ヨルダンで新たな家族法、女性団体や市民団体もおおむね評価
2010年01月27日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ヨルダンで新しい家族法
■ 法学派を選択制に
■ 妻からの離婚請求は初夜までの期間に限定

2010年01月27日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【アンマン:本紙マナール・アル=シャムラ】

ヨルダンのイスラーム司法局が首相に対し、新しい家族法案の公表を検討するよう要請した。この法案ではイスラーム法の規定への依拠が著しく拡大されているものの、1つの法学派の原則を採用するのではなく、4つのイスラーム法学派の中から選択できるようにすることで、公共の利益に応える。

新しい法案は、ハナフィー派を根拠とした現行法の条文では扱われていなかったケースにも及んでおり、4つの法学派全てへの依拠を定めている。

法案は320の条文から成り、遺産や扶養をはじめ、結婚、離婚、親権など、個人の身分に関する様々な事例を、イスラーム法規定やイスラーム法学派に広く依拠する形で、幅広く扱っている。女性の権利保護のための法改正を求めた署名運動を通して、コメントや修正点が女性団体連合から提出されたものの、女性団体からはおおむね安堵を持って受け入れられている。

女性問題国民委員会のアスマー・ハディル事務局長は、法案の最も重要な部分がメディアにリークされる中で、法案の文面そのものが公開されていないことには違和感を表明しつつも、「法案は女性団体や市民団体から出された要求や提案を考慮に入れた」との楽観的な見方を示した。

人権活動家のサミーラ・ザイトゥーン弁護士は、法案の流出した部分について、現在施行されている法律と比べれば、大躍進であるとの見解を示した。彼女の評価によれば、現行の家族法は、訴訟当事者の負担を増やす条項や文言を含んでいるという。

ザイトゥーン弁護士によると、今回の法案は判事や大学教授が参加して準備され、シャリーアやイスラームに反していないとの信用と確証を与えるために、ファトワー評議会に提出され、あらゆるイスラーム法の典拠に照らしあわされた。

 情報筋が地元のドゥストゥール紙に語ったところによると、新法は専門家たちによって慎重に検討された。イスラーム最高司法官(カーディー・アル=クダート)であるアフマド・フライエル師の勧告を受けて、条文の起草と論議にあたる二つの委員会が立ち上げられ、様々な大学や市民団体に所属する法官やイスラーム法の教授たちの意見も反映された。

メディアでその一部が報じられた法案の中身のうち、主な条項や変更点は以下の通り。
・ ハラア〔女性側からの離婚の申し立て〕の条項は残すが、実際に夫婦生活が開始されるまでの期間に限定される〔訳注:婚姻契約が交わされてから実際の夫婦生活が始まるまでの間に一定期間が置かれることがよくある〕。一方で不和や不一致を理由とした離別については他の条項を追加し、夫の側に原因がある不妊のケースのほかにも、女性側にとって不和や不一致の証明がしやすくなる措置が講じられる。
・ 夫が妻に婚資(マフル)を支払ったことの公式な申告書を裁判所で登記する義務を明確に記した文言が挿入される。妻が無理やり申告書に署名させられることのないよう、手書きの領収書は認められなくなる。
・ 現行法と異なり、妻の妊娠が証明された場合には、夫婦生活を妻が忌避しているとの夫の申し立てが却下されるようになる。さらに、必要に応じて病院や医院での出産費用の一部を夫が妻に支払うことが義務付けられる。

(後略)

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( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:18412 )