な岩盤が彼らの住居を押しつぶした事件である。当時住民たちは、瓦礫の下に埋まったままの遺体は600体に達していると語っていた。

 スマート局長は、1993年に近隣地域で起こった岩盤崩落事件の後に行われた政府の調査を引用しつつ、「ドゥワイカ地区の悲劇は予想できる災害だったし、そのことはよく知られていた」と述べた。

 アムネスティ・インターナショナルによれば、エジプト政府は昨年起こった岩盤崩落事故の後、すぐに調査を行ったが、結果を公開していない。さらに当局は他の危険な地域において崩落の危機にさらされている1000棟以上の家屋を撤去し、1か月のうちに1750世帯以上を再定住させたという。しかし、住民は今の住居からも追い出される可能性に晒されており、新しい住居を割り当てる際には、離婚したり夫と別居したりしている女性たちにとって不利な差別が行われているという。

 スマート局長は「スラム地区の人々は自分達の生活について、ケアもなく捨て置かれ、安全が欠如し、強制退去の脅威に常に晒されていると見ている」として、国は彼らが適切な住居に住める権利を保障し、強制退去に終止符を打たなければならないと強調した。

 首都カイロの最貧困地区の中には 、1km平方あたり4万1000人もの人口密度に達している所もあり、スラム地区の人々は公共サービスのほとんど届かない国有地に暮らしている。アムネスティ・インターナショナルによれば、世界では10億人以上の人々がスラム地区に住んでおり、その数は増え続けている。

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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:17995 )