Taha Akyol コラム:政治はどこへ?―憲法改正問題暗礁に
2010年02月13日付 Milliyet 紙

ギュル大統領は、国会が新憲法制定の機会を逃したとのべたが、(その発言は)おおむね、真実を語ったものだった。なぜなら、政党間で、争議の収集がつかないほど加速していることが、憲法の改正を難しくさせたからである。これは誰のせいか?全員が「他の政党」であるというが、いずれにせよ結果として憲法改正は難しくなった。この観点から、残念ながら、ギュル大統領の「この国会は機会を逃した」との言葉は現実である。ギュル大統領も、これを残念そうに述べた。

しかし、あたかもギュル大統領がそれを喜んで言ったかのように示し、攻撃する人々もいた。ギュル大統領も、この攻撃の背後に、「隠れた意図」があると表明した。ギュル大統領が示唆した「隠れた意図」とは、大統領再選の可能性を失くさせる、ある政治的な「隠された意図」なのか?ギュル大統領の代わって、私が何か言うことはできない。しかし、ギュル大統領の言葉をそう解釈するには、憲法改正を決定づけるのは何であるのかがわからないほど、先入観にみちた見方をせねばなるまい。

■国民投票は確実か?

第一に、憲法改正をこの国会で通すことは難しい。このことは、そもそも首相も述べていた。第二には、有効票を得て国会を通ったとしても、国民投票の結果は確実ではなく、これも条件次第だ。

トルコにおいて、有権者の行動を分析すると、現在に至るまで、次の傾向がみられる。すなわち、選挙、あるいは国民投票が、クーデター、軍による政府への「警告」、「法的クーデター」、スカーフ(問題)、大学入試の係数問題、といったテーマが支配的である環境の中で行われるなら、公正発展党が勝者となる。過去にも、民主党(DP)が、公正党(AP)が、祖国党(ANAP)が勝者となったように。

直近の例としては、4月27日の政府への警告(注1)、憲法裁判所による367「クーデター」(注2)、夫人がスカーフをしている人物(ギュル大統領夫人はスカーフをつけている)は大統領にはなれないという主張…。結果、2007年4月の選挙で、公正発展党(AKP)が47%の票を取り、10月の国民投票でも67%の支持率を得た!民族主義者行動党(MHP)支持者も、民主党(DP)支持者も、至福党(SP)支持者も支持した。そりゃあ、そうだ…。

しかし、そうではなく、選挙時の話題がもっぱらほかのことだったら、状況は異なったものになる。たとえば故オザル大統領は、最も力のあった期間に、政治の展望を読み誤り、「地方選挙の日程を早まるため」ために国民投票を行った際、多くの人に、「オザルに教訓を与えよ、やりたいことすべてを行うことはできないということが思い知らせろ」との考えが支配的となり、そしてオザル大統領の政治生命においてはじめて選挙で敗北した。

■どの政党がどこへ?

私は著名な世論研究者であるアディル・ギュル氏に聞いた。氏の言うところでは、「選挙、あるいは国民投票で、公正発展党の保持する考えと価値が問われたときには、公正発展党が強くなる。公正発展党の党そのもの、(政府の)指導方針、経済が議論される環境で選挙が行われるなら、公正発展党は票を失うことになる」という。この構図は、トルコにおいて、公的なイデオロギーが民衆から乖離していることを示すものである。

共和人民党(CHP)がどうしていっこうに 拡大することができないのかを示している。ケマル・クルチダルオール氏は、「スカーフ問題を我々が解決しよう、当然彼らは大学に行いくべきである。」といった美しい言葉を述べており、ゲジェコンドゥ(スラム地区)への訪問といった美しい行動もみられる。しかし、共和人民党はどれだというのか?司法をつかってスカーフ禁止令の解除を妨害している共和人民党か?あるいは、クルチダルオール氏の表現にあった共和人民党か?

要は、将来は、誰にとっても確実ではないということだ。(すなわち)選挙や国民投票は、(選挙が)行われる環境での優先的な問題により、結果が決まる。この段階においては、公正発展党、共和人民党、そして民族主義者行動党にとって有効な、いくつかの「仮説」に言及できるだけである。すなわち、過度の力を誇示することは、恐怖と現状から救われたいという感情を創りだす…。禁止主義的政治は、反動と抵抗を生み出す…。パンと自由への要求は常に重要である…。怒鳴る人ではなく、思慮深く話す人がより説得力のある人となる…。どの政党がどこへ行くのかそれは、この仮説次第だ。

(注1)2007年大統領選の第一回投票日。野党であった共和人民党が投票をボイコットし、与党である公正発展党による大統領選出を妨害した
(注2)2007年の次期大統領選において、憲法裁判所は、投票が有効となるためには、国会での参加人数が、全議員数の3分の2である367以上でなければならないとして、ギュル現大統領がその時の投票で大統領に選出されることを妨害した

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( 翻訳者:能勢美紀 )
( 記事ID:18473 )