ロバの背中にアッラーの名が書かれていたことが原因で、上エジプトの村で宗教間紛争の危機
2009年12月29日付 al-Quds al-Arabi 紙

■神聖な言葉がロバの背中に書かれたことが原因で、上エジプトで宗教間紛争の危機

2009年12月29日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面

【カイロ】

 上エジプト、アスユート県のある村で、ロバの背中に神聖な言葉が書かれていたことから、イスラーム教徒とキリスト教徒の間で宗教紛争が勃発する危機となった。

 独立系新聞「アル=ヤウム・アル=サービウ」のインターネット版が報じたところによると、宗教間の緊張状態のために、アスユート市内 のシャトブ村では治安部隊が金曜日の夜から厳重な警備を行っているという。

 同紙によると、この危機の発端は、「アッラー以外に神はない」および「アッラー」という神聖な言葉が両脇に書かれたロバに乗ってコプト教徒の青年が村を練り歩いたことにあるという。

 正午の礼拝後にロバに乗った青年を見て驚いた村の人々が集まってきて、ロバと青年を村のオムダ(村長)のもとへ引きずり出した。そして、何十人もの人々が集まり、村のコプト教徒を挑発しようとしたが、治安部隊が村を封鎖し、外出禁止令を出して、コプト教徒の住宅の周りを厳重に警備したのだという。

 同紙はまた、治安部隊がロバとその持ち主をアスユートの本部に勾留したのち、ロバを撮影したすべての携帯電話を没収した、と伝えた。

 エジプトでキリスト教徒・イスラーム教徒間の宗教対立がおこる場合は通常、教会建築を巡る争いや、改宗、男女関係、農地や宅地の境界などが理由となる。キリスト教徒はエジプト住民の約10%を占めるとされ、一般的には他の大多数のイスラーム教徒と共存して生活している。

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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:18196 )