エジプトがガザとの国境に建設中の「鉄の壁」をめぐりファトワー戦争が勃発
2010年01月05日付 al-Quds al-Arabi 紙

■パレスチナのワクフ相、壁建設を支持
■ガザをめぐりエジプトで「ファトワー戦争」

2010年01月05日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【カイロ、ガザ:本紙】

 エジプトが「工学的建造物」と呼び、メディアでは「鉄の壁」と呼ばれている[ガザ国境にエジプト政府が建設中の]壁について、パレスチナ・ワクフ省のマフムード・ハッバーシュ大臣は昨日月曜日、エジプトにはガザ地区との境界線に壁を建設する権利があると述べた。

 エジプトの国営通信社である中東通信(MENA)が報じたハッバーシュ大臣の発言は以下のとおり。「エジプトには、自国の安全保障と国境保全、自国領土における法の執行に適切であると思われる措置をとる権利がある」。

 そしてハッバーシュ大臣は、「この問題に関して宗教と宗教的裁定(ファトワー)に介入しようとしている者がいるが、それは事態を混乱させようとする試みだ」と強調し、この問題に関してハマース側から出されたあらゆるファトワーは「政治的なファトワーだ」と断じ、以下のように続けた。「ハマースは宗教を特定の政治問題と特定の政治組織のために利用しようとしている。たとえイスラーム法の文言を捻じ曲げてでも政治問題に利用しようとすることは、イスラームの精神にもイスラーム法の精神にも反する」。

 一方、エジプトではガザの問題が原因で、「ファトワー戦争」勃発している。アズハル・ウラマー・フロントが、国境保全のためにエジプトとガザの国境に壁を建設することは合法であるとのファトワーをイスラーム研究センターに出させたとして、ムハンマド・サイイド・タンターウィー・アズハル総長を攻撃したのだ。

アズハル・ウラマー・フロントは、この問題について最近出されたファトワーはいずれも、エジプト・ガザ国境の鉄の壁建設に反対する者はイスラーム法に反していると裁定したファトワー同様、誤ったファトワーであると主張しており、「一時の権限しか持たないものがイスラーム法上の正否を裁定するのは一種の背教であり、その罪を犯した者はこの世でも来世でも責め苦を受けることになる」との声明を発表した。

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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:18199 )